娘のため働いてただけなのに イスラエルで犠牲のタイ人、無言の帰国

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 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの襲撃で犠牲となったタイ人労働者8人の遺体が20日、帰国した。貧困層の多いタイの地方から家族を養うために出稼ぎに行っていた人たちだった。遺族は「なぜ罪のない人が」と悔しい胸の内を語った。

 犠牲者の一人、アナン・ペッケウさん(39)のいとこ、ウォンドアン・ラムルアさん(42)は朝日新聞の取材に、「彼はただ、家族の生活を支えるために異国の地で懸命に働いていただけだった。なのにどうして」と涙ながらに語った。

 ペッケウさんはタイ東北部チャイヤプーム県に妻と12歳の娘がいる。地元で町工場を営んでいたが、コロナ禍で事業が立ちゆかなくなり、3年前からガザ地区に近いイスラエル南部の農場で、他のタイ人労働者とともに働いていた。

 農場の同僚の目撃証言によると、7日朝にオートバイ2台に乗って来たハマスの戦闘員4人がペッケウさんたちが住む宿舎に押し入ってきた。戦闘員は室内に爆弾を投げ込んで火災を発生させた後、ペッケウさんらを銃で射殺したという。

 ラムルアさんの夫(42)は「酒も飲まずたばこも吸わず、努力してヘブライ語も習得していた。尊敬できる人です」と悼んだ。

 8人はタイ北部と東北部出身…

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