FULL CONFESSION(全告白) 43

GEN TAKAHASHI
2023/10/28

基本的に映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。

第43回 『相棒』の闇 ⑥


速報!その2 日本映画監督協会、墓穴を掘る?

 人は、良いニュースを知ったら家族や友人、知人、ひいては世間に、やがては国際社会にまで広めたいものだ。
 だが愚かな者は、人様に知られたくない話の拡散を防ぐためなら、一種のパニック、ヒステリーで、周囲の人間に「このことは、絶対言うなよ!」「あいつとは連絡を取らないでくれ」などと箝口令(かんこうれい)を敷いたりする。
 これこそが組織防衛の名を借りた「強要」であることを、問題の「元映画監督」草刈(または私のアンチ)は、いまになっても理解できないようだ。

 前回⑤で「速報」とした、日本映画監督協会による「草刈」の事情聴取の件で、私に連絡をくれた同協会に所属する某監督から、本日午前中に、以下のLINEメッセージが届いた。

某映画監督
「玄さんすみません、某協会メンバーから緘口令が出たので、今後玄さんと連絡を取るのを止めさせていただきます。
LINEはブロックしますが、気を悪くしないでくださいね。
あと、緘口令の件はくれぐれもブログには書かないようにお願いいたします。」
※緘口令(かんこうれい)=組織または特定の事象や秘密を他人に言うこと 
 を禁ずる命令。箝口令とも書く。私は後者の漢字を常用する。

 あのさあ、某映画監督さん、こんなこと言われて、おれが黙っていると思ったんですか?
 私などは、逆に「書いてくれ」というメッセージだと思ったので、本稿「速報2」としたのである。

 だって、私にLINEをくれた某監督氏は「箝口令」などといっているが、要するに問題の「草刈事情聴取」の話を、組織の外部の人間に話すなと脅かされたわけだからね。
 そうなると、話のスジからいって「高橋に漏らすんじゃない」と言ったのは、草刈自身だと考えて無理はなかろう。
 もちろん、こいつの告発がウザい!崔洋一監督の名前まで出しやがって!営業妨害だ!などと、単に私が嫌いな監督協会員が「高橋に情報を与えるな」と命じた可能性もあるが、いずれにせよ、監督協会側は、巨大な墓穴を掘り始めたことになる。

 もしこの箝口令なり「高橋玄との通信禁止令」が、日本映画監督協会総意の決定だとしたら、問題は草刈だけに留まらない、日本映画監督協会の「社会的な死」を意味するほど重大な事態となろう。
 ただ、同協会が昨日今日で総会を開いて、本件を議決することは時間的に不可能だし、当該LINEでも「某協会メンバー」から緘口令が出たとあるから、監督協会の公式決定ではなく、「草刈」または「アンチ高橋玄」個人による箝口令ということだろう。
 LINEがブロックされたから、箝口令という名の脅迫を受けた某監督さんへの返信は既読にならない。だから、ここに返信を転載しておきますね(笑)

既読にならない私の返信
「箝口令は勝手だけど、協会は貴殿のLINEまで検閲するわけ??そうでないなら、個人的にブロックまでする意味がわからないが、気を悪くするどころか呆れ果てるだけだ(笑)」

ジャニーズ事件問題と同根の「カルト的集落社会」

 本稿をここまで進めながら、私が常に「本質は同じだよなあ」と思っていたものが、世上を騒がせている「ジャニーズ事件」だ。
 むろん、本件「相棒の闇」は、犯罪の規模として、ジャニーズ事件と比較できないと思うが、ものごとの「本質」というものは、結果的に起きた事象の大小ではない。チャップリンの映画『殺人狂時代』での名ゼリフ「1人殺せば殺人者だが、100万人殺せば英雄だ」は、殺人という行為の「本質」について述べたものだ。

