中国紙・環球時報は31日、日本のアニメ文化の海外進出の経験は中国の参考になるとの文章を掲載した。著者は中国伝媒大学文化産業管理学院副研究員の何震(ハー・ジェン)氏。

何氏は今年9月17日に日中平和友好条約締結45周年を記念して、日中青少年漫画コンクール2023受賞作品展が岐阜県岐阜市で開催されたことに言及。「両国の青少年はこれを機に、互いへの理解をさらに増進し、民間友好の基礎を深めるだろう」とした。その上で、「日本のアニメ文化の海外への伝播は独特な経緯があり、日本文化の輸出における重要な媒体、かつ文化交流の重要な手段になっている」と指摘し、四つのポイントを挙げた。

一つ目は「世界に適応する題材、広く認められる価値観」で、「日本アニメは国境のない創作と呼ばれ、他国をモチーフにしたシーンや人物がしばしば登場する。多国間の文化的要素を巧みに融合させることで、開放的かつ包容的な姿勢を示している」と説明。「例えば『CIPHER』は米国の都市文化の雰囲気が漂い、『天空戦記シュラト』はインドの仏教神話をモデルに、『十二国記』は中国の春秋時代の文化を脚色したものだ」とし、「文化を融合させると同時に作品の中で団結、奮闘、不屈などの精神を浸透させ、キャラクターの勇敢さ、善良さ、正義など人類共通の美しい価値観が、各国の観客の共感を呼び起こすのだ」と論じた。

二つ目は「文化的近接性を用い、対象国の視聴者に的を絞ったアニメ生産」。何氏は「日本のアニメは特定の国の特殊な状況を分析し、相手国の文化的な類似性を掘り起こして視聴者の心理的ニーズに合わせてアニメ作品を生産している」とし、「例えば中国は日本から距離的に近いが、日本は中国にアニメ生産の拠点を設置して作品の現地化を行い、中国の視聴者の心理に合致したアニメ作品を創作している。米国、ドイツフランスサウジアラビアなどでも同様だ」と述べた。

三つ目は「日本政府がアニメ外交を提唱し、アニメ文化の海外進出に影響を与えていること」。何氏は「日本政府はこれまでもアニメ外交に積極的で、アニメ文化の海外発信を日本のソフトパワーを高める戦略的ツールとみなしている」と指摘。「日本政府は開発援助プログラムを利用して日本アニメを売り込み、各国に無償提供している」とし、2006年外務省を通じてアニメキャプテン翼」(アラビア語版)をイラクテレビ局に無償提供したことなどを紹介した。

四つ目は「集約化、市場化のモデルを採用していること」で、「日本のアニメ産業は、書籍や雑誌の出版、テレビ放送、派生商品の製造などが連なる巨大な産業クラスターであり、その集約化、市場化の運営モデルが海外進出開拓の条件を整えた」と分析。「日本アニメ産業界では多方面の投資者を組み合わせた『制作委員会』方式が生み出され、制作にかかわる複数の会社を効率的に調整することができるようになった。各当事者は著作権を共有し、互いに協力して各層(漫画のアニメ化コンテンツ化、グッズ等の商品化など)をカバーするアニメ産業のバリューチェーンを作り上げている」と論じた。

何氏は「わが国がいかにしてアニメを用いて中華文明を描き、中国の物語を語り、優れた文化的要素をその中に溶け込ませるかなどについて、日本のアニメ文化の海外進出の経験は参考になる」と指摘している。(翻訳・編集/北田)

中国紙・環球時報は31日、日本のアニメ文化の海外進出の経験は中国の参考になるとの文章を掲載した。