イーロン・マスクがTwitterを買収して早1年。
時価総額440億ドル(約6兆6000億円)だったのが今や190億ドル(約2兆8000億円)。1年で半分以下に落ち込んでしまって、アプリのダウンロードもダダ下がり。
そんな悪夢の連続の1年のなかでも最悪だった出来事を米Gizmodoが特集しています。タイトルでは「ワースト12」とあるのですが、おまけがゴロゴロついてるところに削る苦労の跡が…。
1. イーロン・マスクが洗面台を持って本社入り
日付を見ると2022年10月26日とあります。まだあのときは陽気なイーロンでした。
でも買収が成立した途端、態度が豹変。CEOはじめ経営陣をその日の深夜のうちに全員解雇して、待ってましたとばかりに青バッジの有料化を発表。あれ?あれれ?な雲行きとなりました。
2. 自家用ジェット追跡アカウントをBAN。BANやめて、またBAN
世界を股に掛けて飛ぶイーロン・マスクの足取りを追う19歳の子のアカウント@ElonJetが消えたり戻ったり、また消えたりを繰り返し、永久BANになったこともありましたねぇ…。
今は競合のThreadsで生き延びています。
3. お菓子の予算が増えて、不妊治療の補助が減る
大量レイオフが吹き荒れた2022~2023年。企業はどこも社員用スナックの予算をじゃんじゃん削ってますが、イーロン・マスクは逆に、残った社員のために、お菓子とコーヒーの予算を大幅UP。
もちろん増やした分、どこかで元をとらなきゃってことで、目を付けられたのがファミリープラニングの福利厚生です。
もともと養子縁組、代理出産、卵子・精子凍結、不妊治療に社員1人あたり延べ8万ドル(約1200万円)までを会社が肩代わりしていたのですが、今年1月を境に、それが半分までになりました。
4. API有料化、不評の嵐で遅れに遅れる
RedditもAPIの有料化を4月に発表してユーザーから怒号の嵐でしたが(7月からリクエスト数に応じた課金を開始)、Twitterも2月にAPIのフリーアクセスを終了することを発表。反発がひどくて先送りになったけど、結局は有料化されちゃいました。
競合AIに無料で使わせたくないってことなんですが、大学研究員にとってはかなり痛い出費となります。
5. Twitterの極秘VIPリストが出回る
買収直後、ネットに出回った怪情報の類いと思いきや、のちの調べでれっきとした本物で、タイムラインにTwitter社が意のままに流せるVIP35名のリストであることが判明しました。
中にはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員や、MBAの王者レブロン・ジェームスなんかの名前が並んでいます。アルゴリズムの網の外にあるパワーユーザーですね。
一応、おすすめのアルゴリズムを変えると、どうエンゲージメントに影響するか確かめたりするために開発したリストっていうのが公式の説明です。
6. TwitterがTwitterでなくなる
リブランディングで新社名が「X Corp.」に変わって、看板が剥がされ、「Twitter.com」にアクセスすると「X.com」に自動的に飛ぶようになりました。
まだ新しいロゴに目が慣れてなくて、Twitterのアプリ、いつのまにか消えたー!とか思ってる人もいそう。
7. 新CEOにリンダ・ヤッカリーノさんを起用
ワーストに入れるのは申し訳ないのですが、 5月に次期CEOに指名されたのはNBC放送エグゼクティブのヤッカリーノさんでした。主な役割はイーロン・マスクの尻拭い。不可能を可能にする任務です。
9月にはVox Media主催Codeカンファレンスで初めて公の場に姿を現したんですが、Twitter新体制に絶望して辞めたトラスト&セーフティ部門元トップの Yoel Rothさんが会場にサプライズでいて(動画上)、判で押したような受け答えに終始する地獄の40分となりました(動画下)。この組み合わせはえぐい…。
これに懲りて、次に予定されていたWSJ主催カンファレンスも欠席にしちゃったのでした…。
8. 退職金払え!と元人事トップに集団訴訟を起こされる
本社のリース代も未払いで、データセンターも急にNTTにお金払うの惜しくなって自力で引っ越しちゃったマスク。退職金も未払いだったようです。その額なんと5億ドル(約752億円)。
9. トランプ公式アカウントの強制捜査に協力が遅れて罰金35万ドル(約5300万円)
世界一の金持ちにとってはポケットマネーでも、瀕死のXにとってはどんな出費も貴重なはず。なのに、こんなどうでもいいところで罰金。
10. 偽情報にフラグを立てられなくなる
2022年にできたフラグ機能も9月に消えて、真贋の区別がますます難しくなっています。最新のAdWeekの調査では、Xに氾濫するガザ・イスラエル紛争がらみのデマの76%が青チェックの有料アカウントから流れてることもわかっています。
11. ニュースリンクのタイトル&本文埋め込み表示を廃止
これも随分ややこしいことになった改変。デザインをすっきりさせるためというのが公式の説明ですが、海外では「メディアを目の敵にしているマスクによる嫌がらせ」「クリックして外部に人が逃げてしまうのを防ぐのが目的」だと言われています。
12. 大量レイオフ
まず半分レイオフして、部門ごと消滅させたりを繰り返し、自分から辞める波も加わって、7,800人いたTwitter社員は現在1,300人。回っているのが不思議なぐらいの規模縮小です。
以上です。
気になるのは今の状況ですよね。これについては「イーロン・マスク体制になってからあらゆる面でエンゲージメントが落ちている」とSimilarwebが1年を総括していますので、主なデータを付記しておきますね。
< class="" >●9月の世界のtwitter.comのトラフィックは前年同期比14%減、広告主がアクセスするads.twitter.comは-16.5%減(Similarweb推計)。
●国別で9月のtwitter.comのトラフィックを見た場合、米国は19%減、英国11.6%減、フランス13.4%減、ドイツ17.9%減、豪17.5%減。
●iOSとAndroidのアクセスも米国は前年比17.8%減。 世界全体ではAndroidからの利用が14.8%減。
●2023年1~9月期のtwitter.comのトラフィックは米国が前年比11.6%減、世界全体では7%減。
●イーロン・マスクのプロフィールだけは伸びており、9月は前年同期比96%増だった。
●9月は大手SNS100社全体でも3.7%減っているのでTwitter単独ではないが、世界のトラフィックが22.8%も伸びているTikTokと明暗を分けている。
●ニュースソースとしての座も揺らいでおり、3年前にはnytimes.comへの流入のうち3~4%以上はTwitterからのものだったが、今その割合は1%を切っている。記事のリンクからタイトルと概要を削られたのが響いた。