 本稿で私が告発する「相棒の闇」は、①で書いたとおり『相棒』という作品だけにかかわる話ではない。同ドラマを制作する、東映グループの1社「東映テレビ・プロダクション(東映TVP)」と、その現場に社員と派遣労働者を入れている人材派遣会社・株式会社アームの不法行為を暴くものだが、これらは撮影所のなかで起きている「出来事」に過ぎない。
 だが、もっとも重要な点は、「なぜ、このような出来事が黙認され、それが続いているのか?」という原因の「本質」を告発することにある。

 日本人的集落社会での同調圧力は、それが正(プラス)に働くときには驚異的な成果を生むが、負(マイナス)に機能したときには、恐ろしい悲劇をも招来する。カルト化だ。
 大げさではなく、撮影所という場は、カルト的集落社会でもある。「選ばれた人間」しか立ち入ることが出来ないという時点で、多くのスタッフたちは、無意識で「優越感」を得る。ひどい場合だと、自意識で自分が「特別な存在」だと妄信するスタッフを生み出す。その典型にして最悪の事例が、本稿で糾弾する「草刈」だ。

 そして、本稿で告発する、アームと東映TVPの「無契約」問題や、アームによる労働基準法違反と派遣業法違反、それら労基関連法のみならず、違法「誓約書」を新入社員スタッフに書かせるという、強要罪の疑いが強い草刈の問題は、とにかく「良くないニュース」は、その関係者全員が、示し合わせてもいないのに「押し黙って」なかったことにする、カルト化集落社会の異常性を顕現させた一例なのである。

 これは本件に限らず、極めて日本型の現象だ。私は英語話者でもあるが、この傾向は、英語圏で英語で生活した人なら「日本の特殊性」として、多くの人々が共感することだと思う。日本語で作られた共同体と、英語で作られた共同体社会の違いだ。
 かといって、私は日本人としての民族性を誇りにする「右翼側」だ。要するに、このような「押し黙る日本」は、戦後になって完成された社会なのである。歴史をみれば明らかなように、江戸時代などは、3000件を超えた百姓一揆を代表とする庶民の反乱が多かったし、いまでいうSNSの原点は「直訴」だといっても良いだろう(この話は長くなるから別稿に譲る)。

 ジャニーズ事件問題も、被害当事者の声を、メディア大船団が押し黙ってスルーしたことで、英国BBC放送という「黒船」によって、世上に表出した。出来事の程度は違っても、問題の「本質」は本稿「相棒の闇」と同じである。

 さて、SNS音痴の私がいままで知らなかったことだが、この「note」では月額500円で、みなさんからのコメントを受けられるというので、今回からコメント可とした。「相棒の闇」のおかげで、とんだ出費だ。
 草刈本人もアンチも、映画監督協会で箝口令を敷くなどという、回りくどいことしてねえで、当ブログのコメントに文句を書き込めよ。

 それから、東映グループやテレビ朝日、日本映画監督協会に明言しておくが、本件「相棒の闇」が解決されたときには、私は当該の本稿連載部分をすべて削除する用意がある。もとより、このブログは、こんな「映画界の恥」を述べるためにあるのではない。


次回、『相棒』の闇 ⑦に続く
(自分からネタを振るなよ「そっち側」の諸君。おかげで、まだ続くじゃねないかよ、このバカげた連載が)

 

 
 

 


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!

ピックアップされています

FULL CONFESSION(全告白)

  • 43本

映画作家・GEN TAKAHASHIの作文。 旧監督名義・高橋玄で映画代表作『CHARON』『ポチの告白』『ゼウスの法廷』『GOTH』『陽光桜-YOKO THE CHERRY BLOSSOM-』『D5/5人の探偵』など。主に新宿、台北、ニューヨークで活動。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。
映画作家。監督代表作に『陽光桜』『CHARON』『ポチの告白』『名もなき絆』、最新作『カニの夢を見る』他がU-NEXT、Amazon Prime Videoなどで配信中。公式サイト:何処かより https://www.gentakahashi.co/
FULL CONFESSION(全告白) 43|GEN TAKAHASHI