たべ たべ
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チキンカレーのレシピ

時間がない人への3ステップの概要

①玉ねぎをみじん切りにして多めの油で濃い茶色になるまで炒める。
②スパイスを空炒りしたのち、油を加えつつ玉ねぎやニンニク生姜と合わせてペーストを作る。
③圧力鍋で鶏肉を茹でて、肉とペーストを合わせつつ塩で調味。スープを好みの粘度になるまで足し合わせて完成。



2023/9/30 夕食


お腹が空かない日だった。おそらくは、朝食に慣れないそばの実を食べ、1日分の食欲がなくなってしまったためだ。それか風邪なのか。

冷蔵庫には余分と知りつつ買っておいた鶏肉と玉ねぎが鎮座している。
妻から「またカレー…飽きた…」と日々言われ続けているため、カレーを作るための強い動機、理由が必要だった。1日だけ賞味期限の切れた鶏肉と、野菜室を開ければ異様な数だけ転がっている玉ねぎは、カレーを作る理由としてちょうどよかったのだ。

このように入念に計画された食材の飽和により、カレー作りの許可を得ることができた。

カレー作り開始


まずは玉ねぎを炒めることから。
玉ねぎはてっぺんと根っこの部分を切り落としてから、茶色い皮を剥く。(当然の工程だが、初回なので書いている)(長ったらしい文章を書くのは大の得意である)

玉ねぎを置き、南極と北極を結ぶ線で切断する。
これは良い表現がわからない。某業界人には、「冠状断、もしくは矢状断」といえば伝わるかもしれない。

その玉ねぎの切断面をまな板の上に寝かせて、今度もまた南極と北極を結ぶ方向に細かく包丁をいれる。幅は3-4ミリ程度が良いか。それ以下は厳しい。
この時のコツとしては、南極の1センチ手前までいれて、残りは切らずに置いておくこと。こうすることで、玉ねぎが後の工程で暴れない。お気づきだろう。これはただみじん切りにする工程を長ったらしく書いているだけだある。しかし、僕はこのペースで書き続けるつもりだ。初回であり、暇だからだ。

包丁を入れ終わったら、これを今度こそ赤道方向に切ってゆく。幅はできるだけ細かく、ということになる。おそらくは1ミリほどだろう。指を切らないためには、手は指先をうちに向けた「猫の手」で、DIP関節の手背側で包丁の面を感じながら切ることだ。

根っこの1センチほど近くまで切ったら、あとは赤道方向の切断面をまな板にのせて、うまい具合に細かく切ってゆく。そうすると意外に面倒がない。

ここまでの行程は全て、ブンブンチョッパーやフードプロセッサー、あるいは料理の多少の経験がある人には読む必要が全くない。『玉ねぎは細かくみじん切りにします』この一文で済むのである。
全く、読み手に無駄な労力を使わせる。なぜか。今の僕が暇だからである。
昔何で読んだか全く忘れたが、『具材の火の通り方は表面積の3乗(2乗?)に逆比例する』という文章をどこかで見たことがある気がする。詳細をしりたい。
その法則(?)にのっとって、玉ねぎの表面積をできるだけ増やすように細かに切り刻むのだ。


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揚げ玉ねぎになっている


切った玉ねぎは炒めなければならない。それはなぜか。
カレーには色がある。黄色から黒色まで、作る人によりさまざまである。しかし、玉ねぎは白く、火の通った鶏肉も白い。ではなぜ色があるのか。
それは玉ねぎが加熱により色づくからだ。あるいはスパイスそのものの色もあるだろう。スパイスを空炒りすることで、より濃く深い色がつくという要素もある。


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マドゥバニの「定食 大」
異常に辛く、また黒いのが特徴といってもよい。
プレート上で全てを入念に混ぜることで完成する。
その味わいは常連たちを虜にするだけの魅力がある。

僕のすきなカレー、マドゥバニの定食は、その色の黒さでしばしば話題になる。手羽元がイカ墨のような黒色の汁に浸っているのである。墨汁のごとき黒さの秘訣は誰も知ることがないようだが、なるだけ理想のカレー(≒マドゥバニのカレー)に近づけるには、「黒さ」は必須項目なのだ。

そのためには、玉ねぎはしっかりと色づいてもらわねばならない。たとえマドゥバニのカレーに玉ねぎが入っていなくても。僕のカレーに玉ねぎを入れると決めた以上、色付けなくてはならないのだ。

