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西区の村重さん 球団創設当初から応援
18年ぶりにプロ野球のセ・リーグ優勝を果たした阪神タイガースが、日本シリーズ進出をかけて広島カープと対戦するクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは18日、甲子園球場で始まる。日本一を目指すタイガースに、熱い声援を送る女性が神戸市西区にいる。球団創設当初からのファンで、18日が102歳の誕生日の村重フミさん。球団初の日本一になった1985年に購入した球団マスコットの人形を抱きしめ、「生きている間にもう一度、日本一を見せて」と期待する。(新谷諒真)
CSファイナル初戦に誕生日 「もう一度日本一を」
介護付き有料老人ホームで暮らす村重さんは、熱烈なタイガースファン。毎朝のスポーツ新聞のチェックを欠かさず、試合のテレビ中継を見ては、「ここはスクイズだろ。1点取れたわ」「35番(才木浩人投手)は信頼できる」などと厳しくも熱い言葉でエールを送る。
1921年に山口県岩国市で生まれた村重さんとタイガースの出会いは、日本職業野球連盟(プロ野球)が発足した36年。後に「ミスタータイガース」と呼ばれた藤村富美男さんが安打を量産する様子を、ラジオで聴いたことがきっかけだった。野球に興味もなかったが、藤村さんの活躍にのめり込んだ。かじりつくようにラジオに聴き入り、ルールを必死に覚えた。
初めて試合を観戦したのは戦後間もない頃。広島県で行われたタイガースの試合に足を運ぶと、打って、守って、躍動する藤村さんの姿があった。「勝ったか負けたかは覚えていないけど、動いている姿を見てうれしかった」と、「タイガース愛」はより強くなった。
結婚して神戸に転居してからは、頻繁に甲子園球場に通った。藤村さんの後は、田淵幸一さんや岡田彰布・現監督がお気に入り。85年の日本シリーズは甲子園球場で観戦し、記念に買った「トラッキー」の人形は今も肌身離さず持っている。孫に譲ってほしいとせがまれても、「死ぬまで譲らん」と断ったほどだ。
2010年から施設で暮らすが、コロナ禍前までは頻繁に球場で観戦した。施設でも洗濯など身の回りのことをできる限り自分でこなし、「もう一度、日本一になるまでは死ねない」と意気軒高だ。施設関係者も「100歳を超えて、これだけ元気なのは驚異的だ」と評するほどだ。
今季の戦いぶりを、「前に優勝したときも守備が堅かった。投手がよかったといわれるけど、捕手のリードがよかったのも大きい」と独自に分析する。リーグ優勝に導いた岡田監督については、「現役時代から勝負にこだわる厳しさが好きだった。監督や選手たちの頭を『よし、よし』ってなでてやりたい」と手放しで褒めたたえる。
CSはテレビ観戦の予定だが、「日本一にならないと意味がない」と手厳しい。「弱かったときも長かったから、自分の誕生日に試合をしていることは少なかった。勝ってくれたら、最高のプレゼントになる」と勝利を心待ちにしている。