「余命を存分に生きる」副作用なしの抗がん剤があった!
高額な民間療法か、副作用で苦しむか
私の知人ががんで亡くなった。原発は胃がんだったが、私が会ったときは肝臓とリンパ節に転移していてステージ4だった。ドクターからは「余命は3ヶ月」と言われたそうである。
「コリンエステラーゼ(肝細胞でつくられる酵素)が150を切ると、余命が1~2ヶ月の可能性はあるが、まだ200を超えているから急に悪くなることはないでしょう」
医師にこう言われたというので、私は思い切って、残された3ヶ月をどう生きるつもりなのか、と尋ねた。
60代後半だが、顔はつやつやしていて、今にでも「ちょっと仕事に」と出かけそうな雰囲気だった。
「ステージ4ですから、もう使える抗がん剤はありません。医者から抗がん剤を勧められましたが、どうせ副作用で苦しむだけだからやめました。すると、親戚や友人から『こんな治療法があるからどうだ』って毎日のように勧められるんです。いわゆる民間療法で、値段は目玉が飛び出るほど高い。
でもこれで良くなったと聞くと、つい手を出したくなります。治療法がないと言われて、はいそうですかとは引き下がれませんからね。だからといって高額の民間療法に手を出したら子供たちに負債を残すだけです」
彼は迷った末に民間療法を断わり、かわりに自分が立ち上げた小さな会社を清算することに力を注いだそうだ。跡を継ぐ子供がいないこともあって、それを自分に残された人生の目標にしたのである。結局、宣告された余命の倍以上を生きたが、死の1カ月前に会社の清算が完了したせいか、穏やかな死に顔だったという。