また文が長い。つまりは、玉ねぎは色づくまで炒めると言うこと。これだけである。

たっぷりの油(おそらく大さじ2-3)を入れた焦げ付きにくいフライパンに、みじん切りにした玉ねぎを入れる。今回は小さい玉ねぎを1.5個使用した。
これを強火でかき混ぜ続ける。最初は玉ねぎから水が出続ける。時間にして20分ほど炒め続けることで、やがて水が抜けてきて、玉ねぎに吸われた油がまたフライパンに滲み出てくる。こうなったら火を弱めつつ、かき混ぜ続ける。
よく見ると、一部はフライドオニオンさながらの気泡を発生しているようになる。
構わずに炒め続けると、ここらから一気に色がついてくる。フライパンへのこびりつきも出てくるので、ガリガリとシリコンヘラで剥がしながらの作業になる。好みの色になったら完成。
だいたい栗とか、あるいは色素すこし薄めのカブトムシくらいの色合いになるまで続ける。ほんのり苦味を感じる玉ねぎになったら上出来。
(欧州の「炒め玉ねぎ」は苦くなると火力が強すぎるせいの失敗と考えるらしいが、カレーにおいては苦味もコクになるようで、大きな問題には全くならない。強い気持ちをもって炒め続けるべし)

炒めた玉ねぎは別の場所に避ける。ここまでが長かった。下手にやると1時間かかる。お疲れ様でした。


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左下からクローブ、ガラムマサラ、コリアンダー、クミン


いよいよスパイスをいためる。

前準備として、さっきのフライパンは一度綺麗にふく。巷のお料理のレシピをみると、フライパンに味が出てるのでそのまま煮込みに使うとかあるが、フライパンは鉄なりアルミなりステンレスであり、フッ素なりテフロンなりで加工されている。金属やコーティング剤に、“味”が染み込む余地はない。
影響が出るとしたらメインは丹精込めて炒めた玉ねぎの存在そのものであり、こびりついた玉ねぎカスor焦げではないだらう。味の寄与率は、おそらくは、『炒めた玉ねぎ:こびりつき=95:5』くらいじゃなかろうか。
であれば、邪魔者はとりのぞく。空炒りするので、油はふく。焦げも拭う。わずかな玉ねぎカスは上手にとって味見にまわした。

ようやくスパイスである。メインで使うのは、
コリアンダー  マシマシ(大さじ2-3?)
GABANのガラムマサラ 大さじ1
クミンパウダー 大さじ1
グローブパウダー 小さじ1
ブラウンマスタードシード(大さじ1/2)(自力で潰した)
ここに辛みとしてチリペッパーやブラックペッパーなど(量はお好み)
とした。最後のやつ(ブラウンマスタードシード)は気まぐれで買って余ってるから使わなきゃいけないってだけで、おいしくて入れているわけではない。当然持ってないならいらない。

基本要素の黄色いやつ、ターメリックが入っていない。これはなぜか。

答えはマドゥバニに近づけるため、それだけである。主に色の面で。
黄色をいれると色が明るくなりすぎる。ターメリックそのものには味もあんまりない(好きな人ごめん)ので、入れないことにした。

大体ガラムマサラは総合スパイスミックスみたいなもんで、これいれたら味決まっちゃうから、他はあんまり考えなくて良い。
クローブは風味が美味しいから入れる。クミンもカレーの香りになるから入れる。コリアンダーは間違ってものすごくでかいものを買ってしまったので否応なく入れる。それだけの意味である。コリアンダーのありがたみがわかるほど、僕は経験値がないので、そこら辺は先人に従うだけ。

スパイスを空炒りする。
乾煎り自体は、湿気ったホールスパイスを香り立たせるためというのが、おそらくは元々の意味のようだ。
ポジティブな要素としては、黒く色づく(焙煎)とか、香りが出るとか、色々あるようだ。
程度がわからんので、全てフライパンとシリコンヘラを激しく動かしながら煎り続ける。
白煙がほんのり上がったら、そろそろまずいと考えてやめた。おそらくはこの程度では、これ(乾煎り)は気分の問題である。それでいいと思う。



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本当はスパイスを別に移して、ニンニク生姜だけで炒めたかったのだが、面倒なので一つのフライパンでやった


今度は大事な要素のニンニクと生姜を油で炒める。
普段はみじん切りにするが、最近は面倒くさいのですりおろしている。
ニンニク でかいものを1片(おそらく通常サイズ3つ分
生姜 細長いのを4センチ


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カレーのもと

スパイスを退けるのも面倒なので、またここに油を注ぎ、おろしたニンニク生姜を入れて、弱火で加熱しつつこねてゆく。ネチョネチョとした、非常に濃い色のペーストが出来上がる。
油を思ったより(大さじ2とか?)足さないと、乾燥して練りにくいが、炒めるうちに上手に馴染むので、あまり気にしない。
しばらくネチョネチョと遊んだのち、ここに炒めた玉ねぎを入れて、また混ぜ合わせる。
異様な見た目の黒いネチョネチョが出来上がったら、これで「カレーのもと」は完成である。




