FNNが10月14,15日に行った世論調査によると、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」について「賛成」が55.8%、「反対」が35.9%と答えた。
この記事の画像(5枚)「ライドシェア」の解禁を求める声が上がる背景には、インバウンド・外国人観光客が急激に回復していることや、高齢化が進む過疎地で、タクシー運転手の不足が指摘されることなどが背景にある。
世論調査で「ライドシェア」導入について、地域別でみると、東京都で「賛成」の答えが68.2%と他地域より突出する結果となった。
次いで「賛成」が多かったのは中国で60.0%、東海59.7%、東北56.8%と続き、最も少なかったのは北海道の45.9%となった
【地域別 ライドシェアに「賛成」】
東京都 68.2%
中国 60.0%
東海 59.7%
東北 56.8%
北陸信越 56.4%
近畿 56.1%
九州 54.1%
北関東 51.2%
南関東 49.0%
四国 47.8%
北海道 45.9%
東京での「ライドシェア」に「反対」は17.9%で、他の10ブロックでの反対意見が3割から4割なのと比べて、反対意見の少なさが目立った。
年代別にみると、ライドシェアに「賛成」との答えは20代以下が68.5%と最も高く、40代で63.2%、50代59.8%、70代以上51.4%、60代49.7%、30代43.5%となった。
【年代別 ライドシェアに「賛成」】
20代以下 68.5%
40代 63.2%
50代 59.8%
70代以上 51.4%
60代 49.7%
30代 43.5%
議論の火付け役は菅前首相 小泉進次郎元環境相も実現に意欲
菅前首相は8月17日、長野市内で講演し、外国人観光客が増える中、タクシー不足が指摘されていることについて「現実問題として足りない、いろんな観光地が悲鳴を上げている」と「ライドシェア」活用拡大に意欲を示した。
また、これに続いて、小泉進次郎元環境相も9月1日に「ライドシェア」の実現に向け「最近、タクシー不足とか、移動難民という言葉が言われる」と述べた上で「タクシーだけでは不便さを解消することはできない」と述べた。
タクシー業界「ライドシェアは、地域交通を破壊する」と反対論
一方、タクシー業界からは「ライドシェア」に反対の声が上がっている。
17日に開かれた自民党のタクシー・ハイヤー議連には、全国ハイヤー・タクシー連合会の会員が出席し「利用者の命と安全が危険にさらされる」と導入に反対意見を示した。ライドシェアは一般の人が運転手となるため、アルコールチェックや体調管理など運行管理を受けておらず「素人のドライバーだ」という危惧を表明した。また海外の事例を挙げて「ライドシェアは都市部でしか走らない」と、過疎地でのドライバー不足の解決にならないと指摘した。
松野博一官房長官は9月に「タクシーの需要に供給が追いつかない状態が生じていることは重要な課題だ」としつつ「ライドシェアには安全の確保、利用者保護の観点から様々な課題がある」とも述べた。今後は、政府、与野党で議論が活発になるとみられる。
(フジテレビ政治部デスク 世論調査担当 西垣壮一郎)