エイプ50の力を解放せよ! ~番外編:さらに上を目指すために~
1
さてさて皆さま、如何お過ごしでしょうか。まてぃぇぅです。
今回の記事ですが、
「エイプ50をもっともっと速くしたい!」
という方向けに書きたいと思います。
いや、今までの記事ももちろん速くしたい方向けなのは間違いないのですが、
今回の記事ではもっと突っ込んだところを書きたいと思います。
というかエイプ腰上チューンの究極形?
今回の主なテーマは「シリンダーヘッド」「超高回転化」です。
これには専門知識も多く必要になってきますし、エンジンの基本的な構造やチューニングの概念、パワーアップの理論、物理の基本的な考え方などがしっかりと身についていなければいけません。
もちろん勉強しなくてはいけない事も沢山ありますし、整備もしっかりやらないとすぐにエンジンを壊すことになるし、各調整がシビアになって大変になるとこは間違いないです。
しかし、これが本当の「チューニング」です。
パーツを交換してカスタマイズ!という「交換するだけ」の領域から一歩上の領域、各パーツを「調律・調整」し、性能を100%以上引き出す。それがチューニングです。
ぶっちゃけた話・・・・いらないパーツをゴッテゴテ付けているだけの「フルカスタム」って言われている4miniバイク嫌い。
2
エイプ50のシリンダーヘッド。
これは非常に低燃費型・低回転トルク型に作られています。
これはどういうことなのかというと、シリンダーヘッドのインポート・エキゾーストポートが物凄く細く作られており、少ない空気量・遅い流速でも燃料がシリンダー内に十分に充填されるような作りになっています。
なので4000rpmといった低回転でも十分に燃料がシリンダー内に入るので、非常に少ない燃料でもトルクが出せるポート設計になっているのです。
しかし、エイプ50のメーカー発表ピーク馬力発生回転数である8000rpmを超えると話は違ってきます。
流速は必要以上に速くなり、尚且つエンジンが必要としている空気が入っていかないので、燃料ばっかり入っていって燃調が濃い状態になってしまい回らないエンジン・・・となってしまうわけです。
ここでジェットを絞って薄くしても・・・・必要な熱量に見合ったガソリンが入っていかないので、「なんとなく回るけどトルク感のないエンジン」になります。
焼き付きのリスクも上がってしまいますし。
そこでその対策として挙げられるのが「ポート加工」でポートを大きく加工してしまおう、という対策。
3
幸いにしてホンダ縦型はノウハウが山ほどあるので、オートボーイというチューニングショップでポート加工(ハイパワーヘッド加工)の受付をしています。
自分もオートボーイでしていますが、これが色々な意味で別物のエンジンになります。
まず、レブリミットという概念が無くなります。本当に「どこまでも回っていくエンジン」になるのです。
高回転過ぎてこれ以上回らない、ということが無くなり、回せば回した分だけ回転が上がっていくエンジンになります(汗
自分のエイプにはデイトナ製の15000rpmのタコメーターが付いていますが、これでもスケールが足りません。
本当は20000rpmほどスケールがあるタコメーターを付けたいくらいです。それくらい回転に上限がありません。
逆に言えば
「ポートをでかくするなら12000rpm以上の表示のあるタコメーターを必着」ということです。
キャブの口径にもよりますが、回転がどこまでも上がっていくので、タコメーターで回転数管理をきっちりやらないと本当にすぐぶっ壊れます。
それこそロッカーアーム・カムシャフト・バルブ・ピストン・クランクを巻き込んでエンジンがぐちゃぐちゃになるくらいハデなブローの仕方しますよ。
そして低速でのアクセル操作がシビアになり、キャブを厳選しないと本当に乗り辛いバイクになります。
50ccに泉モータースF24の組み合わせは地獄です。まだキャブが高性能だから乗れますが、発進時などは1mmでも多く回しすぎるとエンジンがストールします(汗
ただし、11000rpmを超えた辺りからのパワーは凄まじいです。
ドッッッッカーーーーーーーーンとエンジンが回り、そのままメーターのスケールが無くなるところまで一気に回ります。
もうこうなると「ブーーーン」とか「パァァァァァァ」とか、そういう領域のエンジン音じゃありません。
「ビィィィィィィヤァァァァァアアア!!!!!!!」とまるで泣き叫んでいるかのような音になります(汗
最高速度は「よわkm/h」は出るようになります。
4

ちなみにこれがインポートとエキゾーストポート。
インポートは実測で約23mmあり、ちょっとでかすぎるんじゃないかと思うほど。
