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混沌から生み出し、シンプルにデザインする。顧客と切り拓いた WED の事業とその道のり。

2023. 04. 11.

世界観を追求するプロダクト。それを具現化するテクノロジーとクリエイティブ、そしてビジネス。この 3 つの均衡を保つことが WED の成長に欠かせないのだが、その裏側には顧客と向き合い探索と探求を重ねる彼の愚直で堂々たる姿があった。

今回の語り手は、GM, Solutions の山口。「事業のためになるなら、意思決定は迷わない。」そう淡々と語る彼の言葉から、Revenue/ Sales 責任者としての強い志と覚悟が滲み出る。一体彼は、どのようにしてシンプルかつ汎用的な事業を生み出し、育て、再現性のない企業成長へと導いてきたのか。その歴史を尋ねた。

山口(Yamaguchi) / GM, Solutions

大学卒業後、人材系企業2社で法人営業やマネジメント、新規事業開発に携わる。前職である株式会社クロス・マーケティングでは、大手メーカーや広告代理店への営業を担当。その後、最年少営業部長として事業開発や組織開発を約3年間経験。2019年6月に、4 人目の社員として WED へジョイン。現在は、執行役員 Revenue/ Sales 責任者として ONE および Zero の売上責任を担いながら、20 名規模の組織マネジメントに従事。

混沌から始まった、WED の事業の成り立ち。

——前職では当時最年少営業部長として活躍されていましたが、なぜ転職することになったんですか?

個の力がより求められる環境で、自分を試したいと思ったからです。当時の僕は、昇進すればするほど裁量が大きくなると考えていました。実際に、マネージャーや部長だからこそ経験できたことも多かったと思います。ですが、キャリアを積み上げた時、ふと「結局のところどのような役職や仕事であれ、自分で手を動かして物事を決めるというのは変わらないな」と思ったんです。

前職は上場企業で、当時の社長からは昇進の話も頂いていたので、正直なところ将来安泰とも言える絶好の環境でした。ただ、人生は一回きりですし悔いのないように生きたいと考えた時に、規模の小さいスタートアップで、僕自身の力を活かしてチャレンジしてみたい気持ちが強くなって。

WED との出会いは、知り合いの投資家を通じて、当時高校生だった代表の山内を紹介してもらったことがきっかけです。彼と初めて話したとき、抜群にイケてる起業家だと思いました。コンビニから暗い顔して出てくる高校生を幸せにしたいという想いから ONE が生まれたことや、「将来は街をつくりたい」と話す彼の叶えたい世界観を聞くうちに、僕が今まで考えもしなかった観点を持つ彼にどんどん惹かれていきました。同時に、彼の考える世界観を具現化し、ビジネスとして一緒に会社を伸ばしていきたいと思ったんです。

——WED には正社員 4 人目で入社されていますが、入社当時のことを教えてください。

WED にジョインしたのは 2019 年 6 月なので、ONE がリリースされて約 1 年が経った頃です。当時の WED は、山内の他にコーポレート兼営業担当が 1 人とエンジニアが 2 人、そして僕を入れた 5 人しかいませんでした。しかも山内は大学 1 年生だったので、確か週の半分は授業に出ていて会社にいなかった気がします(笑)

僕は営業として入社しているので、まずは ONE のビジネスモデルについてキャッチアップを始めました。入社前から、ONE は OCR を使ってレシートデータを収集していることは聞いていたので、ある程度はデータになっていると期待していたのですが、実際のところ営業には全く使えない状態でした。思わず、「ゴミデータじゃないですか!」と突っ込んだ記憶があります(笑)

当時は、営業活動の体制と言えるものが何も無い状態で、 営業戦略も KPI すらも決まっていませんでした。クライアントは基本的にインバウンドで獲得しており、問い合わせが来たらとりあえず全て対応するスタイルで。社用携帯もないし顧客管理ツールも使っていないしで、かなりカオスでしたね。

——最初はどのように営業を始めたんですか?

