初期のバッハは音楽的に保守の立場の人々から異端扱いされたり、宗教論争がらみで居場所に困ったりということがあり、彼の生涯の中では移動の多い時期だった。
BWV565
1704年の作品。トッカータ、フーガともにやはり主題が良い。
リューベックまでブクステフーデを見に行ったことも素養になっているであろう。
BWV578
主題も勿論良いが、つなぎの部分も存在感がありかつコンパクトにまとまっている。1703から1707年作。
バッハの代表的なオルガン曲、特にBWV565と578が比較的早い
時期に生み出されているということは、バッハにとってこの楽器が
自身の芸術を表現するのに便利であり、またこの楽器に精通していたことを示していると思う。
他にBWV572や582も優れているが、これらのような変奏による曲の組み立てもバッハの得意分野で、後年にも多くの傑作を生み出している。
バッハは1708年からワイマール宮廷のオルガニストとなったが、
時の統治者が芸術に好意的だったこともあり、創作に適した環境であったと考えられる。
BWV911(1710) (後半部分)
BWV564は1708~12年の作品。
BWV572は1710年頃の作品。この曲のように、あまり主題らしいものがないのは、だから「幻想曲」という名も付くのだろうが、その割に印象に残るというか、聴き終わって非常に感慨深い気持ちになる曲である。演奏、作曲とも技法的にあまり凝らず、むしろ霊感が前面に出ているという感じか。
BWV639 小品だが、屈指の名曲と言っていいと思う。
1708~1717年の作品。
初期のバッハは編曲作品を結構作っている。
Concerto in C Major, after von Sachsen-Weimar, BWV 984: Allegro
Prelude and Fugue in D minor, BWV 539 (1720~1725)
インヴェンションとシンフォニア(1720-1723)より Sinfonia
BWV788 in C minor
思い出したように書かれた、と言えるか、その頃少なくなっていたオルガン曲。同じト短調の「小フーガ」に対して「大フーガ」になるか。主題については前者は優れすぎていて、それに勝るとは言えないが、構成的には冗長なところが全くない傑作と言える。1720年頃の作品。
トリオソナタBWV525~530は1730年頃の作品。
「トリオソナタ」の名の意味は、「声部が3つある」ということ。
BWV 525 in E-Flat Major
BWV831「フランス風序曲ロ短調」は1734年の作品。
「イタリア協奏曲」と共に「クラヴィーアのための練習曲」として
出版された。「序曲」と名は付いていても、1曲ではなく、組曲の
形式である。