邂逅Ⅵ〜F 彼らのターニングポイント(ChapterⅠ)

邂逅Ⅵ〜F 彼らのターニングポイント(ChapterⅠ)

名無しの気ぶり🦊


「────そんな顔すんな。世界は俺が守ってやる」


「…もう信じないよ。君の事は…」

「あっ…?」


(なんであたしたちがこんなことになってしまったのか)

(全てはそうね)

(…昨日に遡るんだ)

「クラウン、あたりの連中を避難させろ!」

「その後はミッチーにしばらく同行ってことでいいかしら!」


「そんな感じだあ!」


「急に始まるとか、聞いてないんですけどーっ!」

「シュヴァルちゃん私から離れないでねっ」


「も、もちろん!」

「…でも街中にジャマトが現れるなんて、今までになかったよね…」


ツムリさんの慌てたナビゲートで世界の終わり、その序曲が始まった。


『緊急事態です。仮面ライダーの皆さん、今すぐ、街の防衛にあたってください!』


「この世界も終わりは近い。変身!」

「キタ、近くにいた連中の避難は?」


「ばっちりですっ!」

「よし、なら俺からあまり離れんな。こうなった以上どこもかしこも危険だ」

「分かりました!」


「ただし通常ジャマトを一掃するまでだ。そこからはデザイア神殿に避難しろ。恐らく今回の敵は過去最大級に手強いジャマトだろうからな」

「トレーナーさんがそこまで言うってよっぽどですね…」


「ああ。まあ経験者だからな」

「?」

(過去にも出会ったことがあるのかな、あたしが知らない時期に…)


「でも分かりました、あたしの将来を心配してくれてのことですもんね」

「ああ…変身!」


『MAGNUM』


トレーナーさんはギーツに変身し、ジャマトと交戦。



その後、私とミッチーは浮世トレーナーやキタサンたちと合流、安全上私たち担当ウマ娘はデザイア神殿に避難して

ラストミッション、ジャマト缶蹴りが始まったのだけど


「ぐあああッ⁉︎」


サボテンのようなチェスのナイトみたいなジャマト、こいつがラスボスなのだけれど見た目に反してなかなかにパワフルで皆翻弄されて、なんならミッチーは少しダメージ受けちゃって。


こいつが持つ缶、勝利条件にして打破の鍵である人間やウマ娘を捉えたアイテムを蹴ることなんてまあできないままで終わったの。


「油断しないでください。世界を滅ぼす力を持つ、強力な相手です。まともに戦ってはいけません!」


「ラスボスは発見した人間を捕まえ、その生命力を使って巨大化します」


その後は一時解散ということで祢音ちゃんの発案で僕、浮世トレーナーやキタさんはもちろん、クラウンさんが上手く乗せてくれたからか彼女と吾妻トレーナーも含めた大所帯で、桜井トレーナーが普段働いてる蕎麦屋で晩御飯ということになったんだ


