コロナという問題があって、日本中が大変な状況になっています。苦しい思いをされている方も多い。こういう窮地にどのような心構えで取り組むべきかというお話をうかがいました。

絶対に下を向いてはいけない

三嶋　コロナの影響で大変な事態になっています。
その時に、社長である私が絶対に暗い顔をしてはいけないと、強く思いました。〝絶対に下を向いてはいけない〟と。
こういう時こそ、従業員とのチームワークが大切です。
「お客様は大変な中、わざわざうちの店に来てくださっている。とにかく一生懸命、気持ちの良い挨拶をしようじゃないか」ということを毎日、毎日、朝礼、終礼、朝礼、終礼と言い続けました。
常日頃、「とにかく感じの良い店にしよう。感じの良い店にするには、感じの良い人が集まらないといけない。だからいつでも感じの良い人間であってくれ」と言っています。こんな時だからこそ、いつも以上にそういう気持ちが大切ですね。明るく、元気で、素直に。（これが私のモットーです）

ラグビーから学んだ諦めない心

内山 　おっしゃる通りですね。そういった心持ちは、どこで学ばれたのですか？
三嶋　大学時代のラグビーが大きいですね。
ほぼ負けていた試合でも奇跡的に逆転勝利した。そういう経験がありました。
内山 　ムッシュはあの名門、流通経済大学ラグビー部の創立メンバーですよね。関東大学ラグビーで３度も優勝されている名門校。
三嶋　流経大ラグビー部の初トライは私ですからね。（笑）
ある試合で、もう完全に負けていた。やる事なす事すべてが裏目で、もう負けるだろうと思っていた。それでも立場上、「逆転するぞ！諦めるな！」と仲間を鼓舞し、自分も精一杯やった。最後の最後、僕がガツンとタックルした瞬間にホイッスルが鳴って「負けた」と思った時、相手がボールを落としていた。こんな奇跡は１０００回に１回も起こらない。精一杯やっているとお天道様は見てくれていますね。
内山 　２０１５年ラグビー日本代表の南アフリカ戦、奇跡の勝利と重なりますね。
三嶋　あれも奇跡の逆転劇でしたね。僕も本当に感動して涙した。
試合終了の直前、引き分けでもすごいのに、あくまで勝利にこだわってスクラムを選んだ。それだけで僕は「よくやった！もう負けてもいいぞ！」と思いましたよ。でもチームは一丸となって最後まで勝利を目指した。そして、磨き上げたスクラムから、逆転のトライをもぎ取った。24年間ワールドカップで１勝しかしていない日本が世界ランキング３位、過去２回優勝の南アフリカに勝利したのです。歴史を創った瞬間でしたね。
内山 　私も本当に感動しました。日頃のたゆまぬ努力と諦めない心。経営と相通ずるものがありますね。

発送や電話対応にも力を入れる

三嶋　そうですね。今できることをとにかく一生懸命にやる。
うちの店もがんばってやっていると、発送の注文が増えてきました。店舗の落ち込みをカバーするように。それも、遠方ではなく近隣への発送が増えています。
内山 　地域の皆様に愛されている証拠ですね。早くから通販にも力を入れてこられたのが、こういうタイミングに効果を発揮しますね。１店舗の菓子店で電話オペレーターが３人もいらっしゃるのはすごい事です。
三嶋　電話での接客も店頭と同じように大切にしています。新しいお客様もいますし、長い間ずっと買ってくださっているお客様も多い。こんな大変な中でも16区のお菓子が食べたいと思っていただけるのは嬉しいですね。
今は電話とＦＡＸで注文を受けていますが、今後はインターネット通販なども考えていこうと思っています。

働き方改革も大胆に推進

内山 　昨年１月から営業時間を９時〜19時から10時〜18時と２時間短縮されましたが、その影響はいかがですか？
三嶋　初めの２ヶ月は売上が落ちましたが、その後はほぼ同じ位まで回復しました。従業員のやる気もアップしたので、やって良かったと思っています。残業手当も減り、経営的にも良かったです。

自分に言い訳をしていないか？

内山 　最後に、苦境に立っている経営者の方へメッセージをいただけますか？
三嶋　とにかく下を向かず、一生懸命やりましょう。
経営者が暗い顔をしていてはいけない。今はカラ元気でも、明るく元気に、そして素直に。
私は今でも、「自分に言い訳をしていないか？」と自問自答します。もっと良い接客ができないか？もっと良い店にできないか？と強く思っています。言い訳をしたり、人のせいにしたりせず、自分で出来ることを一生懸命にやる。
希望をもって、立ち向かっていきましょう！