レザーは水に強くはない。
だが、雨の日だから革ジャン
を着ない、という選択は私に
は一切無い。
二輪で走っていて雨に降られ
たら仕方ない。
ロングツーリングならば雨具
を上に着るが、数百キロ程の
ちょいツーなどでは雨具は持
たない。
レザーウエアには予め防水加
工を施し、さらに手入れもし
ている。ブーツもグローブも。
それで雨に降られたら仕方な
い。
映画『彼のオートバイ.彼女の
島』(1986)で、とても違和感
があったのは、雨の中自分の
革ジャンを着ていた自分の彼
女から主人公が革ジャンを無
理やり脱がせるシーンだ。
条件違反(2点加点)で大型二輪
に乗ってた程度でトサカに来
てから。自分は反対車線はみ
出しふくらみ車線無視走り、
丸裸走りの危険運転者のくせ
に。
「雨の中、革ジャンなんて着
やがって!脱げよ!!」と言
いながら、無理矢理女から
大事な大事な革ジャンを剥ぎ
取った。
「はあ?」なのである。
1970年代、1980年代の本物
の乗り屋は雨だろうと、ごく
フツーに革を着ていた。
第一、ロードレースがそうだ。
濡れたら、あとで陰干しして
オイルアップして風通しの良
い場所に吊るしておけばいい。
今のような伸ばし伸ばしで
作ったごまかしレザーではな
い本格製法のレザーは縮む事
は無い。
私は散々これまで雨の中でも
革を着ていたが、縮んだ事な
どは一度も無い。
だって、そもそも、二輪は
ブーツとグローブが本革じゃ
ないのさ。
雨降ってきたからとブーツ
脱がせるのか?
カレカノのコオは。
あれはとてつもなく違和感が
あった。
節々に「オートバイの事を知
らない人」が作った作品であ
るというのが出ている。
それに何だあの「決闘」は(笑
現実世界ではあんなの、ぜっ
てーねぇっつーの。
くっそだっせーし。
あのプレス屋たちの態様も。
いつの時代だよ、と。
日活無国籍映画時代かっつー
の。
1986年では国内には皆無で
す。
革ジャン大事は分からなくも
ないが、雨だからと防護服を
脱ぐのは本末転倒もいいとこ
だ。
雨だからと、仮にボルサリーノ
被ってたら脱ぐのか?
バーバリーのコート脱ぐのか?
そういうのは、モデルガンに
白手袋してしか触らず、作動も
させないのにモデルガンファン
やマニアを自称しているだけの
ドカンチのそれだ。
革着てる奴らは雨でも走る。
そこで雨足が強くなれば防水
ウエアを上に着込む事はあっ
ても、革を脱ぐ事は無い。
また、レインウェアを持って
いなければそのまま革着のま
まだ。当たり前の事だ。
それを『カレカノ』では、主
人公が革ジャン大事の為に強
引に強姦するように女の着て
る物を剥ぎ取る。
そして、ラスト間際には、雨
の中なので、女は革ジャンを
脱いで畳んでバッグにしまっ
て走行する。土砂降りの中を
Tシャツで。笑顔で男の価値
観に自分を合わせて。
ゲロゲロおえーなのだ。
非現実的であり、あり得ない
くそくだらないロマンチシズ
ム満載で大林監督は撮る。
かなりキモいシーンだ。
滑りまくりのお花畑ぶっぱし
りだからだ。安っぽいメルヘ
ンちゃん全開で。
革ジャンは雨に強くはない。
だが、弱くもない。
濡れたら手入れをすればいい。
西部開拓時代の馬の鞍は全部
革製だよ。
雨だからと、馬降りて鞍に
カバーかけて人間が歩くの?
バカな考えやめてくれ、とい
うやつだ。
私は、そうした本末転倒の偏
愛主義は、その対象を本当は
愛してはいないのだと踏んで
いる。
偏愛溺愛を物や人に対して向
けるのは、非常に気持ち悪い。
革は濡れたら手入れをすれば
それでいい。