SAOメインメニュー縛りRTA   作:アルシャ

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第1話 メインメニュー縛り

「リンク・スタート」

 

 計測開始です。

 

 どうも皆さん初めまして、お馬鹿百階位と申します。

 今回はこの世界初のフルダイブ型オンラインゲーム、ソードアート・オンライン、通称SAOの縛りプレイを行います。

 

 縛りの内容は、メインメニューを開かない縛りという、たったこれだけのいたって単純な縛りプレイです。

 

 たった1つしか縛らないなんて簡単だな! 

 

 と、思うかもしれませんが、正直かなり厳しいです。

 では、その厳しい理由を軽く説明します。

 

 まず、メインメニューを開けないという事は、スキルスロットが使えないという事です。

 つまり、必然的にソードスキルが使えません。

 ソードスキルは、その装備の種類、片手用直剣なら、片手用直剣のスキルをスキルスロットに登録しておかなければ使用できないためです。

 

 防具も金属系はスキルスロットが必要なので、皮装備とかしか出来ません。

 

 アイテムストレージも開けないため、一度アイテムストレージに収められたアイテムのオブジェクト化や使用も出来ません。

 

 今自分がいくらお金、コルを持っているかも確認できません。

 

 マップも開けません。

 

 プレイヤー同士の取引も出来ません。

 

 フレンド申請やデュエルの申請も行えません。

 

 レベルアップ時のステータスの割り振りが出来ません。

 つまり、敏捷と筋力を上げられません。

 

 倫理コード解除が出来ません。

 倫理コード解除が出来ません。

 倫理コード解除が出来ません。

 

 ……おのれ茅場ぁ! 

 

 このほかにもまだまだ出来ない事、気をつけなければならない事はありますが、メインメニューをたった一つ縛るだけで、難易度が地獄になる事は皆さんも分かっていただけたかと思います。

 

 この状態で、目標タイムより早くSAOをクリアしなければなりません。

 

 とりあえず細かい説明は後回しにして、名前をつけましょう。

 名前はなんでも構わないので、お馬鹿百階位としましょう。

 

 次にアバター生成なのですが、まず性別を男に設定します。

 女性でやると色々と不都合が生じてタイムがとても伸びてしまったりするので、ここは男性一択です。

 

 そして、身長を130センチに変えます。

 その後、出来るだけその身長にあったリアリティーのある顔にします。

 そして、出来るだけイケメンすぎず、さりとて不細工ではなく、中間より上、もしくは上の下あたりの顔立ちに整えます。

 

 チュートリアルの手鏡以降アバターはリアルの体に変わるんだから意味がないだろ! 

 

 と思われるかもしれませんが、これはとても大切なことです。

 理由はまた後ほど、そのチュートリアルで時間の余っている時に説明します。

 そのほかの本格的な説明もその時に。

 

 今回はランダム生成されたデフォルトがかなりよかったため、いじる部分を少なくして、顔立ちは上の中程度になりましたが、多分大丈夫です。

 もう少し時間を使えば、顔立ちを悪く出来ます。

 ですが、当然ながらここでアバターをいじる時間は少なければ少ないほどいいですから、このまま行きます。

 

 さて、これでゲーム開始です。

 ここ、始まりの街中央広場がスタート地点となります。

 

 このゲームの利点として、最初に長ったらしい説明やチュートリアル、オープニングムービーがないため、リセットが遠慮なく行なえる点が挙げられます。

 RTA勢としては、とてもありがたいことです。

 ただし、チュートリアルは後ほど、とても長ったらしいものがあるのですが。

 

 それはひとまず置いておいて、まず武器屋に猛ダッシュします。

 

 アバターの生成に少し時間を使っているため、すでにクラインはキリトを捕まえており、ここで呼び止められる事はありません。

 

 武器屋に入ったら、まずはスモールソードを購入します。

 ここで原作主人公であるキリトと、後にギルド風林火山のリーダーになるクラインとすれ違いますが、気にしなくても構いません。

 

 スモールソードを買ったら、即時装備するかしないかの選択肢が出るので、ここで装備を選びます。

 

 この縛り、メインメニューを開けない、という関係上アイテムストレージも開く事ができないため、装備の付け替えができません。

 

 なので、即時装備しないを選択して武器がアイテムストレージにしまわれてしまったら、もう2度とその武器は使用できません。

 

 気をつけましょう。

 

 さて、後はポーチを買ったら、直ぐに北西のゲートから街を出ます。

 

 あまり時間に余裕はありません。

 チュートリアルが始まるのが5時半過ぎであり、SAOの正式サービス開始時間が午後1時からなので、たった4時間半しかチュートリアルまで時間がありません。

 

 それまでにクエストを一つクリアします。

 もしクリアできなければ基本的にはリセットです。

 

 さて、街を出たら当然モンスターがいます。

 このモンスター達は、倒したいところではあるのですが、時間がないので全て無視します。

 

 ソードスキルを使えるのなら、1撃で倒せるモンスターもいるため、走りながら見つけたモンスターを狩っていきたいのですが、残念ながらソードスキルが使えないため、倒すのに2撃以上かかってしまい、クエストクリアが間に合わなくなる可能性が高まるため、全て無視です。