このポートのでかさにより、アクセル操作とキャブの選定のシビアさがハネ上がります。
また、この加工を行う前提として「インマニの同時加工」は絶対必要です。
インマニをポートの大きさに合わせて加工すること(段付き修正)はNAエンジンチューンの「超」重要項目であり、ここの段差の有無で吸気口率が数倍違います。
段差なんて、と甘く見ているのは素人。
またキャブレターですが、キャブの選定は「自分の狙う最高回転数」をはっきりさせる必要があります。
その回転数に最適口径の±3%以内の口径を選ぶとよいでしょう。
乗りやすさを最重視するならば0%~-2%以内だと物凄く丁度良くなります。
基本的な考え方ですが、キャブの口径計算で「±0%」の回転数がそのキャブの最高馬力・最高の吸気効率の出せる回転数であり、それ以下の回転数は薄い状態、それ以上の回転数は濃い状態になると考えましょう(あくまでアクセル全開のベンチュリー径が最大の時と考えます)。
なので計算結果よりも高回転まで回したいから燃料を薄くする、といった考えは間違いです。それでは極端に薄い状態となり、焼き付きの可能性が高くなります。
メインジェットの番数が本当に合った状態というのは、全開状態で±0%の回転数にて一番パワーの出る状態です。
例えばDENI18を49ccの状態で取り付けた場合、±0%になる回転数は15650rpm。
DENI18はこの回転数で最高馬力を発生させ、最高の吸気効率を発揮します。
逆に言えば、これ以上の高回転まで回すことは殆ど意味がなく、この回転数を境にしてどんどん燃調が濃い方向へと移行します。
ですから速く走るには15000~16000rpmの間をキープするようにシフトチェンジする感じになりますかね。
これ以上の高回転まで回したい、もっと高回転でパワーを絞り出したいというのであればキャブレター自体の口径をアップさせるしかありません。
ちょっとExcelファイルで完全版と言える物を公開しようという気になりましたので、計算機代わりに使用して頂ければと思います。
ファイル自体はフリーソフトの「OpenOffice」でも開けるので、欲しい方は自由にダウンロードしてください。
スマホでも見れるかな?
https://ux.getuploader.com/Bike_mateiu/download/1
右側には殆ど計算式が入っておりますので、「排気量」「回転数」の部分だけを変えれば自動的に計算結果が右に出るはずです。
5
スプロケットの選定も重要です。
最高速度を上げたいのであればスプロケット・減速比を最高速寄りに、重く、というのが一般的ですが、高回転化でパワーを稼ぐのであればむしろ逆。
ほんの少しだけ最高速寄り(フロント一丁増しとか)に抑えておき、より高回転まで回るように調整します。
じゃないと5速トップエンドに高回転まで回しきれなくなり、パワーを絞り出すことが出来ません。
ここでも狙いどころの最高速度を決めておき、それに合わせてフロント、リアのスプロケット両方を調整します。
交換する時はちゃんと減速比を計算し(リア丁数÷フロント丁数)、また、フロント丁数とリア丁数の合計が純正よりも大きく変わらないようにしましょう。
エイプの場合フロント+リアの合計が60丁なので、これの±2丁くらいまでが上限ですね。
じゃないとチェーンの足し引き作業が必要になるのでひっじょーに面倒になります(汗
6

カムの取り付け時には進角遅角調整式カムスプロケットに加工するか、調整できるタイプのカムスプロケットに交換するとよいでしょう。
・・・・エイプ50の場合はチューニングパーツとしてランナップされていないような・・・・(汗
高回転化を狙うんだったらカムのBTDC、ATDC等の「本当の意味でのバルタイ」も勉強し、自分で調整できるように技術として持っておくべきです。
概念は難しい事ですし作業はそこそこ大変ですが、一度分かってしまえばカムによってエンジン特性を自由自在に操れるようになりますw
ちなみにまてぃぇぅはエンジンを車載の状態で角度調整しています(汗
完璧な調整方法ではないのですが・・・・だって頻繁に角度変えるんだもん(´・ω・`)
カムの角度調整、何が問題かって、カムの標準取り付け角度を発表しているメーカーが少ないことなんですよね。
確認しているのがヨシムラ・デイトナ・メガサイクルくらいでしょうか(キタコも?)。
ダメなのはタケガワ・シフトアップ・クリッピングポイント等。カムの設定角度がわからないので基準をどこにすればいいかわかりません。
ヨシムラST-1はデフォルト状態でもかなり回るカムですが、進角遅角を調整するともっと回るようになります。
ここで一番の重要ポイント。
