「スポーツカー」なる物のハン
ドルを握って運転していた時の
事。
助手席にはオーナーさんが乗っ
ている。
峠で快速走行をした。
ヒール&トゥも当然使ってブリ
ッピングしながら。
主として使うのは2〜4速だ。
コーナー立ち上がりではテール
を流さないグリップ走法で立ち
上がり、直線ではしっかりと
加速する。
ペースを下げた。
下げてもシフト操作はバイク
と同じように使う。
すると助手席のオーナーさん
が言った。
2速3速でタコ針をレッドゾーン
下でダンシングさせている時。
「トップに入るよ」
最初意味が全く分からなかった。
暫くして分かった。
走り方が別な種族なのだ、と。
異次元、というような。
もしかして、パワーバンドに
入れる高回転で運転していたの
は、下手で慣れなくて変速でき
ないと思ったのかも知れない。
それよりかなり前、従業員が
R33を購入したので、乗らせ
てもらった。
例によって峠に行く。
初めて乗る車なのでドリフト
はさせないように乗った。
それでも、加速、制動+H&T、
旋回、という操縦はごく普通
にやる。
助手席の奴は石になっていた
が、ドリキンのような運転も
タクミのような運転もしてい
ない。流しているだけだ。
車下りてから訊いてみた。
「いい車だね。何でGTRに
したの?」と。
すると「え?・・・だって
誰もが欲しがる車じゃない
ですか?」と。
私とは別な種族だと感じた。
その頃の私の愛車はローバー
ミニだ。
89年式キャブ最終型。
ミニだからではなく、車への
アプローチと捉え方が根本か
ら違う。
人気車種だから車を買う。
そういうのもアリなのだろう。
だが、私にはよく分からない。
その感覚が。
難関大学を「いい大学」とか
思い込むクチなんだろうなぁ。
公務員や銀行員や金融会社に
勤めてたら「いい仕事」とか。
個体の個性、アイデンティティ
などは見ようとはしない。
私とは異なる種族かと思う。