焼き芋の糖質とカロリー~焼き芋は太る?糖質制限中の食べ方もお伝えします~
当記事を監修した専門家:管理栄養士 大熊麻未、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください)
人肌恋しい季節になると食べたくなる焼き芋。
焼き芋はひと昔前まで地味で目立たない存在でしたが、最近の焼き芋ブームのおかげで「スイーツ」として扱われるようになりました。
焼き芋といえば、砂糖を使ったお菓子にまけないほどの甘みが特徴的。この強い甘みが焼き芋の魅力といえますが、一方で糖質量が気になって食べるのを控えている方もいるようです。
というわけで、今回は焼き芋の糖質とカロリーについて迫りましたので、ぜひ最後までご覧ください。
焼き芋の糖質とカロリー
焼き芋100gの糖質は36.7g、カロリーは151kcalです。
一般的な焼き芋(20cm:女性の手のひらにギリギリ乗るサイズ)1本の重さは200g~300gなので、カロリーは300kcal~450kcalほど、糖質は73g~110gです。
さて厚生労働省の食事バランスガイドによると、間食の目安は200kcal以内とされているため、焼き芋を間食として食べる場合2/3本食べられる計算になりますね。
しかし、糖質制限中の方はこの量だと食べ過ぎです。ロカボの観点では、血糖値に影響を与えない糖質量は1食あたり10g程度とされており、糖質10gに相当する焼き芋は輪切り1cm分(27g)です。
お腹を満たす目的で焼き芋を食べると糖質過多となるため、ご注意くださいね。
焼き芋100gはごはん何gと同じなのか
焼き芋とごはん、それぞれ100gあたりの栄養価を比べました。
上の表の通り、焼き芋100gとごはん100gの糖質やカロリーに大差はないです。
そのためカロリーや糖質を気にされている方は、同じ量であればどちらを選んでも大きく変わりません。しかし、食物繊維やカリウムの量は焼き芋に多く含まれています。
食物繊維には便通改善や食後に血糖値が急上昇するのを抑える働きが、カリウムにはむくみや高血圧を防ぐ働きがあります。
焼き芋は甘い味わいから「ごはんよりも太りやすい」と思われている方もいますが、総合的に見てみるとそのようなことはないといえそうですね。
【疑問①】さつまいもを焼き芋にすると糖質が増えるのか
*100gあたり
上の表を見ると焼き芋にすることで糖質やカロリーが増えたように思えますが、さつまいもは焼いても糖質やカロリーは増えません。その理由は生のさつまいもと焼き芋の水分量の違いにあります。
生のさつまいもは約66%が水分、焼き芋は約58%が水分です。そのため焼くことにより水分が抜けて、成分がギュッと濃縮されるため、数値上は増えたように見えるのです。
焼き芋が甘いワケ
焼き芋が甘いのは、さつまいも中に含まれるでんぷんが加熱により(※)麦芽糖へと変わったためです。
※さつまいもを加熱すると、さつまいも中に含まれる消化酵素がでんぷんに作用して、麦芽糖に作り変える
麦芽糖の甘味度は砂糖を1とすると0.4程度ですので、焼き芋の優しい味わいはこの麦芽糖にあるといえますね。
【疑問②】焼き芋とスイーツの糖質は種類が違うのか
焼き芋に含まれる糖質はでんぷんで、スイーツなどはショ糖と呼ばれる糖類がメインです。
どちらも1gあたりのカロリーはほとんど同じですが、血糖値に与える影響は異なります。でんぷんは比較的ゆっくり血糖値を上げますが、ショ糖は急激に上げる特徴があります。
そのため焼き芋は、すぐにエネルギー源となってほしい時には不向きな食材ですが、甘い物を食べたいけれど血糖値が心配という方には、オススメの食材といえるでしょう。
焼き芋は糖尿病があっても食べていい?
糖尿病があっても焼き芋は食べられます。
さつまいもはほかの野菜と比べると糖質が多いため、食べる量には注意する必要があるものの、「食べてはいけない」「食べると糖尿病が悪化する」というわけではありません。
とくに焼き芋には食物繊維が豊富に含まれているため、ほかの糖質を含む食品(ごはんやパンなど)と比べると血糖値が上がりづらい食品といえます。
さらに、焼き芋に含まれる麦芽糖はでんぷんほどではないものの、砂糖よりも血糖値の上昇が緩やかです。ただし、食べる量については主治医と相談して決めてくださいね。
糖質制限中はどうか
焼き芋は糖質制限中であっても食べられますが、ほかの食品と比べると糖質が高いため、糖質制限中の食材としては不向きです。
しかし糖質は、体にとっては欠くことのできない栄養素なので極端に避ける必要はありません。主食の代わりに食べるなど、1回の食事の糖質量が増えない工夫をしたうえで取り入れていきましょう。
参考記事:糖質制限で食べていいものはなに?~オススメのやり方や食材をご紹介~
冷やし焼き芋ダイエットは効果ある?
冷やし焼き芋を食べると体重が落ちるわけではありませんが、温かい焼き芋と比べると太りにくいと言えそうです。
その理由は、さつまいもに含まれるでんぷん(糖質の一種)にあります。一度加熱されたでんぷんを冷やすと、レジスタントスターチと呼ばれる体内に吸収されにくい物質に変化するからです。
冷やした焼き芋はまるでスイーツのような味わいなので、美味しさの面からみてもオススメできる食べ方ですよ。
まとめ
以上、焼き芋の糖質とカロリーについてお届けしました。
焼き芋が甘いのは加熱により糖の種類が変わったからでしたね。そして糖尿病や糖質制限中の方でも食べられますが、食べる量には注意が必要だとご理解いただけたと思います。
それでは、当記事があなたの健康づくりのお役に立てれば幸いです。
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参考文献
食品成分データベース
ロカボオフィシャルサイト
J-STAGE レジスタントスターチの栄養・生理機能