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TRANSGENDER JAPAN代表の畑野とまと、浅沼智也にインタビュー
テキスト:吉田ミツイ
2023年11月19日(日)、トランスジェンダーの人権とプライドを訴える「東京トランスマーチ」が新宿で開かれる。
11月13日(月)〜19日は、世界的な「トランスジェンダー認知週間」として知られており、それに合わせての開催だ。初年度の2021年は400人強が参列、2022年は約1000人へと広がり、今年は3回目を迎える。
いわゆる「LGBT理解増進法」の施行や、経産省のトランスジェンダー職員のトイレ利用制限を違法と認める判決、性別の戸籍変更要件の審議など、トランスジェンダーへの関心が高まった2023年。一方で、インターネット上を中心に露骨なトランスジェンダーへのバッシングも顕在化した。このような社会の中で、マーチを行う意義を、主催団体TRANSGENDER JAPAN(以下、TGJP)代表の畑野とまと、浅沼智也に聞いた。
ー性的マイノリティーのためのパレードというと渋谷の「東京レインボープライド」(以下、TRP)が有名ですが、どんな違いがあるのでしょう。
浅沼:トランスジェンダーに特化したところです。トランスマーチを始めた動機の一つとして、LGBTQ+バッシングで真っ先に狙われるのはトランスジェンダーだからです。
LGBT理解増進法成立の反対意見も、トイレ、風呂利用を巡るトランスジェンダーへの懸念でしたよね。バッシングが強くなる中、生きることを諦めてしまう当事者を一人でもなくしたいと、始めたんです。
畑野:LGBTQ+の中でもトランスジェンダーは数が少なく、トランスジェンダーが主体という団体も少ないんです。私たちTGJPは、トランスジェンダーの人権擁護、最終的にはジェンダー平等が達成された社会を目標に考えています。そのためにトランスマーチだけでなく、コミュニティーづくりも大事にしていて、当事者や支援者など29団体から協賛いただいています。広く社会に訴えるため、抗議デモなども積極的に行っています。
また、2022年10月には、性同一性障害の人の性別変更に関する法制度の見直しを訴える集会「トランスジェンダー国会」を主催しました。2023年9月末、戸籍変更に生殖能力をなくす手術が事実上必要という、いわゆる「手術要件」が憲法違反か最高裁大法廷で弁論がありましたが、トランスジェンダー国会も大きなきっかけの一つです。
ークラウドファンディングでは開催費を募集しています。昨年より目標金額が多いのはなぜですか?
畑野:目標金額が増えていますが、大幅な規模拡大を考えているわけではありません。物価高によって、去年と同額では規模を維持できないんです。ただ、「楽しい」と思ってもらえる場にしたいと思っています。去年参加してくれた人の中には、「楽しかったから今年も絶対行く」と言ってくれる人もいました。
今年はフロート(先導する車両)を4台出す予定です。先導車を兼ねたTGJP、主にトランス男性のさまざまなイベントを企画するGRAMMY TOKYO、トランス女性をサポートする乙女塾の西原さつきさん、もう1台はアライ(ally=「仲間」や「同盟」を語源とし、セクシュアルマイノリティー当事者を支援する人々を指す)の団体が乗車予定です。
乙女塾のフロートで、行進しながら参加者のメッセージを読み上げたところ、大変好評でした。今年も引き続き行っていきます。
浅沼:僕は毎年、「来年も生きて会いましょう」と必ず言います。心無いバッシングや生きづらさから自死を選んだ友人もいました。トランスマーチまで生き延びてほしいと願っています。
畑野:今年は性別にこだわらない新しい家族の形を模索していたryuchell(りゅうちぇる)さんも亡くなってしまいました。ryuchellさんが性的マイノリティー当事者だったか、本人のアイデンティティーは分かりませんが、TRPなどでともに戦ってきた仲間です。死の理由は複合的なものでしょうが、自死を選ばざる得ない人を一人でも減らしたいです。
2023年は、トランスジェンダーを巡るさまざまなニュースが飛び交った。しかし、トランスジェンダーの人口割合はどの調査を見ても1%未満、当事者不在のまま議論されることもしばしばだ。そんな中、東京トランスマーチは生の声とリアルな姿を知る数少ない機会である。ぜひ足を運んでみてほしい。
第3回「東京トランスマーチ」
開催日:2023年11月19日(日)
場所:「新宿中央公園(水の広場)」
マーチ:13時受付開始/マーチスタート14〜16時
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