今村孝矢 / Takaya Imamura:昔の作品ですが「ゴッドファーザー・パート2」をお勧めします！第1作目の「ゴッドファーザー」も言わずと知れた名作ですが、2作目ではマーロン・ブランドが演じたゴッドファーザーことビィトー・コルレオーネの若き日のストーリーと1作目の主人公であったアル・パチーノ演じるマイケルのその後のストーリーで、昨今数ある映画などで「若き日の〜」と言ったテーマのパイオニア的作品だと思います！ この映画は1974年のアカデミー作品賞などを受賞しているのですが、アカデミー賞の歴史上、1作目に引き続き続編が作品賞を受賞した唯一無二の作品です。 因みに若き日のビィトー・コルレオーネは若き日のロバート・デニーロが演じています！

今村孝矢 / Takaya Imamura:基本的に剣と魔法の世界なのでメカやビーグルを登場させるのは不自然かつ難しいと思うのですが、最もプレイヤーの体験を重んじる「ゼルダの伝説」シリーズにおいて昨今の作品では違和感なく機械文明の要素を取り込んでいます。 ブレスオブザワイルド以降のアートディレクションには本当に驚かされますよね。そのクオリティは勿論、近代文明をも凌駕しそうな古代文明の違和感のないデザインの数々！かつて私もこのシリーズに携わったていたと言う事を大変誇りに思います。 ゼルダの伝説シリーズに限って言えば「ゼルダ姫」と「勇者リンク」と言う絶対的な存在があり、乱暴な言い方ですが極端な話この二人さえ登場すれば現代劇やSFでも「ゼルダの伝説」が成立する所だと思います。個人的にはもっとSFに傾倒した「ゼルダの伝説」も遊んでみたいですね。 ファイナルファンタジーシリーズではファイナルファンタジーⅣ辺りからスチームパンクの要素を取り入れシリーズ毎にSF要素を強めて独自の世界観を確立しているのは皆さん良くご存知だと思います。 そういった意味では世界観の構築に最も苦労しているのはドラクエシリーズかもしれませんね。かつて鳥山明氏が「ドラクエの仕事は楽しくもキツイ仕事」と吐露したことが話題になりました。鳥山ワールドへの依存が大きく、それを変化させるのは大変なチャレンジかつリスキーな事だと我々ユーザーにも理解出来ます。 先述しましたが、ビデオゲームはユーザ体験を最優先すべきで新しいアイデアが生まれた時、その世界観にミスマッチだとしても違和感なく落とし込むのがアートディレクターの重要な仕事だと思います。 秘訣と言う回答には辿りつけなかったかもしれませんが、スタッフが全身全霊で作品に向き合って世界観に命を吹き込んでいると言う事はお伝えしたいと思います。

今村孝矢 / Takaya Imamura:質問ありがとうございます！ 現在、来年の発売に向けてSwitch対応の「OMEGA6 THE VIDEO GAME 」と言うゲームを制作しています。 昨年末にフランスで発売された私が原作の漫画「OMEGA 6」をベースしたゲームでジャンルはアドベンチャーゲームとなっています。アドベンチャーゲームとは昨今ではあまり耳にすることが無くなったのですが、80〜90年代には盛んに作られたジャンルで、プレイヤーは表示されたコマンドを駆使してストーリーを進めていくと言うスタイルで「ポートピア殺人事件」や「ファミコン探偵倶楽部」などが有名なアドベンチャーゲームです。 漫画「OMEGA 6」もレトロフューチャーを意識した作品でゲーム版もレトロゲームを意識した作りとなっています。ゲーム中の解像度をブラウン管テレビに合わせて、あえてドット絵を強調し、スーパーファミコンやメガドライブと言ったら懐かしい16bitゲーム機の雰囲気を表現しています。 私が任天堂に入社して初めて開発に携わったゲーム機がスーパーファミコンのF-ZEROでした。当時は四苦八苦してドット絵を描いた事をよく覚えています。同じくドット絵を担当したのがスーパーファミコン版「ゼルダの伝説・神々のトライフォース」や「スターフォックス」でした。 そして今回久しぶりにドット絵を「OMEGA6 THE VIDEO GAME 」で描く事になったのですが、と言いますか‥この企画を提案された時の私からの条件が自身で全てグラフィックを担当すると言うものでした。ゲームのグラフィックを全て一人で描くというのは中々のハードルではあったのですが、漫画同様に全て自分で描いてみたいと言う気持ちが強かったのです。 因みにゲーム発売までには日本語版、英語版の漫画の発売も決まっています。ご期待ください！

今村孝矢 / Takaya Imamura:エンターテイメントの世界では身近な動物をモチーフにした作品が数多くあるのはご承知の通りで最も有名なのがミッキーマウスです。 ゲームの世界にも動物が主人公のゲームが数多くあり、決して市場に出すのが困難では無いと思います‥が、質問者さんの意図を解釈すると、仰る「ケモノキャラ」とは人間に近いデフォルメを施されたキャラクターと言う事になるのでしょうか。いわゆるカートゥーンの様なドタバタ系ではなく比較的シリアスで人間のキャラクターに置き換えても違和感の無い世界観だと言う事ですよね。 では私なりの回答となりますが、困難なのは恐らくそのデザインの難しさにあるのではないでしょうか？誤解のないようお伝えすると、決してスターフォックスのデザインが優れていると言いたい訳ではありません。人間ドラマ同様に動物キャラクターでユーザーの共感を得るのは困難で、記憶に新しいのが2019年に公開された映画「Cats」だと思います。多額の制作費に豪華なキャストでヒット間違い無しであったはずが、そのキャラクターへの違和感が不評を呼んで興行的に失敗したと言われています。 スターフォックスのキャラクターが生まれたのは宮本（茂）さんのカートゥーンや伏見稲荷へのオマージュがその世界観を作り出しており、ケモノキャラと言う概念を意識した訳ではありません。なるほど和風と言う事で鳥獣戯画などを参考に日本らしい動物を意識してデザインしました。 ゲームとしてですが、人気のアニメや漫画の原作ありきでないと新規IPとしてケモノキャラで売り出すのは難易度が高いのではないでしょうか。もちろんゲーム中のメッセージやシステムなどケモノキャラである必然性があれば積極的にチャレンジして欲しいですね。いずれ私も漫画やゲームでケモノキャラクターの世界観を描いてみたいと思っています。