日本労働評議会(労評) 神奈川県本部
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2023/10/19 (Thu) 16:48
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2022/12/18 (Sun) 19:53

 


 「貸会議室ビジョンセンター」は、サンフロンティアスペースマネジメント株式会社が運営する、都心を中心に13店舗を展開する貸し会議室であり、東証プライム市場上場のサンフロンティア不動産株式会社の子会社だ。

 そのサンフロンティア資本は原告に対し、いくつもの不当な扱いを行い、最終的には一つも根拠のない内容で懲戒解雇を行った。更新した雇用契約書の配布を放置し、前日のシフト変更を断っただけで恫喝され、体調不良となった原告の自宅近くまでに上司が押しかけるなどのパワハラが行われた。背景事情については労評本部HPに記載したので、そちらを参照していただきたい。


労評本部HPはコチラ

 この記事では、非正規で有期雇用として働いてきた原告の内心、内情などに触れていく。今や全労働者のおよそ4割が非正規雇用となる中で、泣き寝入りする事例は数多あるが、労評労働組合があれば、不当な扱いを許さず、闘うことができるのだ。



 

雇用契約書の未発行問題と労働条件通知書について


 2020年5月から原告は上司と総務にそれぞれ数回に渡り、更新後の雇用契約書を発行して欲しい旨を伝えたが、8月下旬まで何の回答も1度も得られないまま、9月に労働条件通知書のみ発行され、雇用契約書は解雇に至るまで発行されることは無かった。

(※「労働条件通知書」とは、労働基準法第15条1項に発行義務が定められており、雇用契約締結時に使用者側から労働者側へ絶対的明示事項を一方的に通知する書面だ。一方で雇用契約書は発行義務が無い。しかし、未然に労使間のトラブルを防ぐためには雇用契約書を作成するのが望ましい。)

「サンフロンティア不動産の総務部門の然るべき資格を持つ者に確認して発行した」(総務担当者発言)はずの労働条件通知書は、発行日、雇用期間がデタラメな上に、契約内容を一方的に不利益に書き換えられていた。第3回目の団体交渉に総務担当者の出席を求めたが資本が拒否をした為、この件に関しては一切解明されていない。

 2020年10月になり、資本は原告を虚偽の理由で解雇した。これに原告は納得できず、裁判に先駆けて労働審判で地位確認請求行った。資本に申立書が届くとすぐに「解雇を撤回するので示談にして欲しい」と、音道常務取締役から原告代理人弁護士へ連絡がきた。そう―――資本は不当解雇を認めたのである。

 音道常務取締役が総務担当者に指示し、総務担当者が指示の下で独自に捏造の解雇理由を考え、いつも通り出勤した原告に対し突如解雇通知を行ったのだ。また、原告を解雇する約1ヶ月前から、原告に代わるアルバイト従業員を募集していたことも証拠として残っている。

 

 原告は当然に復職を希望したが、音道常務取締役が拒否し、復職が叶わないまま契約期間満了である2021年5月を迎え、今度は「雇い止め」として原告を実質解雇に追いやったのである。


 これは組合に入った原告を絶対に職場に戻したくない、雇用を打ち切りたいという資本の強固な意思のあらわれであり、原告の労働者としての正当な権利主張に対する報復である。



 雇い止め後の原告の活動

 度重なる資本の抑圧に対し、原告は精神的・経済的被害を被りながら闘ってきた。資本は裁判に入る前から、解雇について1度も反論せず和解を要求していた。裁判に移行してからも不誠実な態度は改まることなく、第5回期日は4回期日から2ヶ月以上の猶予があったにも関わらず、準備書面(答弁書)を提出しなかった。

 さらに陳述書提出日にも提出せず、反論出来るだけの内容も証拠も無く、単に時間稼ぎをして原告を消耗させる行為を繰り返したのだ。裁判は終盤を迎えており、尋問後に和解協議を行ったが、資本から後日、「雇止めは有効」と相変わらずの主張がなされたことから和解は決裂し、判決に進むこととなった。

 

 ———何が問題となっているのか?

 労働者を解雇する場合、就業規則に則って行わなければならないが、サンフロンティアでは就業規則は周知されていなかった。さらに、解雇をするとしても注意や是正指導など、一定の手続きが必要であるが、手順を踏まなければ有期雇用労働者であっても解雇は出来ない。さらに有期雇用者への契約期間途中の解雇は正社員よりも厳しく規制されている。

 原告は1度も事実確認や注意さえされずに、音道常務取締役と数名の正社員が水面下で解雇の計画を企て、原告を犯罪者のようにでっちあげ解雇した。労働者にとって解雇は「いきなり死刑にされる」という事と同義である。つまり、資本には、何が何でも原告を解雇しなければならない理由があったということである。それが前日のシフト変更の違法性を指摘したことが発端となっているのは疑いない事実である。

 



———シフト変更の違法性とは?