レシート買取というサービス自体は ONE が初めてですが、レシートを使った事業を展開している企業は複数あったので、まずは他社のサービスを徹底的にリサーチしました。前職の繋がりを駆使してひたすら営業をする日々でしたね。

情報収集を進める中で分かったことは、先行企業はレシートを使ったキャンペーンを行っているということ。これは、今の「ONE MUSTBUY(販促事業)」に繋がる大きな発見でした。もう一つ分かったのは、前職のようなリサーチ業界には ONE は通用しないということです。当時の ONE は、 MAU も数万人程度でアンケート機能がなかったのですが、クライアントからはアンケート調査の依頼が多かったため、せっかく商談の機会を頂いてもニーズを満たせず時期先になるのが現実でした。

——そこから、どのようにして今のビジネスモデルにたどり着いたんですか?

入社してから 3 ヶ月後に僕が初受注をしたタイミングで、「レシート買取でキャンペーンができそう」という事業の原型がようやく見えてきました。ちょうどその頃には、シリーズ A の資金調達を達成できたので、新メンバーも加わりチャレンジできることも増えて、ONE のビジネスモデルが確立していきました。

その後、泥臭く積み重ねた営業活動が実を結び、インバウンドで数千万規模の大型案件が年に数件受注できるようになりました。2020 年には、韓国の某 Web 企業によるコンペが実施され、競合他社含む 5 社の中で最もデータの精度が高いと評価いただくこともできました。これは、エンジニアの努力の賜です。

こうやって振り返ってみると、実は ONE 事業の遷移はとてもシンプルで、僕が営業をし始めた 4 年前と今ではビジネスモデルの概念はほとんど変わっていないんですよね。

——WED での 4 年間を振り返ってみて、特に印象的なエピソードを教えてください。

忘れもしない 2022 年 7 月 19 日。横浜市との「レシ活 VALUE(第2弾)」の受注可否を決定するプロポーザル当日のことです。過去にも横浜市とは取り組み実績があり、今回も万全の準備を重ねて臨んだので受注できる自信があったのですが、他社も万全の準備をしていて雲行きが怪しそうで。。。もしかしたら失注するかもしれないと社内に共有するや否や、役員陣には緊縮政策案が共有されるほどの事態でした。

多くの人の協力のもと進めていた約 50 億円規模のプロジェクトでしたし、WED の Revenue/ Sales 責任者として「全社員の給料は俺が稼ぐ」という気概でいたので、なんとしてでも勝ち取らなくてはと強く思いました。実際に、「この件がダメだったら責任を取って辞めるかもしれない」と妻に話していたくらいです。結果的に、開発スピードやサポート機能・体制の充実を理由に採択いただけたのですが、その日はまるで人生のジェットコースターに乗っているような気分でしたね。
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全ては WED のために。難題に向き合い続ける彼の流儀。

——現在の山口さんの仕事について教えてください。

Solutions を統括する立場として、WED 全体の売上責任を持つことが主なミッションです。2022 年末までは、営業メンバーが僕を含めて 3 名しかいなかったので、事業全体のマネジメントをしながら僕もいち営業担当として全社の売上のほとんどを生み出していました。

2023 年に入ってからは、各業界に知見を持つ優秀な営業メンバーたちが一気に増えたので、どんどん彼らに権限移譲を進めたいと考えています。僕自身は、ONE の自治体事業とデータ事業を中心に BizDev として新領域の事業開発をしており、今後も新規事業戦略を練って具現化することが仕事です。

ONE 同様、Zero の営業についても僕が責任を持っているので、今後の営業戦略や営業活動は引き続き担当する予定です。直近では、大手ショッピングモールへの全国導入も決まっており、フロー型ビジネスの ONE の傍らで、ストック型ビジネスとして安定的な売上を作っていく予定です。

——山口さんから見た、WED の事業課題はなんですか?

