げきちゅう‐げき【劇中劇】
〘名〙 劇を演じることが、ある劇の
筋立ての
一部として演じられている場面。劇の中での
一つの場面として行なわれる劇。〔モダン辞典(1930)〕
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デジタル大辞泉
「劇中劇」の意味・読み・例文・類語
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劇中劇
げきちゅうげき
play-within-a-play
登場人物によって劇中で演じられる劇。いろいろの形で劇の本体に組込まれ,二重構造による一つの戯曲を形成する。劇中,他の登場人物を前に芝居を演じるという形式としては,シェークスピアの『夏の夜の夢』 (1595~96頃) や,J.アヌイの『泥棒たちの舞踏会』 (1932) のなかのしろうと芝居,『ハムレット』 (1600~01頃) で旅役者が演じる「ゴンザゴ殺し」などがある。登場人物が俳優で,その演じる舞台面が劇中劇となる形式では,A.デュマの『キーン』 (1836) における「ロミオとジュリエット」や J.-P.サルトルの『キーン』 (1953) における「オセロ」の場面があげられる。また,これほど明確ではないが,登場人物の魔術が引起す幻想場面をもつ『テンペスト』 (1611~12頃) ,登場人物が語るエピソードが劇中劇となって表現される A.シュニッツラーの『緑の鸚鵡』 (1899) ,現実と虚構の問題を追求するために劇場を舞台とした L.ピランデッロの『作者をさがす6人の登場人物』 (1921) なども,劇中劇を内蔵する戯曲といえる。さらに劇中劇を広く解釈すれば,B.ブレヒトの『コーカサスの白墨の輪』 (43~45) も,P.ワイスの『マラー/サド』 (63) も,劇中劇によって構成された作品といえる。
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げきちゅうげき【劇中劇】
一編の劇の中に含まれている別の劇。ときには,こういうものを含む劇全体についても劇中劇という言葉を用いる。シェークスピアの《ハムレット》の場合のように比較的短い一場面が劇中劇になっているものから,同じシェークスピアの《じゃじゃ馬ならし》の場合のように,事実上,劇の大半が劇中劇になっているものまで,さまざまの段階がある。複雑なものになると,一編の劇が複数の劇中劇を含んでいたり,劇中劇の中にさらに劇中劇があったり,劇中劇の稽古や上演とそれにかかわる俳優や観客の生活とが並行して進むというかたちをとったりする。
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