 ビジョンセンターでは、勤務シフト決定後に追加で予約が入ったり、お客様から予約時間の変更があった場合、その時間に合わせて従業員の方から会社に申し出てシフトを繰り上げ、繰り下げをし、8時間で業務を終える様に調整する運用(シフトのスライド)をしている。本来、業務の都合でシフトを変更する場合は、会社都合となり、従業員の同意がなければ出来ない。しかし資本は巧妙な手口で、労働者側の都合でシフト変更するように仕向け、それをもって労使間の合意があったと主張している。

 例えば会社から「シフトを変更出来ますか?」と聞いてしまうと、労働者に「出来ない」と言われる可能性がある。顧客と労働者間の連絡のなかでスライドせざるを得ない状況があった場合、それを労働者“自ら”スライドを進言するような業務管理体制を敷いていたのである。

 さらに従業員同士の会話の中でも「助け合いだから」「我々はチームプレーだから」と、スライドすることが当たり前となっており、もし断ったら「我儘を言っている」という雰囲気になってしまう。つまり、スライドしない働き方を誰も知らず。残業代が発生することもすら知らない中で働かされていたのである。

 

 さらに追い打ちをかけるように、労働力が1人も余裕が無い為、労働者に私用の予定があっても予定をキャンセルし、対応する以外に方法がなかった。これはスライド勤務の強制であり、真の同意があったとは到底言えないものだ。

 昨今、柔軟な働き方と称して時差出勤やフレックスタイム制を導入する資本が増えているが、それによって労働時間を曖昧にし、時間外労働が発生しているにもかかわらず時間外手当を支払わない会社が増えており、社会問題化し始めている。サンフロンティア資本も多分に漏れず、スライド勤務を悪用し労基法37条で定められた時間外手当支払義務を逃れている悪徳な資本である。

 真に民主的な労働環境であるならば、「スライドせずに1時間残業したい」「1時間早く来たから1時間早く帰りたい」といった両方の意見があることは想定できるので、どちらか選べる様にしたり、法令通り時間外手当を払うようにすべきである。

 

 

———2022年10月21日、横浜地裁証人尋問での音道常務の発言

 音道常務取締役は尋問の中で「スライドは必ず従業員の同意を得なければならない」と証言した。また、2021年7月に行われた2回目の団体交渉では、「同意が無い場合は、残業代を支払わなければならない」と発言している。


 しかし、実際には支払うこともなく、原告が言及すると途端に解雇策動を仕向けてきた。これは残業代支払いを免れたい行為であり、全従業員の残業代となれば膨大な金額となることを恐れ、この違法性を指摘した原告を解雇したかったのである。

 その証拠に、2021年8月に原告が上司に対し「シフトをずらして出勤していることを総務は承認していますか?」と質問をした2日後、音道常務取締役が「原告を雇用し続けるかどうかは本人に会う前に決めたい」と、関係社員に明言し、メールの文面にも証拠として残っている。「本人に会う前に決める」とは、権威主義的に「自分の一存で、気に入らない従業員はいつでも簡単に解雇することが出来る」という内心の表れではないだろうか。

 

 

———サンフロンティア資本の経営理念と本質とは。

 一例だが、サンフロンティア資本は、フィロソフィ(経営理念)として手帳を作り従業員に配布し、フィロソフィに対して所感を書くということも業務の一環として行っている。その中にはこんな一文がある。

社員みんなが幸せになってほしい

これが手帳を作成した動機だそうだ。今回の原告の事件をもってしても同じことを吹聴しているならば実に都合良く、資本の独りよがりで押し付けがましい「幸せになってほしい」である。

  その他、経営理念手帳には「正しいことを貫くとは、子供の頃に教わった道徳や倫理、良心に照らし合わせて判断し、人間として正しいことを正しいままに勇気をもって貫くことです」とある。原告は「正しいことを勇気をもって貫こう」とした結果、不当解雇に遭った。いかにも民主主義を装った資本の論理だが、実態をみれば資本の独裁であることは明らかである。




同じ非正規雇用で働く労働者に訴えたいこと
 

 原告が厚労省の出先機関である相談窓口に問合わせたところ、「シフト決定後の(シフトからはみ出した時間帯の)追加予約対応は残業扱いになります」「シフト決定後に会社都合で出勤時間・退勤時間をずらすことはしてはいけません。従業員の方から自分の都合の為にずらすのはOK。そうしないと会社側は残業にならない様にいくらでも操作出来てしまうから」との回答を得た。


 この問題に関わった複数名の正社員は、誰も原告の提起を確かめずに原告を非難した。彼らにも生活があるし、「おかしい」と思うことがあっても怖くて会社に言えない、会社に異を唱える者がいた場合、例え会社が間違えていても自己保身の為に会社側に味方をしてしまう。これは至極当然のことである。


 資本主義的労働環境では、労働者は資本のもとで労働力商品として従属することが強いられ、日常生活を営む上で資本の隷属から逃れることはできないと思い込まされているからである。これを労働者の二重性といい、全ての労働者が共通の意識としてもっているものである。

 シフトの変更(スライド)は法的な整備が追い付いていないのが現状であり、労働者にとってこのグレーゾーンはとても分かりにくく、気付きにくい部分だ。資本はこれをいいことに自分達に都合の良い解釈で労働力を搾取し抑圧している。つい最近出てきた問題ではなく、従前からこの矛盾はあったがコロナ禍によって矛盾が炙り出され、原告の様に休業しても手当が支払われなかったり、勝手にシフトを減らされた等の被害が多く出ています。

 

 少しでも不明点がある場合、会社に説明を求めることが大切だが、個人的に追及すると弾圧される可能性が非常に大きい。故に労働組合に入ることで労働組合法上から守られることとなり、会社と対等に話し合うことが出来るのだ。

 

今回はここまで。

一人で気負うことなく、まずは労評に相談していただきたい。


日本労働評議会 神奈川県本部
委員長 佐藤

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