「ええのんじゃー」のかけ声とともに青竹をちょうちんに激しくぶつける乾いた音が響く。21日午後7時ごろ、魚吹八幡神社の楼門前で「ちょうちん練り」は始まった。
問題の動画は長さ約3メートルの青竹の先につけられた「ちいかわ」を模したちょうちんを大勢の人々が取り囲み、青竹を強く地面に打ち鳴らすところから始まった。
【姫路・提灯練り】青竹で“ちいかわ”提灯をバシバシ叩いてあっという間にボロボロ…拡散動画に「子どもが見て泣きました」「心が痛い」非難殺到に宮司は…
兵庫県の重要無形民俗文化財に指定されている姫路市の魚吹八幡神社(うすきはちまんじんじゃ)の秋季例祭が10月21日、22日の2日間で盛大に行われた。播州最大級の氏子数を誇るという秋季例祭は播州の代表的な祭りのひとつで、毎回数万人が訪れる。秋季例祭は通称「ちょうちん祭り」と呼ばれることからもわかる通り、その目玉は伝統行事「ちょうちん練り」だ。青竹の先につけたちょうちんを派手にぶつけ合い、はじけ飛ぶ様子を見物客が楽しむのだが、テレビアニメ『ちいかわ』のキャラクターを模したちょうちんがはじけ飛ぶ動画がXで拡散され、物議を醸している。
「子どもがあのシーンを見て泣いてしまった」
どのようにして「ちょうちん練り」は発展していったのか。別の神社関係者が経緯を説明する。
「もともとはちょうちんを『練り合わせる』というところから始まり、竹同士が当たって『これええやないか、おもろいな』となって、今みたいな竹をぶつけあうという形に発展していっただけなんです。エスカレートしたと言えばエスカレートしたのですが、それが恒例となりました」
HPに書かれた謝罪文(魚吹八幡神社HPより)
7つの地域がそれぞれちょうちん練りに参加し、祭りには1000個近くのちょうちんが並ぶ。使われるちょうちんが変化しだしたのは平成に入ってからだという。
「いろいろなキャラクターのちょうちんが使われるようになったのはだいたい20年前くらいからだと聞いています。その村の特色をだして作りたい、より目立たせたい、というかそんな感じだと思います。
動画にアップされている村は、キャラクターのちょうちんを作るのが特色でいつも独自ちょうちんを作ってます。他の村はキャラクターのちょうちんは作りません。その村は若い子が多くてそれが伝統になっているというか。毎年毎年、その年に話題になったキャラクターをリサーチして作っているみたいです。でも、悪気があるわけじゃなくて……。前にはピカチュウだったり、人気アニメキャラのちょうちんがいろいろありました。他にも今年はビクトリーと書かれた阪神タイガースの選手や監督の写真などのちょうちんもあったようです。
ちょうちんを作ってる人たちは愛もあって作ってはいると思うんです。ですが、今後は外部から疑問の声があがるものはすべて出さない方向にしていくしかないかなと思っています」
今回の事態に関してはちょうちん練りの次の日、お宮には「なんでこんなことをするんですか?」とクレームがきた。メールや電話も鳴りやまないという。
「メールは40件以上来ました。『子どもが見る番組なのに、子どもがあのシーンを見て泣いてしまった』とか『見てて心が痛いです』という内容などです。もちろんファンのかたの気持ちやおっしゃりたいことは重々理解できますし、私も好きなキャラクターとかいますし、それがああなったらどう思うのかなと言われればわかります。まだ協議中ではありますが、お祭り自体はおそらく続けていくとは思うのですが、キャラクターなり肖像権があるものを全面禁止にする方向にしなければいけないなと考えております」(前出・神社関係者)
今後は神輿の前後を照らすちょうちんを練り合わせる本来の形に戻して『ちょうちん祭り』は継続されていく見通しだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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