 

 なので、この広い草原をただただ北西に走ります。

 

 この間に少し説明を。

 スキルスロットが使えないという事は、ソロの必須スキルである索敵と隠蔽が使用不可能という事です。

 システムに頼ることができないので、薄暗い森の中での敵の索敵や、隠れるのは、全て自分の腕次第、プレイヤースキル次第ということです。

 

 ですが、少なくとも低階層では問題ありません。

 何度も何度も繰り返してきているので、そうそうミスは起こりませんから。

 

 そして、今からやろうとしているクエストは、森の秘薬というクエストです。

 

 このクエストは、クリアすると報酬として強い武器が貰えます。

 

 序盤は本当にやることが多すぎて、火力不足が深刻なので、早く強い武器を手に入れる必要があります。

 ソードスキルが使えない分の火力を埋めるために。

 

 この近辺で、しかも4時間半以内に手に入る武器は当然ながら限りがあり、検証の結果、レベル1でも倒しやすいリトルペネントを乱獲してレベルを上げながら武器も手に入れるこの方法が最も効率が良いと判断したため、森の秘薬クエストを進行します。

 

 さて、平原を抜けたらその先には深い森があるのですが、その迷路じみた小道を抜けると、目的の村があります。

 

 当然、村に向かう道中の森の中にもモンスターが出ますが全て無視、見つかっても木々を利用しながら走って逃げます。

 

 さて、着きました、ここがホルンカの村です。

 のどかですね。

 さて、早速この村の一番奥にある民家に向かいます。

 

 武器屋にはいきません。

 

 ここにはスモールソードよりも攻撃力の高いブロンズソードが売っているのですが、耐久度の消耗が早いため、今から行う3時間の狩には耐えられません。

 それに、攻撃力が高いとは言っても、攻撃回数はそう変わりません。

 

 アイテムストレージが使えるのならば、予備のブロンズソードを持って行くこともできるのですが、使えないですし、即時装備ボタンを押すと、今まで装備していたものがアイテムストレージ内に勝手に収納されるため、2本腰に下げておくこともできません。

 

 何より、道中の敵を一切倒していないためコルが足りません。

 なのでここはスモールソードのままで行きます。

 

 さて、民家に着きました。

 

 ここには二人のNPCが居ます。

 1人は鍋をかき混ぜており、もう1人は奥の部屋で寝込んで居ます。

 

 この鍋をかき混ぜて居るNPCから、森の秘薬クエストを受けられます。

 

「こんばんは、旅の剣士さん。お疲れでしょう、しょくじをさしあげたいのだけれど、今は何もないの。出せるのは一杯のお水くらいのもの「いいえ」」

 

 ここで絶対に肯定してはいけません。

 いいよ、や、イエスなどと言ってしまうと、このNPCは水を汲んでこちらに差し出してきます。

 

 つまり時間のロスです。

 

 椅子に座ってクエストが発生するのを待ちます。

 

 来ました。NPCの頭上に金色のはてなマーク、クエスト発生の証が現れました。

 

「なに?」

 

「旅の剣士さん、実は私の娘が……」

 

 長いので要約すると、西の森のモンスターを倒して薬の材料を取って来てくれ、頭に赤い花が咲いた奴が薬の材料を落とすから、という事です。

 

 基本的に、クエストの話は全て聞かなければフラグが立たないため、どれだけ長い話でも聞かなければなりません。

 スキップ機能はありません。

 

 おのれ茅場ぁ! 融通のきかない奴め! 

 

 そう、ここでフラグを回収しておかなければ、リトルペネントの花つきを倒したところで胚珠が入手できません。

 

 なので、わざわざ先にこの村に立ち寄った次第です。

 先に胚珠が入手できるなら、わざわざ村には寄らなくて済んだものを。

 

 まあ、仕方ない事です。

 

「……お礼に先祖代々の長剣を差し上げましょう「はい」」

 

 これでクエストの受諾完了です。

 

 これも、出来るだけロスを減らすために、システムが認識できるギリギリの速度で、はっきり言う必要があります。

 

 さて、西の森に向かいましょう。

 

 やって参りました西の森。

 

 初の戦闘が始まります。

 この森には、リトルペネントという植物型のモンスターが出ます。

 

 リトルとついていますが、身の丈1メートル半の自走植物です。

 姿ははっきり言って気持ち悪いです。

 

 見つけました。カーソルの色はマゼンダ色、強敵ということです。

 この赤色の濃淡で、敵の相対的な強さを大まかに測ることができます。

 圧倒的レベル差のある敵は、血よりも濃いダーククリムゾン。

 雑魚は白に近いペールピンク。

 適正な敵がピュアレッド。

 

 そして、クエストのターゲットには、狭いイエローの縁取りがあります。

 

 まあ、ターゲットとは言っても目の前のリトルペネントの頭には花がないので、倒しても胚珠は手に入りませんが。

 

 それでも倒します。

 

