大阪教育大学キャンパスことば(19)
―若者ことばの性向語彙―
国語教育講座 井上博文
Ⅰ.性向語彙
1-1 性向語彙
夏目漱石『坊ちゃん』の冒頭は「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る」である。子どもの時分に小学校の二階から飛び降りたり西洋制ナイフで手の親指を切り落としそうになったりする。「無鉄砲」のような人の性向に関わる表現を性向語彙と呼ぶ。このあと「弱虫、乱暴(者)、ずるい、竹を割ったような気性、癇癪が強すぎる、けちん坊、生意気、気が弱い、不人情、上品、卑怯、軽薄、奸物、御人が好過ぎる」などいくらでも性向語彙が用いられて登場人物たちの人物描写がなされる。坊ちゃんの擁護者の清は「あなたは真つ直でよい御気性だ」とか「あなたは欲が少なくつて、心が綺麗だ」とか彼を評する。
性向語彙は、日常言語に備わる、人間の恒常的な行動癖や性格を捉え表現する一群の語彙である。対人関係をなす上での前提となる対人理解の一助としてはたらく、言葉によって構成された対人評価の網の目である。ここで注意しなければならないのは、あくまでそういう捉え方をする語が存するということであって、特定の性向語彙によって評される特定の個人がその性向を必ずしも有しているのではない。人の恒常的な行動癖や性格を批判的に捉えて言語化したものが性向語彙である。性向語彙の総体には、理想とする人間関係が逆説的・暗示的に示される。個々の語はそれぞれに人間の性向を切り取って表現する。その個々の語の重なり合い(語彙構造)に、その社会(世間)が求める人間交際のすがた・人間像が直截的あるいは屈折的に蓄えられている。
われわれは、世間のなかで、さまざまな疎密の差をもって、人となんらかの関わりを有しながら暮らしている。「縁」あってのことである。家族・親戚。職場。学校の級友、同級生、同窓生。バイト仲間、遊び仲間、部活動の仲間。顔を見知っているだけの人や通り一遍の挨拶するほどの浅いつき合いの人から、仕事を介する利害を共有するあるいは対立する深い付き合いをしている人。一時期だけの友だちから、一生の付き合いとなる親友までさまざまに、人間関係の濃淡を持った人々に囲まれて暮らしている。その一人ひとりがどんな人間であるのかをなんとか把握し了解しようとする。相手との適当な間合いが測れないと不安であるし、どう付き合っていいのか決め難い。把握したかぎりにおいて、その人と付き合う。対人関係における人の把握の深さは、初対面での第一印象から、長年にわたって苦楽をともにしてその人を知悉した理会まで大きな幅がある。美点ばかりでなく欠点までも許容し魅力と受けとめる相互の付き合いができる人を一人でも持っていたら、それは人生の宝である。
なお、「~ケー(系)・~ポイ」形式、比喩表現、縮約、外来語の利用など若者語的な語形成が見られるが、本稿では造語法には触れない。
1-2 資料
資料は、平成12年度小専国語前期後期受講生、平成12年度国語学特論1受講生、大阪教育大学方言研究会3回生に対するアンケートによって得たものである。アンケートは「人間の恒常的な行動癖や性格を表す若者言葉」を教示してくれるように依頼し、B6の用紙に語形と意味とを回答してもらった。この際には大阪弁のイチビリやイケズ、若者言葉のヘタレなどを例示して性向語彙について説明を行なった。関西域方言以外の方言性向語彙は除外した。しかし若者言葉に「受容―非受容」の方言性向語彙の問題は、方言変容の課題のみならず日本人の対人評価の在り方の解明にとって重要な視点である。日本語の性向語彙に見られる「不易流行」は、大げさに言えば、日本人の「精神構造」とその変遷の様相である。
Ⅱ.若者ことばの性向語彙
