「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫。」

この記憶に残るキャッチコピーでおなじみのCMが4年ぶりに復活したことをご存知だろうか。

イナバ物置で有名な「株式会社稲葉製作所」(東京・大田区)は1940年創業で、このCMは1987年に初代社長が始めて以来、毎年作り続けてきたそうだ。

しかしコロナ禍の影響で2020年から撮影は中止に。そして今年、ようやく撮影を再開し、新たなCMを公開した。

実はその間、2021年には社長が2代目から現在の稲葉裕次郎氏へと変わっている。

CMのセンターに座り「100人乗っても大丈夫!」と言うのは代々の社長が務めているそうで、裕次郎氏にとってはこれが初めてのCMになったという。

また同社はCMの公開に先立ち、Instagramに予告動画やメイキングを投稿していたが、そこには「#社員じゃないんです」というタグがあった。では社長以外の99人は一体誰なのだろうか?

そしてハッピの色や並び順になにか意味があったりするのだろうか?稲葉製作所の担当者に聞いてみた。

並びは営業成績の良い順

――9月25日から放映しているCMで物置に乗った100人は誰?

前方中央で「やっぱりイナバ100人乗っても」と発声しているのが当社、代表の稲葉社長です。99名様はお取引先のオーナー様や代表の方々に乗って頂いています。毎年撮影しているのでピッタリ息が合うんです。

――どんな順番で並んでいる?

並び順は1年間の営業成績の順になっています。当社社長に近い方から成績が良い順位で、社長の左右と真後ろがトップ3です。毎年座る席が変わるので、過去のCMと見比べて見てください。

――ハッピの色の意味は?

ハッピの色はポスターなど見た方が数えやすくするために色分けしています。オレンジ色の法被の方から上位1~29位、青が30~60位、赤が60~100位です。社長+29名+30名+40名としています。

――会社にとって、毎年の新CMの撮影はどんな意味があるの?

当社の決算が7月末なので、その成績を受けて並び順が決まります。1年を振り返る成績発表と、お取引先様に1年の感謝を伝える意味もあります。

――「100人乗っても大丈夫」のフレーズは、どうやってできた?

当初は、ガレージの上ではなく、1坪タイプの物置に30名くらい乗せて、『見よ、この堅牢な物置を』とカタログに載せているだけでした。それを創業者の庄市が「100人乗せられる物置はあるか」と言い、積雪荷重を人の体重に換算し、社員100人を乗せたところ大丈夫だったという経緯から作られました。このインパクトを世の中に広めたくテレビCMにしました。皆様に親しんでいただき、今では日本中で愛されるキャッチコピーとなっています。

今後もCMを撮り続けていきたい

――4年ぶりにCM撮影をしてトラブルはなかった?

昔は屋外で撮影していたため、ヘリコプターの音で撮影が止まることがありましたが、十数年前からは当社工場の建屋内で撮影をしていますのでハプニングは無くなりました。今回は4年ぶりの撮影にもかかわらず100人CMに慣れているお取引先様のご協力のおかげでスムーズに撮影することができました。

――初めて出演した社長からはどんな感想が出ている?

稲葉社長からは「先代から歴史あるCMを受け継ぎ、大変身の引き締まる思いです。『大丈夫』のフレーズを皆様と言う事ことでお取引先様との絆を感じました。これからもよろしくお願いします」という感想をいただきました。

――CMを放送した反響は?

今回のCMは今までの良さを残しつつ、現代風にリニューアルを行いました。見ていただいた方からは「カッコいい」「CMが復活して嬉しい」などの嬉しい反響をいただいております。

――CMはこれからも毎年撮り続けていく?

今回4年ぶりに新作CMを製作し、改めて弊社のCMが皆様から親しんでいただいていることを実感いたしました。これからも皆様に「100人乗っても大丈夫と言えばイナバ物置」と思っていただけるよう、CMを撮り続けていきたいです。

ちなみに同社公式サイトで紹介しているCMライブラリには動画がない年もあるが、これは権利関係から公開していないのだという。

1987年から始まった同社のCMは今年で34本目。来年もそれ以降も変わらず作り続けていくことだろう。