 倒していけば、花つきの出現率が上昇しますし、それにリトルペネントは経験値効率がいいですから。

 経験値効率が良い理由は、能力面が攻撃に偏っており、防御力がとても低いため、攻撃を受けなければ短時間で数を狩れるからです。

 

 リトルペネントの攻撃パターンは、先端が短剣状になったツタによる切り払いと突き、そして口からの腐蝕液噴射です。

 

 この腐蝕液に当たると、粘着力によって動きが阻害され、HPと、そして耐久値が激減します。

 

 耐久値が激減するという事は、当然、武器に当たれば武器がすぐにダメになり、服に当たれば破れます。

 

 そう、破れます、服が。

 だから別にどうってことはありませんが。

 

 少し話は変わりますが、以前自分、もうクリア不可能となった時、リセットする前に何度かこの腐蝕液を持ち帰れないものかと、かなり長時間、約1年ほど実験を行ったことがあります。

 

 勿論目的は攻略のためです。

 敵の持つ武器や防具の耐久値を減らして、敵の弱体化をするためです。

 それ以外の目的なんてありませんよ? 本当ですよ? 

 

 因みに、圏内でも装備品の耐久値は減らすことができます。

 だからどう、ということはありませんが。

 

 しかし、何をしようとも長時間の保存が不可能でした。

 瓶に入れて持ち帰ろうにも、瓶の耐久値が持ちませんし、何より時間が経てば勝手に消えていますし。

 もういっそリトルペネントごと持ち帰ろうと思い、無理やり連れて行ったのですが、圏内にリトルペネントを入れることは何度やっても、何をやっても不可能でした。

 

 ……くそぅ、おのれ茅場ぁ! 許さんぞぉぉ! 

 

 この怒り、目の前のリトルペネントにぶつけましょう。

 因みに、花つきの出現率は1%以下です。

 なので、とにかく早くここに来て敵を倒し続ける必要があったということです。

 

 さて、では戦闘を始めましょう。

 

「シュウウウウ!」

 

 リトルペネントは、右のツルを突き込んできたので左に回避して、側面に回りこみ、リトルペネントのウツボ部分と太い茎の結合部、弱点に横切りを叩き込み、その勢いのまま体を回転させます。

 

 こちらのレベルは1で、リトルペネントのレベルは3ですが、防御力が低いのでこれだけでHPを3割近く削れます。

 これにより、リトルペネントは怒りの声を上げて腐蝕液発射の予備動作を行いましたが、発射前にギリギリもう一撃入れる事が出来るので、回転した勢いのまま、再度同じ場所を切りつけます。

 

 これによって、大体リトルペネントはスタンするのですが、ごく稀にスタンしない場合があるので、回転の勢いを緩めないまま敵の捕食器ををちらっと確認します。

 

 スタンして居れば、捕食器の周りを黄色いエフェクトが取り巻いています。

 

 スタン確認、オーケー。

 ならば、回転速度を緩めないままもう一撃同じ場所に当てます。

 

 これで戦闘終了。

 勝利です。

 

 回転によって速度が増しているため、最初より2撃目、2撃目より3撃目の方が威力が上がっているため、今回は3発で倒せました。

 

 もし、2撃目の後で敵がスタンしていなければ、すぐさま横に飛ぶ必要があります。

 そのままでいると腐蝕液を食らうためです。

 女性アバターでやっている時ならいざ知らず、今は男性ですからね。

 

 いや、それ以前にRTAですから食らうわけにはいきませんが。

 

 リトルペネントとの戦い方は、かなり練習しているため、よっぽどの事態が起きなければ全て対応できます。

 数も3体までなら無傷で倒せます。

 4体になってくると少し厳しいものがありますが。

 

 なので、基本的には1〜3体までのリトルペネントを相手にしていきます。

 

 勿論、実を割って周囲を囲まれればどうしようもありません。

 

 説明していませんでしたが、リトルペネントには、花つきの他にも実付きがいます。

 

 この実付きの実を割ると、周囲一帯のリトルペネントが大量に押し寄せてくるため、お気をつけください。

 

 最初はそれを利用してレベル上げをしようかとも考えたのですが、全方位を囲まれて攻撃されたら、避けられるはずがありませんので、簡単に死にます。

 一応、デスゲームが始まる前の今は死んでも黒鉄宮で蘇生されるのですが、当然大幅なロスの為リセットです。

 あんなものを生き残れるのは化け物か主人公くらいですよ本当。

 

 まあもっとも、実付きの出現率も花付きと同様の1パーセント以下なので、それほど心配しなくとも大丈夫です。

 

 では、しばらくは単調な狩のお時間です。




他の作品も書いているのに、設定と決着が思い浮かんでしまったので、衝動で書いてしまいました。
当然ながら過程が浮かんでいない為、決着はどうせ変わって行くでしょうが。

最近忙しくなってきてしまったのと、他の作品も書いている為、更新速度は遅いです。

それと、自分はbiim兄貴を知らないです。
そんな自分がRTA小説を書くことに不快な思いを感じる方がいらっしゃったらすみません。

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