OHC、シングルカムは「クランク角度に対して『遅角』させると高回転向きになる」ということ。
勘違いしている人がいますが、『進角』させて有効なのは「点火時期」です。
カムは進角させると低回転向きとなり、遅角させればさせるほど高回転向きになります。
この辺は各自勉強しましょう。
と言っても解説しているところが一個しか見つけられませんでしたが・・・・。
遅角させると高回転まで回るようになりますが、その代わり遅角させすぎるとアイドリングが超不安定になり、常に3000rpmほど回していないとエンストします(汗
ヨシムラST-1の場合、50ccの場合はノーマル状態でかなりいい角度に設定されているようで、特に遅角させなくても高回転まで回ります。デフォルトで14000rpmは回りますね。
さらに角度をツメて遅角させていくと、メーター振り切りまでパワーが持続するようになる非常に優秀なカムプロフィールをしています。
15000rpmまで一気に回ります。
メガサイクルの場合、メーカー指定よりも大きく遅角させようとすると一番パワーの絞り出せる回転域が20000rpmを超えてしまうため、遅角は攻めすぎないようにします(汗
バルブとピストン接触するし。
7
バルブやロッカーアーム周りのパーツにも気を使うと良いでしょう。
バルブやバルブリティーナ・タペットスクリューをチタンなど、軽量素材に交換する人がいますね。
よく「回転がスムーズになった」とレビューされていますが・・・・真の目的はそこじゃないんですよ。
「バルブサージングが起こらないようにするために軽くする」んですよ。
よく考えてみてください。
バルブリティーナやタペットスクリューなど、超高速で上下に動いていますよね。
その部品が重いと・・・・どうなるでしょう?
その周辺の部品が重いと、バルブが閉じるまでに時間がかかるようになります。
そうすると、バルブが閉じきる前にピストンが上がってきてしまい、バルブと接触してしまいます。
また、バルブが閉じきる前にロッカーアームがバルブを叩いてしまう事にもなります。
これが所謂バルブサージングと言われる現象であり、ブローの直接の原因になります。
バルブスプリングを硬くすることは前にも述べましたが、それにも限界があり、尚且つフリクションロスの増加にも繋がります。
そこでバルブ周りの部品を軽くしていってバルブサージングを食い止めようとするのです。
デイトナのバルブスプリングは14000rpmまでと記述しましたが、バルブ周りを軽量化していけば14500rpmとか、15000rpmまで回せるかもしれません。
重要なことはロッカーアームだけは軽量化しないこと。前にも述べましたね。
高回転化すればするほどロッカーアームにかかる負担は大きくなり、折れる確率も当然上がります。
ここでロッカーアームを削ったり細くしたり軽量ロッカーアームに交換したりすることは・・・・壊すこと前提のエンジンに仕立て上げるようなもんです。
ロッカーアームだけは純正を!
まてぃぇぅはロッカーアーム軽量化だけは強く反対します。
8
如何でしたでしょう。エイプでここまで考えて弄っていれば「ハイチューン」と呼べるエンジンになるのではないでしょうか?
ちなみに、シッカリキッチリ作ってあればホンダ純正ウルトラG1でも簡単にはブローしません。
そりゃ、何千kmも使いっぱなしの汚れたオイルじゃブローするかもしれませんが、比較的奇麗な状態であれば16000rpm回してもエンジンは焼き付きませんよ。
逆にエイプで焼き付いたって人は「どんな使い方してんだよ!」「どんなセッティングしてんだよ!」と思いますw
本当にいっっっっちばん大事なことは
『エンジンの構造・各パーツの役割をしっかり理解し、正しくチューニングすること』です。
なんだかよくわからないけどこれ付ければ速くなるって聞いた!こうすると速くなるみたい!というのは・・・・まぁ、別にそれでもいいのかもしれませんが、全く成長できませんね。
何でここを変えると良くなるんだろう?という疑問を持ち、勉強する。そしてその理屈や構造を理解してバイクを正しく知る。重要です。
こういうことが理解できるようになってくると、本当にチューニングが面白くなってきます。
次はどうしよう、どうやったら速くなるだろうか?という事を理論的に考えられるようになるので、自分で全てのチューンが出来るようになります。
まぁ、ここまでくると変態かレース屋さんの領域ですけどw
皆さま、頑張ってください。
[PR]Yahoo!ショッピング
入札多数の人気商品!
[PR]Yahoo!オークション
タグ
関連コンテンツ( エイプ50 の関連コンテンツ )
関連整備ピックアップ
関連リンク