大きく分けて 3 つですね。まずは、ONE で収集しているレシートデータの質の向上です。現在( 2023 年 3 月時点 )ONE は 7 億のレシートデータを保有しているものの、そのうちクライアントに提供できる有効データ数は理想とはまだまだギャップがあって。この問題を解決するには、JAN コード※1と紐付けた商品ごとのカテゴリ付与や収集するレシートのバリエーション拡大、つまりは幅広い属性のユーザーに ONE を使い続けてもらうなど、改善できることがたくさんあります。乗り越えるべき課題は多いですが、それらをひとつずつ潰していくことができれば、ONE のデータは業界の中でも貴重なデータになるので、今後力を入れたい領域です。

※1.「どの事業者の、どの商品か」を表す国際標準の商品識別コードのこと
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ONE MUSTBUY※2のユーザーを増やすことも課題として挙げられます。直近で分析したデータによると、ONE にレシートを投稿しているユーザーのほとんどは、全種類のレシート買取を利用していて ONE MUSTBUY の利用者は圧倒的に少ないことが分かりました。これまでの ONE は、「レシート買取アプリ」のイメージが強かったのですが、今後は ONE MUSTBUY の利用率を上げて「ONE を使えば、お得に楽しくお買い物ができる」というユーザーのマインドチェンジを狙っていきたいです。

※2.全種類レシートとは異なり、特定商品のレシート撮影で固定金額がユーザーに還元されるキャンペーンのこと
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最後は、新規クライアントの獲得です。これまで 300 社以上の取引実績があるものの、案件が特定のクライアントに集中してしまっているので、今後の事業拡大に向けて顧客基盤を構築していくことが重要課題となっています。

――これらの課題感に対して、現在実施している施策を教えてください。

レシートデータの質の向上に関しては、データエンジニアと一緒に既存データと JAN コードの紐づけを進めています。現時点で、ある程度はデータの紐付けが完了しており、2023 年の上半期には全ての紐付けが終わる見込みです。並行して、Growth チームと連携しながら新規ユーザー獲得や既存ユーザーのリテンション率改善を行い、レシートデータのバリエーション拡大を目指しています。

ONE MUSTBUY のユーザー増加については、こちらも Growth チームと連携しながらデータ分析ツールを活用した改善を進めているところです。ユーザーが参加したくなるキャンペーンを作ったり、参加障壁を下げる施策を考えたり、日々少しずつ改善をしています。

さらに、新規クライアントの獲得については、ある一定のラインを超えた取引額が見込める企業を 年内に目標社数獲得することを目指し、営業チーム全体で粛々と開拓を進めています。ONE のビジネスモデルは拡張性が高いので、FMCG メーカーや広告代理店に留まらず、自治体やスポーツチームとのタイアップやリアル店舗での販促支援など貢献領域を広げていきたいですね。各業界が抱える課題やニーズに対して、ONE がどのような使われ方をするのか今後が楽しみです。

――多岐に渡る事業領域で営業部門を牽引されていますが、山口さんが仕事を進める中で意識していることはありますか?

どんな仕事においても、会社や事業が良い方向に向かうかどうかを軸にして意思決定するようにしています。この軸さえブレなければ、僕が意思決定の場で迷うことはほとんどなく「責任は僕が取るのでやりましょう」というスタンスです。

意思決定することは言葉ほど簡単ではなくて、誰しも失敗した時のことが脳裏をよぎると思うんです。影響範囲が広がれば広がるほど、なおさらですよね。実際に、何か新しい取り組みをする時に提案書を作成して周りの意見を聞いてから実行するビジネスマンも多いと思います。

もちろん、リスクを軽減するためにも一度立ち止まって吟味することも必要ですが、新しい取り組みだと特に、いくら考えても実際にやってみないと分からないんですよね。なので僕としては、まずは実行してみることの方が重要だと思っていて。これはメンバーに対しても同じで、彼らの挑戦を後押しすることが僕の役割だと考えています。

顧客と共に切り拓く、事業の可能性と創造的な未来。

――山口さんが今後取り組みたい事業はなんですか?

