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人気アプリ「NauNau」を生み出した早大生 趣味は新しいアプリをつくること 

「人と人がつながっていくことが楽しいんです」

創造理工学部 4年 片岡 夏輝(かたおか・なつき)

プログラミングに出合ったインドにて

若い世代の間で人気を集める位置情報共有アプリ「NauNau」。このアプリを開発・運営しているのは、創造理工学部4年の片岡夏輝さん。片岡さんは2021年にはSuishow株式会社を設立し、ブロックチェーン・メタバース(インターネット上の仮想空間)事業などにも取り組んでいます。アプリやWebサービスの開発から会社の経営まで幅広く活動する片岡さんに、アプリ開発との出合いやその楽しさ、そして将来の展望などを聞きました。

――人気アプリ「NauNau」は、どういう経緯で生まれたものなのでしょうか?

NauNauは友達同士で位置情報や歩数などを共有することができるアプリで、2022年10月にリリースしました。その前は他のアプリを作っていたのですが、そんなときに「Zenly」という位置情報共有アプリがサービスを終了するというニュースが飛び込んできたんです。自分の愛用していたアプリがなくなることに驚いて、2週間くらいで作ったのがNauNauです。今、NauNauは300万ダウンロードを超えています。学生がこの規模のアプリを作ることはなかなかないのではないかと自負しています。

NauNauでは、カップル・家族向け機能として、相手の移動履歴を見たり非通知でも音の鳴るSNSを送ったりすることができるそう

――他方、Suishow株式会社を立ち上げ、最高経営責任者(CEO)として経営にも携わっています。起業の経緯を教えてください。

もともとアプリやサービスを開発するのが好きなんです。だから、趣味でいろいろなアプリやサービスをつくってきたのですが、今では会社として行う規模になりました。

起業への興味は以前からあったのですが、具体化したのは大学3年生のときです。周りがインターンや就活を始めて、それなら自分は会社を作ろうと決めました。ちょうどWeb3(次世代のWeb技術)やメタバース、NFT(デジタルデータを偽造不可にする技術)などが注目を集め始めた時期で、Web3の可能性を追求したりバーチャル空間での生活やその価値を定義したりすることができたら面白そうだと思ったんです。Suishow株式会社では、NFTとメタバースを掛け合わせたサービスの開発・運営なども行っています。

──どのようなきっかけで、Webサービスをつくるようになったのですか?

大学進学前の春休みに、インドでインターンシップを行った

高校を卒業した後、大学が始まるまで、家族が住んでいたインドでインターンをしていたのですが、そのときに職場でプログラミングをしている人を見て、よく分からなかったけど面白そうだと感じたんです。そして、つくるならSNSを開発してみたいと思いました。

最初はプログラミングができなかったので、大学に入ってすぐ、プログラミングのできる友人の家に押しかけて「僕の考えたアプリを作ってくれ!」と頼んで作ってもらっていました(笑)。その後、大学1年の夏休みに1日15時間くらいかけて特訓して、自分でもアプリを作れるようになったんです。初めはSNSを作ろうとしていたのですが、大学3年の春にNFTとメタバースにも関心が広がり、いよいよSuishow株式会社を設立することになりました。NauNauも最初は私の趣味として作ったのですが、今はSuishow株式会社の事業の一つになっています。

――片岡さんを夢中にさせる「開発」の魅力はどこにあるのでしょうか。

とにかく、人と人がつながっていくことが楽しいんです。私自身はあまりSNSをやらないのですが、つくるのはとても好きです。つくったアプリがダウンロードされるだけでうれしいし、開発者としてユーザーとコミュニケーションをとれるだけですごく楽しいんです。作ったアプリやサービスに誰かがワクワクしてくれると、自分自身もワクワクしてきます。

また、アプリの細かい仕様をつくるのも好きです。例えば、ユーザーのことを考えながら、色を指定したり、ピクセル単位でデザインを決めたりしていくのが気持ちいいんです。よく見落とされがちですが、ボタンをタップしたときの振動なども大事です。

頭の中には作りたいアプリやサービスのアイデアリストがあるのですが、その全てを作る時間はないので、取捨選択しています。アイデアを思いついたら1日で作って試してみたいので、趣味として開発するのは小回りが利いていいですね。とはいえ、サービスが大きくなっていくと一人では問い合わせにも対応できないので、会社であることも重要です。

Suishow株式会社で開発するメタバース技術についてプレゼンを行う片岡さん

――ところで、公認サークル「コンピュータ研究会・WINC」の幹事長も務めていましたよね。

実は、大学にはプログラミングをやりたいと思い進学したのですが、いざ入学してみたらサークル文化に魅了されたんです(笑)。早稲田大学には本当にさまざまなサークルがあって、それが面白いと感じました。そこで最初は、いろいろなサークルを紹介するWebサイトを作って運営していました。サイトは人気だったのですが、掲載した記事からトラブルも生じてしまい…。そこから、アプリの開発に意識が向きました。

コンピュータ研究会にはプログラミングを教えてもらおうと思って入ったのですが、アクティブに活動していた先輩が一人しかおらず、その先輩もすぐに留学に行ってしまって、私が幹事長を引き受けることになりました。「1年生で幹事長ってかっこいい」と思っていたのですが、幹事長の仕事は大変でした。それでも、幹事長を務めている間にサークルの人数は100人前後に増えました。サークルをいくつかのグループに分けて、初心者向けのものからデザインやデータサイエンスなど専門的な内容まで、関心のある分野ごとに集まって教え合うような仕組みを導入するなど、サークル運営を工夫したんです。

「人と人がつながっていくのが楽しい」というのは、サークル活動も同じです。そのために思いついたアイデアをすぐに試してみるというのも、サークル運営とアプリ開発で共通していますね。

――これから開発したいWebサービスや期待している分野があれば教えてください。

注目を集めるSuishow株式会社。2022年12月に行われたスタートアップ企業のコンテスト「Marui Co-Creation Pitch #03」では優秀賞を受賞した

もっとNauNauを大きくしていきたいです。単に位置情報を共有するだけのアプリと考えるとパッとしませんが、これがInstagramの次にくるSNSになると思っています。

位置情報共有アプリは、あえて投稿せずとも発信できるSNSです。既存のSNSでは、自分ではあまり発信せず、他の人の投稿をただ見ているだけの若者が増えているのですが、位置情報共有アプリだと投稿しなくても友達が何をしているのか分かります。若い人たちのスタイルに合致した、リアルに友達とつながることができるSNSなんです。

そして、新しい技術を通じて、新しい価値観を生み出してみたいですね。10年前にできたことをやっていても面白くないですから。新技術を使ってたくさんの人の生活を良くしていけるように、今後も面白いアイデアを追いかけていきたいと思います。

第842回

取材・文:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
大学院法学研究科 修士課程 2年 植田 将暉

【プロフィール】
東京都出身。早稲田大学本庄高等学院卒業。生まれは日本だが、小学生のときから7〜8年ほどをインドで過ごす。開発者としての理想像は、イーロン・マスク。いろいろなことに挑戦し、一定の成果を挙げて、大きなお金を動かしている姿に憧れるという。

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