【開幕】特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」国立科学博物館(東京・上野公園)で2024年2月25日まで

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マグロの模型展示

国立科学博物館(東京・上野公園)で10月28日から始まった特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」の内覧会にうかがいました。和食がユネスコ無形文化遺産登録されて10年。身近なようで意外と知らない和食の魅力に、科学的・歴史的な視点から迫っています。

野菜の標本展示
魚介類の展示風景

まずは多種多様な食材や発酵食品、出汁について紹介しています。一番最初が水です。日本は山がちで、降水量が多く、ミネラル分を含みにくいため、主に軟水です。軟水は出汁が取りやすく、味を楽しむ日本茶などにも適しています。逆に西欧などの硬水は、煮崩れしないため煮込み料理に適し、紅茶の香りを引き出します。このように、水だけを取り上げても地形や地質が料理に大きく影響していることが分かります。

キノコの展示風景

日本では今のところ約3000種類のキノコが知られています。全世界では約2万種類が確認されているそうなので、その1割以上です。日本は南北に長く、陸地の7割が山地で標高も多様なため、様々なキノコに恵まれています。日本で珍重される「マツタケ」は、中国や韓国、北欧に分布するほか、北米でも近縁種が見られます。しかし、欧州では「吐き気のするような匂い」という語源の学名で呼ばれていたそうで、文化の違いを感じさせます。

各地の特徴的なダイコンの展示風景

 ダイコンは漬けもの、煮物、味噌汁の具、大根おろしなどと和食に欠かせない食材です。日本は世界で一番品種が多いと言われています。しかし、1970年代以降は、生産効率が高くて食味の良い「青首大根」がほとんどを占めています。こちらでは全国から集めた特色ある25種を展示しています。

マグロの模型展示風景

 続いて魚介類です、寿司や刺し身として大人気のマグロは、世界で知られている全8種類を展示した模型が目を引きました。一堂に揃うと、キハダマグロは体とヒレがやや黄色く、メバチは目が大きいなど、名前の由来やの特徴がよく分かります。

発酵コーナーでは、吟醸酒の香りを体験できたり、酒、醤油、味噌を作るのに欠かせないコウジカビを日本人が上手に扱ってきたことなどが科学的に学べます。

卑弥呼の食卓の再現

 次のセクションでは、縄文時代からの和食の歴史を振り返ります。卑弥呼の食卓から、幕末にペリー提督をもてなした料理などが再現されています。

織田信長が徳川家康をもてなした饗応膳の再現

 こちらは1582(天正10)年に、織田信長が安土城で徳川家康を接待した「本膳料理」です。豪華絢爛ですが、数日前から作り置きするため冷めた料理だったそうです。これに対して、見た目よりもおいしさを追求する、和食の極みとも言える懐石料理が戦国時代に登場しました。各時代の庶民が何をたべていたかなども展示されています。

白石麻衣さんとリラックマ

 会場には音声ガイドナビゲーターを担当した俳優の白石麻衣さんと、応援キャラクターのリラックマが江戸時代の屋台を再現したコーナーに登場。しょうが焼き、豚の角煮、から揚げなど「お米をたくさん食べられるおかずが好き」という白石さんは「お子さんから大人まで帰る時に『きょうのメニューどうしようかな』という気持ちになったらいいなと思います」と来場を呼びかけました。

日本各地の雑煮文化圏を示す地図と雑煮の展示

ほかでは日本の各地域でどのような雑煮が食べられているかを表す分布図が興味深かったです。甘い小豆汁や餡餅を入れる地域もあるなど、日本の食文化の広がりを再認識させられました。

ショップにはリラックマとのコラボグッズや、日本各地の大根のピンバッチなど和食をモチーフにしたものなど盛りだくさん。なかでも注目は、リラックマたちが一つの弁当箱に詰まった「お弁当ぬいぐるみ」など、リラックマとのコラボ商品でしょう。

 和食の素晴らしさや多様性をよく理解できたと同時に、展示されている食品サンプルの精巧さにも改めて感動してしまいました。(美術展ナビ編集班・若水浩)

特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」
会場:国立科学博物館(東京・上野公園)
会期:2023年10月28日(土)〜2024年2月25日(日)
開館時間:9時~17時(入場は16時30分まで)
休館日:月曜日、年末年始(12月28日~1月1日)、1月9日(火)、2月13日(火) ※ただし12月25日(月)、1月8日(月・祝)、2月12日(月・祝)は開館
入場料:一般・大学生 2,000円、小・中・高校生 600円
※ほかに企画券あり、詳しくは公式HPをご覧ください
公式HP:https://washoku2023.exhibit.jp/
問い合わせ:050-5541-8600 (ハローダイヤル)