以下に分類を試みているが試行錯誤の途中である。というのは方言性向語彙の分類枠(拙稿「方言性向語彙の造語法」大阪教育大学国語教育講座・日本アジア言語文化講座『学大国文』第44号 2001.3 参照)ではうまく分類できない。単なる語形の交替ばかりでなく、構造枠自体から変化している徴表かもしれない。本稿で提示した見出し項目の抽象レベルは不整合である。今後の検討で整序していかねばならない。ここではどんな語があるのかを紹介することを主眼としたい。
(1)普通の人 フツー(普通)
(2)変わった人
オカシイ<変な人> フシギケイ(不思議系)<理解しがたい言動をする人> ヘンコ(変子)<変わった人、不思議な人> デンパクン(電波君)<言動が常人とかけ離れ ていて危険な人> イタイヒト<状況に合わない行動をとる、迷惑な人>イッテル・イッチャッテル<ちょっとおかしい人、何かに夢中で他のことが気が回らない> イタイヒト<状況に合わない行動をとる、迷惑な人> コワレテイル<訳の分からないことをする人> テンパッテル<混乱している人。余裕のない人>
ロボット<人に使われていることに気付かずに尊大な態度をとる人> トーメイ(透明)<存在感がない人> クーキノヨーナヤツ<存在感のない人>
ウチュージン(宇宙人)<何を考えているかわからない>
(3)不快な感情を与える人(自分の感情での評価)
キショイ<気持ち悪い> キモイ<気持ち悪い。一般の人に理解できないぞっとするようなことをする人。よくできすぎている人にも使う> ウザイ<うっとうしい、面倒くさい、煩わしい> サムイ・サブイ<面白くない人。冷たくて人との交流があまりできない人> ダルイ<自分にとって気にくわない> モサイ<ださくてあつくるしい人>
ムサイ<むさくるしい> ムリナヒト<自分にとって受け付けない人>
(4)良い人・人柄のいい人
ヤサシイ(優しい) カワイイ<憎めない> イイヒト<いい人オーラが出ている人> ヘルパーズ<行事などの時にクラスのお 助け役となる人>
カミサマ(神様)<「奇跡」を起こした人、その場を盛り上げる人。優しく寛大な人。⇔オニ、アクマ> アカルイヒト<よく笑っている人> オトコマエ(男前)
アイソーガヨイ(愛想が良い) イヤシケイ(癒し系)<のんびりしていてマイペース> ネエサン<行動が大人っぽくて頼りになる人>
(5)精神の在り方に関するもの
ショージキ(正直) ジュンスイ(純粋) カタブツ<頑固で融通の利かない人> ケッペキ(潔癖) マエムキ(前向き)
プラスシコー(+思考) マイナスシコー(-思考) ジイシキカジョー(自意識過剰) ナイコーテキ(内向的) ジシンカ(自信家)
ギゼンシャ(偽善者) クールナヒト<何事に対しても冷静で、どんなことがあっても熱くならずに行動する人> ロマンチスト<夢のような世界をいつも想像し描いてい る人> ジューナン(柔軟)
(6)面白い人・滑稽な人
イジラレルヒト<性格が面白くて、何かにつけてからかわれる人> テンネン(天然)<面白いことを言おうとしないのに面白い人。天然ボケの人> ノリノイーヒト<明 るくて気軽にしゃべることのできる人>
(7)仕事の能力や態度に関わるもの
ヤリテ<何かがよくできる人> ヘボイ<たいしたことがない> ショボイ<出来の悪い人。とるにたらない人> ヨーリョーガイー(要領がいい) インテリ カシコイ(賢い) ダルガリ<すぐだるいと不平を言う人。面倒くさがりの人。いつもだるそうにしたり、そんな表情をしている人> シンドガリ<面倒くさがりの人。すぐにシンド イと言い出す人> メンドグサガリ<何をするのもめんどくさい人> サボリマ<授業をさぼりすぎの人> チコクマ(遅刻魔)<よく遅刻する人>