「あ、シェフ。ベルーガキャビアいただいても?」

「祢音さん。幼い頃からの友人として言わせてもらうけど、流石にベルーガキャビアは蕎麦屋にはないわよ?」

「ああ無いぞ、そば屋にそんなもの」


「そんなあ…まあいいか、ピカリ♪」


それからは祢音ちゃんの悩みを聞くことになって。


「あぁ私…どうすればいいか、分かんなくなっちゃって。世界が危ないって時に、自分の願いで戦っていいのかなぁ?って」

「祢音ちゃん…」


「誰かの命を犠牲にしても叶えたい願い、ですか…」

「難しいわね…私たちウマ娘はあくまで命の保証が確約された舞台で己が願いを賭けてぶつかっているわけだし」 


「ただ…ね、キタサン?」

「うん、クラさん」

「戦う動機は個人的なものでも、逃げずに戦っている事は誇るべきだと私たちは思う」


「これは僕たちアスリートウマ娘にも通じることだし、ね…」


「キタちゃん、クラちゃん、シュヴァルちゃん…」


「というかそんなに悩むことか?」「ああ、そんなことか」

「2人ともそんなことって…!」


「俺達は世界を守るために命をかけている。 その分の報酬は もらって当然だ」

「これはギーツに同意だな。世界と命懸けてやってんだ、それぐらいの見返りはあって然るべきだろ」


「…そっか」


この考えはあたしたち3人にとっては意外というか、実利的だったというか。


ええ、歴戦の戦士のシビアなやり取りって感じで恥ずかしながらいまいち理解が及ばなかったのを覚えてるわ。


もちろん、悪いことではないってのは僕たちにも分かるんだけど…



 そしてそこへ桜井トレーナーと沙羅さんとダイヤが来店して、いや元々3人の行きつけの そば屋さんだったんだから気づかなかった私たちの不覚ね


「景和、どういうこと?何でクラウンちゃんはともかく、英寿様や祢音ちゃんと知り合いなの?」

「えぇ…!?ちょっと…!」


「あっ、最新話も見ました~」

「いつも見てくれてありがとうございます」 


「あっ貴方がシュヴァルちゃん、祢音ちゃんの担当の子で親友の!」

「い、いやあ親友なんて照れますね、えへへ…♪」 


「姉ちゃん、恥ずかしいから…」

「沙羅さん、気持ちは分かりますけどお蕎麦が冷めてしまいますから」


祢音ちゃん絡みで話も盛り上がって


「なんでよ! 私の推しでしょ?」

「俺の知り合いだから」

「いや関係ないから」


「もーっ、2人とも落ち着いてくださいっ、ぷんぷんっ」


戦いのあとだけど…凄くリラックスできたのよね。


「うち、両親を事故で亡くして、兄姉2人暮らしなんです」

「えっ?ご両親とも?」


「そう。だから2人でやってくしかなくて」


「それは大変だな…」

「いえいえ、2人とご飯食べられて、私、今、人生で1番幸せです」


うん、最後まで凄く賑やかに過ごせたのをあたしは覚えてる。


「これからも応戦してるからね。私、一生、祢音ちゃんのファンだから」


「私も、景和と沙羅さんとダイヤちゃんのファンになりそう」

「僕もです…」


「えっ…!何で?」

「良ければお聞きしてもいいですか?」


そのまま店を出ても僕たちの会話はしばらく続いて。


「未来の家族なんだろうダイヤちゃんも含めて家族愛、最強ーっ!て感じ。うらやましいなって…」

「凄く強い絆で結ばれた3人だなって」


「ああ~そんなたいしたものじゃないっす!」

「可愛い弟と義理の妹に囲まれて楽しい毎日ですけど!」


「未来の家族扱いなんて…なかなか隅におけないわねダイヤ♪」

「もうっ、揶揄わないでクラちゃん」


その中でダイヤがしれっと妹みたいに扱われていて驚いたけれど、幼馴染としては嬉しかったわね


普段からダイヤちゃん、凄く馴染んでるもん。まあ驚いたけどね


「お前が世界平和を望む理由、わかった気が するよ」

「家族を失う痛みを知るからこそ、同じ思いをする人が増えてほしくないもんな」


トレーナーさんも、どこか遠くを、昔を見るように桜井トレーナーの過去に理解を示してた。


「英寿くんは? 家族どうしてるの?」

「忘れたよ」

「そ、そうなんだ…」


そうやってトレセンへの帰り道も盛り上がってて、普段あんまり人と話さない僕だけど凄く楽しかったしホッとしたんだ、確か。


そしてその日はそのまま解散したの。


『ラスボスは絶えず成長しています。皆さん、十分に気をつけてください。ミッション…スタートです』


そんなこんなで今日、今から少し前にラスボスジャマト戦が再開されたんだけど。


最初は桜井トレーナーが頑張ったけれどラスボスジャマトにダウンさせられてしまって


『後は世界を救うだけだな』


『行ける!』

『うわあああああああッ!!!!????』


『また、化かされたな』

『どう、いうこと…?』


『このゲームの攻略に本当に必要なアイテムだ』

『ラスボスに見つかってくれて、サンキュ』


さらには浮世トレーナーがそんな桜井トレーナーとの仲の良さを利用してブーストレイズバックルをゲットしたみたいで


(それで今、こうやって彼がトレーナーさんを怒りの目線で見てるって状況なんだ…)



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