SCPシステム選定の着眼点 ブックマークが追加されました
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近年、SCP(Supply Chain Planning)システムの刷新に着手する企業が急増しており、デロイト トーマツ グループは現在多数のSCPシステム導入/リプレースプロジェクトをご支援させていただいている。SCPシステムについては複数の主要なパッケージ製品が市販されているが、その選定に悩まれる企業が多く、各社パッケージ製品の特長を十分に理解しないまま選定するケースも散見される。本稿では、SCPシステム選定時に押さえておくべき機能面の分類とそれぞれの特長について解説する。
本題に入る前に、SCPシステム刷新が急増している背景に触れたい。大きく「ビジネス環境の変化」「SCPシステムの進化」「周辺IT環境の変化」の3つが挙げられる。(図1)
図1 SCPシステム刷新の背景
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事業環境の変化により新たな経営課題が生じ、これまで以上にサプライチェーンに関する意思決定の高度化や業務効率化が求められている。つまり、「大義名分」をもってSCPシステム刷新の必要性を訴求しやすい状況が生まれている、と言うことができる。
上述した経営課題の解決に役立つソリューション、すなわち「武器」としてのSCPシステムが大きく進化してきた。
直接的にSCPシステム刷新の理由とはならないものの、それを「後押し」している。
以上をまとめると、ビジネス環境の変化に伴い生じた経営課題を解決するためにSCPの高度化が求められ、そのニーズにSCPシステムの進化が追い付いてきたのと同時に、周辺IT環境の変化も後押しとなってSCPシステム刷新の機運が高まっている、ということである。
上で経営課題の解決に役立つソリューションとしてSCPシステムが大きく進化してきたと述べたが、当然のことながらSCPパッケージ各社製品にはそれぞれ特長があり「どれを導入しても同じ」ということはない。どのようなSCP業務の在り方を目指しているのか、その目的と各社製品の特長を照らし合わせて選定すべきであることは言うまでもない。
弊社はSCPシステム選定にも間接的に関わることが多いが、SCPパッケージ各社製品についてその特長を十分に理解しないまま選定されているケースが散見される。「機能要件一覧をシステムベンダーに送付し、対応可否に関するベンダーからの回答を確認する」というプロセスは当然必要ではあるが、多くの場合、機能要件対応可否に関するベンダー各社からの回答内容を額面通りに受け取るだけでは優劣を付けることが難しい。SCPシステムがどのように分類され、各社がどの分類に属するのかを理解した上で、ベンダーからの回答を注意深く検証することが求められる。
SCPシステムを機能面で分類すると、「ヒューリスティクス型」と「最適化型」の2つに大別される。(図3)
図2 SCPシステムの大分類
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シナリオプランニング、すなわち人がいろいろ条件を変えながら複数のシナリオで計画を立てて比較するアプローチを支援する。人による判断を重視したS&OPを志向する企業に適している。
人が設定した目標(売上、利益 等)および制約条件に従い、膨大な計算処理によって1つの最適なサプライチェーン計画を算出する。
「ヒューリスティクス型」と「最適化型」、それぞれのSCPシステムを活用したS&OP業務の流れについて、以下に例を挙げて説明する。
図3 ヒューリスティクス型SCPシステムを活用したS&OP業務(例)
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図4 最適化型SCPシステムを活用したS&OP業務(例)
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上述した2つの分類がどのようなS&OP業務に適しているか、以下に例を挙げる。
繰り返しになるが、SCPシステム選定の際には、自社の目的と各社パッケージ製品の特長を照らし合わせて検討していただく必要がある。デロイト トーマツ グループは、主要なSCPパッケージ製品について国内外での導入プロジェクトを数多く経験しており、各社製品の特長を理解している。本稿で述べたSCPシステム分類の詳細説明、各社パッケージ製品の特長、導入事例等についてご興味があれば、お問い合わせいただきたい。