レアモン(レア・モンスターの略)<学校やクラブに全然来ていない人> チューシンジンブツ(中心人物)<クラスのリーダー的存在で、みんなから好かれるおもしろい人> ドンクサイ ノロマ<何をするにでもゆっくりマイペースな人> ウンチ(運ち)<運動おんちな人>
(8)自己中心的な人
ジコチュー(自己中)<自己中心的なものの考え方の人> ジコマン(自己満)<自己満足する人> ジブンホンイ(自分本位) ワガママ(我が儘)
クーキオヨメナイ(空気を読めない) ジャイアン<我が儘で威張っているがどこか憎めない人。アニメのキャラクターから> オボッチャン<自信あふれる言動をとるが 周囲は見えない人> ムキシツナヒト(無機質な人)<ちょっと冷たく自分中心な人> ナルシスト・ナルシス・ナル<自分をかっこいい・かわいいと思い込んでいる 人。自己陶酔型の人> タチガワルイ<お酒を飲んで人にからんだり自分中心にふるまったりする人> タチワルイヒト<まわりの空気をよめずに間違った対応をしてしまう人>
(9)行動・態度に関するもの
コイヒト(濃い人)<キャラが濃くて個性がある人> エラソー<威張っている人> ヤンチャ ゴンタ<いたずらっ子> シキリ・シキリヤ<すぐその場 を取り仕切る人。すぐに人をまとめようとしゃしゃりでる人> シキルヒト<大人数で集まった時に司会みたいなことができ、みんなをひぱっていける人> カッコツケ<人前でよい格好をす る人> ユージューフダン(優柔不断)<物事をなかなか決められない> イキガッテイル・イキッテイル<張り切っている人> イキリヤ
オバタリアン<おばさんのような行動をする人> オバチャン<若者らしかぬ発言や行動をする女性> オヤジ<若いのに年寄りくさいことをする人> スマート
オヤジハイッテル<若者らしくない言動をする人> オジョー(お嬢)<独特の空気を持っていて、周囲と少しずれのある女性> オモシロイヒト<追いつめられた時に予 想もしない行動をする人> オコリンボ<すぐ怒る人> ゲラ<必要以上に大げさに笑う人> タンジュンナヒト(単純な人)<行動がよめる人>
ワカリヤスイヒト<言動がよみやすい人> チョロキュー・チョロ<チョロQのようにいろんなところにぶつかっては違うところに向かい迷惑をかける人>
ゲンダイッコ(現代っ子) ナウガール<今きている女性> ナウボーイ<今きている男性> マネシイ<人のまねばかりする人> マネッコ<人の真似 ばかりして、自分の個性を持ってない人> サミシガリ(寂しがり) ブリッコ<かわい子ぶっている> オトコラシイ(男らしい) オンナラシイ(女らしい)
(10)性悪・意地悪な人
イジワル(意地悪) イケズ<意地悪。ケチな人> ヘビミタイナヤツ<執念深い性格> イチビリ イバリ ズルイ
コスイ<せこい、こそくな、ずるい> シラコイ<しらじらしい、わざとらしい>
(11)嘘つき・誇大家 ウソツキ(嘘つき)
(12)行動的な人・積極的な人
アツイ<情熱的。自分の考えを熱心に語る人。まじめで真っ直ぐな人> イカツイヒト<行動や考えが強い人。見かけがこわくて強そうな人> チャレンジャー
モエテルヒト<必要以上にやる気を出している人> オニッテルヒト<行動や考え方が強い人> メダチタガリ(目立ちたがり) デシャバリ
イキリ<虚勢を張っている人> ヤリタガリ セッキョクテキ(積極的)
(13)気が強い人 キガツヨイヒト(気が強い人)<あまり弱いところを見せず、何にでも立ち向かっていく人> マケズギライ(負けず嫌い)<つまらないことでも勝つ ことにこだわりを持つ人> キツイ
(14)気が弱い人 キニシヤスイ(気にしやすい) ナイーブ ナキムシ(泣き虫)
(15)根性のない人・消極的な人