個人的に好きなのもありますが、エンタメやスポーツ関連のタイアップは引き続き挑戦したいですね。過去に、川崎フロンターレと一緒にサポーター像の可視化を目的としたキャンペーンを行いましたが、アプリという手軽さから多くのファンの方に利用いただけて。地域・クラブチーム・スポンサー・サポーターを繋げるという意味でも、社会貢献性の高い取り組みだったと思います。

僕が考えていた以上に ONE の事業は拡張性が高く、ONE のアセットを使えば幅広い業界に対して何かしらの貢献ができると考えています。実際に、レシート買取からはじまった ONE で、まさか自治体やクラブチームの支援ができるなんて、当初は想像すらしていませんでしたから。プロダクトが本質的だからこそ、自由度の高い事業が生み出せるのが WED ならではの面白さだと思います。

山内が僕に言ったように、いつかは WED で街づくりができたら面白いし実際にできるんじゃないかと考えています。消費を軸に事業を展開しているので、WED が生活における全ての起点になるような世界観をつくりたいですね。ゆくゆくは、ONEをダウンロードしているだけで、お金が勝手に増えていくようなプロダクトになったら面白いなと考えています。

――なぜ、ここまでいろいろな取り組みができるのですか?

クライアントの抱える課題や理想像に寄り添いながら、「WEDなら何ができるのか」を常に考え、向き合ってきたからだと思います。僕の事業アイデアはいつも、クライアントとの会話を通して自然と生まれるんです。

例えば先日、ある大手自動車メーカーから「消費者が自動車に興味を持ってから購入に至るプロセスを可視化したい」という依頼を受けました。一見すると、ONEと自動車は親和性が低いと思われがちですが、意外とそんなことはなくて。

実際に、雑誌や車の情報サイトから情報を集めて自動車ディーラーを訪問し、見積書を取る人もいれば、ショッピングセンターで休日に行われる試乗会をきっかけに興味を持って買う人など、購買行動には様々なパターンが考えられます。ONEは、オフライン・オンライン問わずチャネルを横断したデータが収集できるので、どんな購買行動のパターンでも ONE で可視化することができるんです。

今回の例のように、クライアントが抱える課題の本質を的確にヒアリングし、ビジネスの種を探していくことで、自動車業界 × ONE で新たな事業の可能性が広がりました。これは、僕たちの突飛なアイデアによって生まれたわけではなく、クライアントに向き合い提案を重ねてきた結果だと思っています。

――山口さんの考える、WEDという会社の理想像を教えてください。

個人がやりたいことを実現できる会社でありたいですね。例えば、人事が新規事業を立ち上げたりエンジニアが営業をしたりするのもありだと思っていて。要は、どうあるべきかではなくどうありたいかの理想に重きを置いて、それを実現できるようにバックアップするのが僕の役割だと思っています。

メンバーがやりたいことに挑戦し続けられれば、自然といろんなアイデアや施策が出てくると思うので、それらをどう WED に還元するか、PMF(Product Market Fit)させるかを考えるのはワクワクしますね。会社にとっても、新しい事業やプロダクトが生まれ続けるという良い循環になると思うんです。だからこそ、個々人の WILL を叶えられる会社でありたいです。

――最後に、山口さんが一緒に働きたい人物像を教えてください。

事業のことを真剣に考え、取り組んでくれる人がいいですね。失敗は誰しもするのだからこそ、もっと事業に向き合って、やり続けられる人が正しいと思うし、僕はそんな人と一緒に働きたいです。

なぜなら、事業の拡張性が無限にあるということは、それをどう料理するかが携わる人に委ねられるからです。実際に、ONE自体が事業・プロダクト両方の側面でアップデートを続けており、昔と今では競合他社が違います。そういった変容し続ける事業・プロダクトに面白さを覚えてくれる人だとよりいいですね。
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