鶏肉を下ごしらえする。
成功の鍵は、鶏肉を2つの要素に分割すること。出汁と肉に分けるイメージでやっている。
今回は、鶏もも肉と鶏胸肉を一枚ずつ使用した。

水700mlを圧力鍋に入れ、鶏肉をいれる。加圧時間は15分。適当である。目的は、鶏肉を肉と出汁に分けること。油の浮いたスープに、白くほろほろの鶏肉が浮かんでいれば、それで万事解決なのだ。
この時きみは鶏肉を一口大に切ってもいいし、切らなくてもいい。これらは結果に及ぼす要因にはなり得ない。最後に鍋の蓋を開けると、それが取るに足らない自己満足であったと知るだけだ。(鶏肉は加圧されほろほろになるので、切っても切らなくても最後にはボロボロの繊維になります)


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食べ物に味を染み込ませたいのであれば、
周辺環境の浸透圧は濃い方が有利だ。


先ほど処理した鶏肉のうち、“肉”のみを、“カレーのもと”に合わせて、混ぜる。
混ぜつつ、を少しずつ足してゆく。味を見つつ、「濃いかな〜」ってレベルまでやってよい。(なぜなら直後にスープで薄めるから)
この時点でものすごく美味しいが、最後の仕上げとしてスパイス類を入れても良い。結局は辛みの調整もここでやることになる。チリペッパーはここで使う。


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このシャバさ、伝わりますか。
目指した粘度じゃない。シャバシャバ。


色も味も濃い“肉入りカレーのもと”ができたら、そこに鶏肉の茹で汁、“出汁”を足してゆく。
ここで粘度の調節や、味見をしつつ、理想のカレーに仕上げてゆく。
塩や辛みを入れすぎたら、出汁を足して薄める。薄めすぎたら、塩を足す。こうすることで、優柔不断であったり、塩をきちんと測らずに入れたい人でも失敗しにくい。
そうして僕は結局700ml全て入れてしまった。(サラサラになりすぎたが、いざ食べるとまあ許容範囲であった)



米を炊く。本来であれば、これはもっと手前の工程にあるべきだった。
書き手の計画性の無さによる。

カレーに本格を求めるのであれば、当然合わせる米にも本格を求めたい。
カレーにおける米の理想、それは間違いなくターメリックライスだろう。これもマドゥバニにならうところである。
ターメリックには味がないと言ったが、味がなくとも色が大事である。色が良ければ味も美味しいのである。視覚の要素をもってして味覚は喜ぶ。
かき氷のシロップの色を見よ。


米を研いだのち、規定量の水を入れる。
ターメリックを米4合あたり小さじ1くらい使用する。そこにバターを20g、塩を少々いれる。

ターメリックに味がなくとも、バターと塩には味がある。ターメリックライスというより、バターライスとしての活躍ぶりが期待できるわけだ。美味しくないわけがない。
そうしてそのまま通常通りに浸水させて、通常炊飯のモードで米を炊く


完成!


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見よう見まねでつくったタルカリを添えている。
ジャガイモとインゲンが好きだが、なかったので小松菜。

そうして出来上がるのが、オリジナルのカレーである。多少シャバくなったが、美味しかった。辛さマシマシだと、例えばライタ的にヨーグルトを皿の上で合わせたら、ちょうど美味しのかもしれない。
今回は1人用ではないので、辛さは控えめにした。


反省点


・クミンを切らした
→もっと入れても全く問題なかったし香りが立ってよかったと思われる。

・鶏肉を茹でる水が多すぎた
→水が多けりゃスープが薄まるので、もっと濃厚に作るなら、当然減らした方がいい。おそらく4-500mlほどがベストバランスか?

・鶏肉の種類の問題
→もも肉と胸肉を使用した。ほろほろの状態になると、胸肉の方が繊維が残るので舌触りが美味しかったりするが、出汁の出方の感じはおそらくもも肉の方が良い。もも肉2枚か、あるいは手羽元の骨の出汁を活かすとより良いのかもしれない。

→手羽元を使うと、軟骨が外れてカレーの具になる。このレシピ自体がドロドロの具なしカレーなので、(好きな人には)非常に良いアクセントになる。

→ここにアブラ付きの牛ホルモンをゴロゴロ入れると、もう(好きな人には)とんでもなく美味しい。


おわりに

以上が今日のカレー作りのレシピである。
初めのうちからこの文量というのは、なかなかに采配が狂っている。結局は日記を書きたかっただけなのだ。

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