ヘコミ<すぐ落ち込む人> ヘタレ<根性がない人、辛抱強くない人> コンジョーナシ(根性なし)<すぐあきらめる人> ジャクイ(弱い)<精神的にも肉体的にも弱い 人> オンナノヨーナ<煮え切らない性格> イタガリ<すぐ後悔する人> チキン<臆病者> ショーシンモノ(小心者) インキ(陰気) ヒトミシリ(人見知り)
(16)お調子者・落ち着きのない人
チョーシ<調子のりのこと> チョケル<茶化したり落ち着きのないこと> オチョケ<茶化したり落ち着きのないこと> チョシバッテルヤツ<調子に乗っている 奴> イラチ・イラッチ<せっかちですぐいらいらする人。短気な人> セッカチナヒト<落ち着きがなく早合点する> キブンヤ(気分屋)<すぐ怒ったり機嫌がよ かったりまちまちの人>
(17)異常に何かに熱中している人 ~バカ<~について信じられないほどよく知っている人> マニア オタク
(18)大ざっぱな人 イイカゲン(いい加減) アバウト<いい加減な性格>
(19)愚かな人
ヌケテル<簡単なこと、単純なことがふとできない人> テンボケ<ぼーっとしている人、とんちんかんな事をする人> バカ(馬鹿) ムズカシイヒト<言っている ことの意味がわからない人> コドモ(子ども)<幼さが残っていて感情が流されやすい性格> オヒトヨシ(お人好し) カルイヒト(軽い人)<何も考えずに行動し、いろんな 事に手を出して失敗したりする人> ニブチン<普通は気付くことに気付かない>
(20)ケチな人・強欲な人 ケチ ヨクバリ(欲張り) セコイ<ケチであったり、考え方がコスイ(いやらしい)人>
(21)交際に関するもの
マメオクン<恋愛に関してマメな男> バカップル<人前でいちゃつくようなバカなカップル> オタップル アソビニン(遊び人)<軽い付き合い方をする人> アソンデル<極端に短い交際を繰り返していること> ゲテモングイ<趣味が悪い人> メンクイ(面食い)<顔のいい、かわいい、かっこいい人を好む人>
ハッポービジン(八方美人) アッシークン<女性に尽くす男性> アッシーミタイ<送り迎えをして くれる男性のように便利な人> タラシ<男たらし、女 たらし> ダッコチャン<すぐくっついてくる人>
(22)言動に関するもの
シャベリ モンクイイ(文句言い) ヒトコトオーイヤツ(一言多い奴)<言わなくてもいい余計なことまで言ってしまし聞き手を不快にさせる奴>
スピーカー<おしゃべり、うわさを広める人> クチダケ(口だけ)<いつも自信はあるが失敗する人> キチク(鬼畜)<ひどいことをギャグにする人>
ジマンシー<自慢したがる人>
(23)服装・格好・容姿に関するもの
ギャルッテル<ギャルの格好をした女の子> ダツギャル(脱~)<ギャルを卒業した人> シノラー<タレントの篠原ともえみたいな格好の人> ケバイ<派手な 人> イケメン<かっこいい男の子> イケテナイ<ださい人。「大阪教育大学キャンパスことば(18)―『イケテル―イケテナイ』小考―(『学園便り』第132号参照>
イケテル<いい感じの人。メンタルな部分も男前・かっこいい> イモイ(芋い)・イモッポイ<田舎っぽい> キレイメ<大人っぽい、こぎれいな格好の人>
チャラオ(~男)<もてようとして必要以上にかっこつけている人。ちゃらちゃらしている> ダサオ(~男)<見た目がダサい人> ジャージャー<ジャージばかりを着てい る人>
(24)飲食に関するもの
オーグイ(大食い) ノンベェ<お酒を飲むのが好きな人> グルメ チョコエッグチュードク(~中毒)<フルタのチョコエッグばかり食べている人>
(25)特定の行為に関するもの
コタツムシ<炬燵に入るとずっと動かない人> ダイエッター<ダイエット中の人> パソジン<パソコンばかりしている人> デジタルニンゲン<機械 好きな人> アイモーダー<ケータイをいじる人> チャリラー<どこへ行くにも自転車で行こうとする人> ジャンキー<麻雀ばかりしている人>
