この子余裕綽々にこんなことしてるけど

　ヴァイオリンの嫋やかなる調べが耳に届くと、キタサンは半ば反射のように体をこわばらせた。
　「ウ、」と思って音の発生源の方をチラリと見る。

　“ヤツ”である。
　“ヤツ”はそのままズンズンこちらへ大股で歩いてくる。キタサンは後退りの末に、またもやスピカのバカみたいな看板に邪魔をされ。
　アタフタするうちに、またしてもその腕に行き先を阻まれてしまったのだった。

「ボン・ジョルノ！　キタサンブラック！」　
「ひぇ」
「……ベリッシモ！！　ハッハ！　春の天皇賞のファンタジアは魅せられたよ、スピリトーゾな風格が実にファンタスティコ！」

　顔をクッ！　と近付けて、横文字の美辞麗句をつらつらと並べるアース。
　彼女が何か一言喋る度に熱い吐息が顔にかかる。しかも、いい匂いがするものだから余計に困るのだ。
　キタサンはヒィヒィ言いながら彼女の体を押し返すが、逆にその分迫ってくるので埒が明かない。
　下校途中の生徒たちの視線が集まっているのがわかって、恥ずかしくってクラクラしてきた。

72二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 08:13:45

　そんなとき、ゴールドシップのある言葉が頭の中を過ぎる。

　――いいか、キタサン。
　煩い女は不意打ちでキスをしてやれば必ず黙るもんだぜ。ゴルシちゃんはこれで銀河連邦を傾けた。お前ならやれる、Change before you have to.

　これだ。これしかない。
　流れてきた横文字を理解しようと反芻する間もなく、次の新たな横文字が飛んでくるような目まぐるしい環境下。
　まともな判断力を欠き、ぐるぐる目をしたキタサンにはもはや恥も外聞もなかったので。
まず両手で、アースの頬を包み込むように押さえた。

　一方のアース。キタサンのあまりにも突飛な行動に声を上げるでもなく、口を開けたまま固まってしまった。キタサンブラックのことを、己に対しなにか行動を起こすようなウマ娘だと認識していなかったためである。

　アースがそんなふうに無防備のままでいるのを良い事に、キタサンはそのまま彼女の唇をあっさり奪ってしまった。
　そして可哀想に――アースは暫く茫然としていたせいで、その隙に唇を無理にこじ開けられてしまった。

　ここまで来るとやったもん勝ちである。
　あれよあれよという間に、キタサンの柔らかい舌によって、口内すべてを貪られてしまったのだった。

73二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 08:17:49

おわり。

このあと我に返ったアースはキタサンの胸を押し返し、首を振ってはキタサンから離れようとします。
キタサンは負けじとその華奢な腰に両手を回してホールドしてしまい、その手で尻から腰にかけてを撫でてやりました。
するとアースは身体を大きく一度だけ震わせ、それきりクタっと脱力して大人しくなります。

めでたしめでたし。うまぴょいうまぴょい。

74二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 08:31:38

もうSS貼られてる…

75二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 08:44:16

ウワーッ！爆速で食われてる！！

76二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 08:46:09

防御力クソザコウマ娘はやはり良い……
なんかこう、他では得られない何かがある

77二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 08:50:03

はっきり拒絶出来ないところがもう防御力クソザコを物語ってる

78二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 09:14:30

ひとたび爪弾けば、まるで楽器のように甘い声音が返ってくるのがかわいくって、"演奏"に没頭しちゃうキタちゃんいいよね…
「ダイヤちゃんにも聴かせてあげましょう！　アースさんの甘美なメロディーア♡」

79二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 09:37:53

キタサンは
「かわいいですね♡大丈夫です、アースさんならまだいけますよ♡」って可愛がってくるのと
「何ですか？何が無理なんですか？ちゃんと言ってくれないとわかりませんよ♡」ってSっ気マシマシで攻めてくるのどっちだろうな…

どっちもやりそうだな…