「アニメ療法」こころポジティブに 提唱のイタリア出身医師がシンポ

熊谷姿慧
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 メンタルヘルスにアニメが役立つ可能性を知ってもらおうと、兵庫県保険医協会が4日、「日本人も知らなかった『アニメ療法』」と題したシンポジウムを神戸市中央区で開いた。イタリア出身の精神科医、パントー・フランチェスコさん(33)の話を医療関係者など50人が聞いた。

 パントーさんは、ひきこもりや抑うつなど心の不調を抱える若者をアニメで支える「アニメ療法」を提唱している。自身が思春期に日本のアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に救われた経験がきっかけだ。

 アニメを鑑賞し感情移入することで、キャラクターに憧れて同じような行動をとりたくなったり、ストーリーに重ね合わせて自身のこれからの物語をポジティブにイメージできるようになったりすると説明した。

 「アニメは完全に架空の物語やキャラクターなので、違う人物が演じる実写と比べて違和感なく自分なりに解釈できる」とパントーさん。「アニメは現実逃避の手段と思われることも多いが、使い道次第で違う可能性もある」

 参加した医師から「アニメの話がきっかけで患者が自分の話をしてくれることがある」という意見があり、パントーさんは「アニメ療法までいかなくても、診療の時のコミュニケーション、自己開示のツールとなる」と答えた。

 「機動戦士ガンダム」などのプロデューサーを務めた、一般社団法人・日本アニメフィルム文化連盟大豊理事の植田益朗(ますお)さんも登壇。「現場でアニメがいろんな人の役に立っていることを感じてきた。福祉や医療にも使えるように、業界として著作権の開放なども考えていく必要があると思う」

 参加した、アニメーターを目指しているという福岡燦(あきら)さん(21)は「落ち込んだときにアニメに元気づけられた自分の経験と重なった。メンタルヘルスケアにも役立つようなアニメをつくりたい」と話した。(熊谷姿慧)

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