ジベタリアン<地面に座っている人> ロリコン<小さい女の子が大好きな人>
Ⅲ.若者ことばの性向語彙の傾向性
一見すると、人間関係に無関心のように見える若者であるが、こうして性向語彙という言葉を透かしてみれば、彼らなりの人付き合いのうちで呻吟するすがたが浮かんでくる。個性や創造性の重視が喧伝される現代の風潮であるが、実際は異質性をなるべく排除して「平等」がよしとされる空気に包まれて暮らしている。概して同年齢の同質的なグループのなかで生活しなければならないのが現代の若者の人間環境である。暗黙の裡に「普通」であることを求められる環境で、それぞれの「世間」で、対人関係に気疲れするほどに気を使っている。この場合の「世間」は身近な仲間である。単なる通信の道具であったはずのケータイを、いつの間にか手離せず授業中であってもOFFにできないのは何故か。「仲間はずれ」を生死に関わるほどに病的に怖れる。若者言葉の性向語彙の特質は、まさにケータイに象徴される人間関係にある。
その人の性向をどう捉えて評価するかは、その人との個人的あるいは集団的な関わりの経験の中で、具体的な状況のもとでの、その人の行動や振る舞い、言動、表情等の「観察」に拠っている。言うならば、われわれは共同体のまなざしの中に晒されて暮らしているのである。
(1)総合的な評価・把握をなす語と、具象的・特定的な性向を表す語との二方向の語が存する。前者は雰囲気や見た目による感覚的な捉え方をする。皮相的・表面的な評価の仕方になりやすい傾向が特徴である。これは若者の対人関係・交際の仕方においてどのような交際の形態・様相が是とされるかに関わっている。
(2)マイナスイメージの語が大半である。「普通」とされることを基準として、そこから逸脱するものに注目した言葉づくりである。この際に、プラス方向の性向に関してはさほど注意を向けずに、負の方向の性向に着目した言葉づくりが基本である。身の回りの事態に対して等質の注意を払っているのではなく、負の事態を捉えて語彙化する。いわば「排除の原理」というべきものが根底に存する。この傾向は日本語の性向語彙と同じ発想法であり、若者特有の傾向ではない。問題はどんなことをマイナスイメージで捉えているかである。
(3)人の行動や態度をもって言い表す語ではなく、キショイ・キモイ・ウザイ・サムイ等の、評価する側の負の方向の主観的な感情によって捉える語彙は、若者語の性向語彙全体の傾向を示唆している。
(4)職業人の間では、仕事の能力や仕事への取り組みの態度に関する性向語彙が豊かである。語数も多く意味構造においても複雑である。若者言葉では、仕事(勉強)に関するものは希薄である。これは未だ仕事を軸にした人間関係をなしていないことに拠る。バイトというかたちで働いていても、嫌であれば気軽にその職場を離脱することができる点で、職業として仕事を共有する職場の人間関係ほどに切実でない。対して若者言葉ではノリの良さや場の雰囲気を壊さない性向が優位に置かれるようである。楽しく明るい雰囲気を阻害する人を憎む傾向が見られる。
(5)従来の日本語の性向語彙が受容されずに新しい性向語彙が生成される現象は、言語の変化ということにとどまらず、日本人(文化)の人と人との関わり方が大きく変化していることを示唆している。ここではこのような問題が存することを指摘するのにとどめる。
菜の花から梅の花、そして桜の花へと季節はめぐる。いざや桜木の下にて花見酒をば楽しまむ。風に舞う花のはかなさに、もののあはれを、さて今年こそ感得できるか。例年のごとくにへべれけのオヤジ三昧か。今年の桜は今年かぎり。一瓢を携えていざや見に行かむ。面白うてやがてかなしき鵜舟かな(芭蕉)。