前編に続きまして、二日目の回想です。
さっそく、キイロヤマトンボのいる川へGO!
…の前に、筑波大学構内の池に立ち寄り、昨日お世話になったお二方と合流。
というのも、一日目に
「ムカシトンボとキイロヤマの他に、ホソミオツネントンボもついでに狙っているんだよね~」
などという話をしたところ、
「大学にいるよ」という衝撃的な情報を耳にしてしまい、これは行くしかない…となったからでした。
張り切りすぎて集合時間30分前に大学へ侵入し、一人で水辺を探索してたんですが、いるのはアジアばかり…
構内には池がいくつかあるようだったので散策しながらホソミオツネンを探しましたが、おらず。
そういえば、筑波大って大学構内にスタバがあるんですね、、、
某新潟大学(笑)とは格が違います。
マンモス大学のオーラに圧倒されつつスタバの店内に一瞥を与え、インスタに加工した写真をアップしていそうな女子大生を横目に歩いていると、いつの間にか集合時間になっていました。
集合場所の池(?)に行くと既にお二人がいたんですが、さっそく足元を指して
「ホソミオツネントンボいるよ」
と…
指をさす先には、きれいに青く色づいたヤツの姿が…!!!
(うそだろ、さっきそこ探したぞ笑)

ホソミオツネントンボ@筑波大学
実は昨日すでに一個体採集していたんですが、昨日は撮影する精神的余裕がなかったのでこれが初撮影です。
(草むらに寝そべってiPhoneで撮った写真にしてはそこそこいい写りじゃないですかね)
こっちに来る直前まで目標にしていなかったトンボなので、凄くラッキー感がありました。
アオイトトンボ科として異形の美しい青い体色、Indolestes属特有の胸部前面のアンティークな模様…たまりません。
全国的にはそれなりに普通種のカテゴリに入るトンボではありますが、同じく越冬性のオツネントンボより寒さに対する耐性が低いようで、私のメインフィールドである新潟・山形では一切見たことがありませんでした。
これでようやく、国産越冬トンボ3種をコンプリートしたことになります。
池の周囲を探すと♂が他に3,4頭いましたが、♀は不在。でもまあ、これからの人生でも狙えるチャンスは多そうなトンボだったので、♂を一頭頂いて池を後にしました。

キイロヤマがいるという川へ到着。
両岸ともに護岸はなし、きれいな砂底、程よい流速、河畔にはちょうどいい規模の竹林、岸にはなだらかに堆積した泥。
うーん…最高!
Googleストリートビューで散々予習した通り、いかにもキイロヤマや色々なサナエがいそうな川です。
やどけんの方曰く、いつもはもっと水がきれいで水位が低いとのことだったので、今回は増水のタイミングに当たってしまった模様。
増水の影響からか、岸に近づいてヤゴとりができそうな場所は少なく、車で何回か場所を変えてガサガサしました。
いざ網を入れてみると意外に生き物が少なく、カゲロウ・カワゲラ・トビケラ系さえほとんど入らないような状況だったのですが、数回に一回、ヤゴや魚がヒットしました。
一回、川面に成熟したヤマサナエの♂が出現する一幕もありました。(捕獲・撮影ならず…)
そして、捜索開始からしばらくして…

入りました!!!!!!!!!
小さいですが、キイロヤマトンボのヤゴ!!
噂に聞く通りのハッキリとした虎模様でめちゃくちゃかっこいい!
しかし、この小ささでは長期間の飼育が必要なので、写真だけ撮って放流。
…ところが、この後、しばらくキイロヤマが全く入らない時間が訪れます(絶望)
多産地と聞いていたので、さっき軽い気持ちで放流してしまったことがどんどん悔やまれます。。。

でかいヤゴが入り、お…と思うも、コヤマトンボ。やっぱり混生してるみたいですね~。
このコヤマはけっこう羽化が近そうで、翅芽が少しふくらんでいました。
この後何回か移動を重ねると、川幅が広くて遠浅で、中州が発達している場所に行きあたりました。

