「これが法治国家か」
本当に大切なことは、驚くほど簡単な言葉で表現できる。
みなさんは、そういう経験をされたことはないでしょうか。
私はすでにお話ししたとおり、2010年6月に起きた鳩山政権の崩壊をきっかけに、沖縄に渡って米軍基地問題を調べはじめました。
そのわずか九ヵ月後には福島の原発事故が起こり、沖縄だけでなく、本土でも、
「これが法治国家か」
と思うような、信じられない光景をいくつも目にすることになりました。
20万人もの罪のない人たちが家や畑を失い、避難先の仮設住宅で「これからどうすればいいのか」と悩みつづけている一方で、事故を起こした2011年の年末には、ボーナスをもらってヌクヌクと正月の準備をする東京電力の社員たち。
不思議だ、不思議だと思いながら、なにをどうすればいいか、まったくわからない日々が続きました。
そんなある日、耳を疑うような事実を知ったのです。
それは米軍・普天間基地のある沖縄県宜野湾市の市長だった伊波洋一さん(現参議院議員)が、講演で語っていた次のような話でした。
「米軍機は、米軍住宅の上では絶対に低空飛行をしない。それはアメリカの国内法がそうした危険な飛行を禁止していて、その規定が海外においても適用されているからだ」