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「世界の仕組みを知りたい」。その思いに突き動かされ、大嫌いだった勉強に取り組み始める。
「物理学を本格的に学ぶには、大学に入らないといけないと思い、まずは働きながらでも通える定時制高校に入ることを決めました。彼女や社長も応援してくれ、猛勉強の日々が始まります。しかし、九九もわからないようなレベルだったので、算数は小学3年生用のドリルから始めました。面白いことに、目標ができると、あれだけ嫌だった勉強に夢中で取り組むようになります」
24歳で定時制高校に入学すると、漠然と描いていた大学進学は、具体的な目標へと変わる。
「自宅から通える距離で、物理学科のある名古屋大学を志望校に決めました。常識的に考えれば、無謀な挑戦ですが、とにかくやる気だけはあったので、先生に相談にいきました。すると、特別進学コースで使用している数学の問題集を渡されました。後から知ったことですが、先生は私を諦めさせようとしたらしい(笑)。もちろん、わからない問題も多かったのですが、必死でやっているうちに、自力で7~8割ほど解けるようになりました。先生はその姿勢を買ってくれ、週1度、私のためだけに特別補習をしてくれました」
物理のテストで満点、名大合格「鮮明に覚えている」
先生の協力もあり、成績は少しずつ伸びていく。そして2年生の時、なんと数学で県内トップになる。
「2年生になるタイミングで仕事を辞め、家で寝ている時間以外は勉強に没頭しました。結果が出ることで自信を深め、さらに勉強に拍車がかかりました。そして迎えた3年生の冬、大学入試センター試験(現在の大学入学共通テスト)では、物理で満点を取るなど全体で8割近い点を取ることができました。名古屋大学に合格した時のことは今でも鮮明に覚えています。特に、応援してくれていた人たちが、まるで自分のことのように喜んでくれたことがうれしかったですね」