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【主張】緊急避妊薬の市販化 試験販売は前進。全面解禁めざせ
女性の人権を守る観点から一歩前進と評価したい。
避妊の失敗や性暴力を受けた場合など、望まない妊娠を回避するための緊急避妊薬(アフターピル)について、厚生労働省は6月26日、医師の処方箋なしに薬局で販売する市販化を一部解禁する方針を決めた。今夏にも全国の一部薬局で試験的に販売を始める。
緊急避妊薬は、性交後72時間以内に飲めば、約8割の確率で避妊の効果が期待できる一方、72時間を過ぎて服用すると効果が落ちることが分かっている。迅速に入手できるかが重要であり、公明党は早期の市販化を政府に提言してきた。
海外の約90カ国・地域では、処方箋がなくても薬局で購入できるが、日本では医師の診察と処方箋が必要だ。公的健康保険は適用されず、費用も診察代を含め約6000~2万円と海外より高額となっている。
夜間や休日は対応できる医療機関が少ないことや、受診に対する心理的抵抗といったハードルもある。
厚労省によると、試験販売は▽夜間や土日祝日に対応できる▽プライバシーを確保できる個室などがある――といった要件を満たす薬局で行う方針で、実際の薬局選定や販売価格などは今後検討する。
来年3月末にかけて、薬局での販売状況の確認や購入者、連携した産婦人科へのアンケートを行い、処方箋なしで適正に販売できるか検証する。周知も含め、円滑な実施を求めたい。
緊急避妊薬の市販化を巡っては、有識者でつくる厚労省検討会議が2017年に議論し、悪用・乱用の懸念などから見送った経緯がある。一方、20年にWHO(世界保健機関)が女性の人権問題として、市販化を含む入手方法の改善を各国に提言したことなどを背景に、日本でも再検討され、今回の一部解禁を決めた。
当事者にとって思いがけない妊娠は、出産や中絶を選択するにも大きな負担になる。生後間もない乳児の遺棄や虐待につながる恐れもある。政府は試験販売の成果を着実に全面的な市販化に結び付けてほしい。