教習官からセクハラをされた話
転職を機に車の運転が必要になる。
ペーパードライバー歴3年の私は重い腰を上げ、「ペーパードライバー講習」たるものを予約した。
この教習所を見つけたのは”ペーパードライバーのための教習所○選!”のようなサイトに載っていたからだ。この「ペーパードライバー講習」の予約サイトには、受講生の口コミがいくつか掲載されていた。いいものばかりだ。なので安心だと思い込んでしまったことが安易だったと今では思う。
待ち合わせ場所に彼は教習車(たぶん自家用車?)で現れた。
見た目は20代後半。黒い髪が伸び切った男性だった。
黒い車だったが、汚れ?黄砂?でグレーのように見え、車体からだらしなさが実感できた。
運転席に案内され、座席の位置の合わせ方、ミラーの角度の合わせ方、エンジンの掛け方など、忘れてしまっている初歩的なことから教えてくれた。
第一印象は真面目なインキャなのかな?という感じ。多分この時は敬語で話していた。
大学の後輩のイケメンくんに似ていたが、それは髪型と雰囲気と目元だけの話なので、マスクを取ったらどうかは分からない。
30分ほどかけて説明をしてくれて、いざ出発。
私は慣れない運転に集中していたので、どんな会話をしたかはほとんど覚えていない。
初めて違和感を感じたのは、出発して2.30分経ってからだったと思う。
私たちは他愛もない会話をしていた。
会話がひと段落してから、彼がボソッと「かわいい」と言ったのが聞こえた。
違和感を感じたものの、あまり深く考えずに流した。
目的地に着く前に、ショッピングセンターの立体駐車場で駐車、直角カーブの練習をした。
ほとんど初めての駐車。やり方なんて全く覚えていない。
私が試しに1人でガタガタな駐車してみた後、彼がお手本を見せてくれた。
一発で駐車を決めこんだ彼の腕っぷりを見て、私はふいに「すごい」と言った。
この時の彼の反応が本当に理解できないものだった。
なんと彼は「もっと褒めて」と言い、私の頭をポンポンしたのだ。
もう完全に理解できない行動だったが、私たちはこの密室に2人。駐車場だが、周りに車はほとんどいない。最適な逃げ道が重い浮かばなかった。笑ってごまかしてしまったのだ。
彼からすると、この反応はまんざらでもないように見えたのかもしれない。
でも、絶対にそうではなかった。
何度か駐車の練習をしてみる。5度ほどチャレンジして、やっと上手く駐車ができた。
「やったね」と伸びてくる彼の手。手袋をしているからまぁいいか、とハイタッチをする。
その後、どんなシチュエーションだったかは全く覚えていないが、2人で車から出たのは覚えている。
「あれ見て」のような掛け声とともに、彼は私の真後ろにぴったりとくっついた。私の肩に手を置いて。
同性でも嫌な距離。それを、初対面の異性にされた。
先ほどの違和感は嘘ではない、と実感。
その後の直角カーブの練習では、私がハンドルを握っている手に手を重ねてハンドルを握られた。
多分免許を取った教習所では、私の手の上からハンドルを握られるようなことはなかったはず。まぁ手袋をしているし、、と気にしないように心がける。
帰路につき、目的地に向かい車を走らせる。
高速道路に乗った。ここでは、一般道ほどハンドル修正をしなくていいらしい。というより、ハンドルを修正したら車体がかなり動くので最小限でいいらしい。
そう言われていたが、私は一般道と変わらないほどのハンドル修正をしてしまった。その瞬間、車体が大きく揺れる。
「楽しませてくれるね」と彼の手は私の太ももに置かれる。どんな反応をするのが正解なのか全く分からない。とりあえず「すみません」と謝る。太ももに手が置かれたことについては触れない。それからは運転に集中した。
高速道路から、私がもうすぐ働く会社が入っているビルが見える。
彼も以前このあたりで働いていたらしい。いろんな職の経験があるらしい。転々虫。人格に問題があるのかな?とよぎる。
そんなことをしている内に、目的地に到着した。
「運転お疲れ様」と助手席から伸びる彼の手。この手はハイタッチではなく、ハグの伸ばし方だと直感したが、そんなこと絶対にさせられない。どうにかハイタッチにシフトチェンジさせた。
ハンドルを握っている姿の写真を撮ってもいいですか?と提案。
もちろんNG。彼に写真を撮らせたら、どんな用途で使われるか分からない。
彼にお礼を言い、その場を後にした。
22時過ぎに彼から御礼メール。社会人としてどうなの?と感じたが、そのまま就寝。
翌日起きてみたら、嫌悪感より初めて経験したことに対するおもしろさが勝っていた。
彼のメールに返事を書く。すると、10分足らずで彼から返信が。
「ご飯行きましょう」「LINE交換したいです」との内容だった。
正直、私は彼に再度会おうとは思わない。しかし、彼の言葉でセクハラをした時の心境を聞きたい気持ちはかなりあった。
そんな心情で彼に送ったメールは、
「LINEはもう少し仲良くなってからがいいので、電話しませんか?」というものだった。
当日の待ち合わせ場所に着いた時に電話をしていたし、ホームページにも彼の電話番号は載っていたので、電話番号は把握済みだった。
そこからの返事はまだない。彼はセクハラ常習犯で、女性教習生を性的対象として搾取しているのだろうか。
もはや男性からの予約は断っているのかもしれないとも感じてきた。
ホームページをよく見てみると、この自動車講習の運営会社は遥か離れた東京の小さい会社。
個人で教習官をする人を募集しており、ホームページ作成やシステム管理を手助けするだけらしい。すなわち、彼はほとんどフリーランスの教習官というわけだ。
誰を責めていいのか分からない。警察に突き出すほどの証拠もない。どれだけ検索しても”彼にセクハラをされた”との口コミは出てこない。
だけどこのままなかったことにすることはできない。
なので電波にのせ、世界にこの情報をばら撒こうと決意した。
私は優しいので彼の名前は伏せます。
GO TO HELL !!!!!!
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