ヤゴがいそうな匂いがプンプンします。
有難いことに胴長をお借りすることもでき、最強装備となったところで、いざ川に突入。
割とすぐに、さっきより小さい極小サイズでしたが、キイロヤマのヤゴが入りました…!
その後も少しづつキイロヤマ・アオサナエ・ホンサナエなんかのヤゴが入ります。

キイロヤマは捕獲するたびに少しづつサイズアップしていきました。。。
(引きなおす度にレア度が上がっていくソシャゲのガチャかよ…)
しばらくしてキイロヤマの亜終齢を発掘すると、いよいよ緊張感が増します…
この法則で行けば次こそ終齢が入る…
終齢…
終齢……
終齢………ッ!!!!!キイロヤマガチャ、大当たりです。
こんなことってあるんですね…
昨日のムカシトンボに引き続き、キイロヤマのヤゴも華麗に達成してしまいました…
私がヤゴを探している間に、やどけんの先輩も浅瀬で珍しい流水性ガムシを発見していたよう。

成果もあり、いい時間(というか、かなり昼過ぎ…)だったので3人でメシへ。
行き当たりばったりでそば屋さんに入ったらかなり高級な所で、メチャクチャうまい蕎麦を食べることができました…
採集=ラーメンみたいな風潮がありますけど、たまには蕎麦も趣があります。
腹も満ち、個人的な目標はコンプリートしたため、夕方はやどけんの方々オススメの自然豊かな田園地帯へ連れて行ってもらいました。

のどかな田園地帯を流れる小川を見つけました。
ここも泥がよく堆積していて、ヤマサナエやキイロサナエが大好きそうな環境です。
日本海側では護岸されていない小川を見つけるだけでも一苦労なのに、筑波にはこういった水路・小川がたくさんあるようです。日本海側は「雪解け洪水」というものがあるため、ある程度の護岸は農業の都合上仕方ない部分がありますが、新潟在住の身としては非常にうらやましい場所です。
泥底の河川を好むヤマサナエやホンサナエが1950年代あたりを境に北陸・東北で壊滅的に減少している理由もここらへんにあるんですが、少なくとも筑波ではこの二種の将来はまだ明るいみたいですね。ほんとに恵まれた環境だ…
トンボ屋として、いい川を見たら入るのが礼儀ッ!

(右の長靴は浸水で犠牲になりました)
(皆さんは絶対に真似しないでください、ここもマムシとかがよく出る所らしいですし…)

予想的中、ヤマサナエ、オニヤンマ、ダビドサナエ、ニホンカワトンボが入りました!
ヤマサナエの中身入りのヤゴは見たことがなかったので、かなり嬉しかったです。
(ヤマサナエとキイロサナエのヤゴを正確に識別する能力はこの時は無く、キイロが混入している可能性は否定できなかったのですが、改めて見るとやはり全部ヤマサナエでいいようです。キイロも見たかったな…)
夜は大学に戻って筑波大学内のいきもの観察。

建物の壁にヤモリがついていて感激…
ヤモリを見ると沖縄に来てしまったような感覚に陥ります(雪国県民並みの感想)

「ヒタチマイマイ」という、ちょっと珍しいカタツムリだそう。陸生巻貝に詳しい先輩から教えていただきました。そう言われてみると見たことない模様かも。
調べると茨城には多いそうで、大学内ではけっこう大量にいました。

あとは、サクラの葉裏で見かけたナナフシモドキなど。
樹皮めくりでカニムシをさがしつつ小さなクモやダニ類についてレクチャーを受けたりもしました。
こんな感じで、今回の遠征の回想は以上。
一人旅のはずが一人だった時間はほぼなく、ずっとワイワイしていたような気がします。また、2,3泊程度の遠征ということもあって、現地で標本をつくるための用具・設備を持参する必要もなく、身軽で気軽ないい遠征でした。
つくばはアクセスもそこそこ良いし、虫屋にはうってつけの僻地具合で、良好なフィールドがたくさんありました。これはリピーターになる予感…?
GW筑波遠征回想 終
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