「この小さい土地に560か所の検問所がある」

パレスチナ自治区はガザ地区だけではない。イスラエル北東部、聖地エルサレムに隣接してヨルダン川西岸地区がある。三重県と同じくらいの面積を有し、300万人ほどが暮らす。そこそこ広いように思えるが、実は地区内のかなりのエリアはイスラエルの管理下にあるいわゆる入植地だ。ガザ地区にも一部イスラエルが管理する区域はあるが、ヨルダン川西岸地区ではいくつもの島のように分断され自由な行き来はできない。
中東地域の国際関係やエネルギー安全保障を専門とする田中教授は言う。

慶応義塾大学 田中浩一郎教授
「パレスチナ自治区は虫食い状態で、これはどんどん進行しています。特に今のネタニヤフ首相はこれを止めるつもりはない。(中略)オバマ政権の頃から大問題になっていて、入植地としてイスラエルが入った土地はもうパレスチナが取り返すことはできないといわれてます」

番組で提示したパレスチナ管理エリアとイスラエル管理エリアを色分けした地図は2010年の資料を基に作られたものだが、これを見た重信氏は言う。

ジャーナリスト 重信メイ氏
「その地図はすでに古い地図で今はさらにパレスチナ人の管理地は小さくなってるんです。更に言うとこの(虫食いになった島のような区域)カントーンって言うんですね、パレスチナ人はゲットーと呼ぶんですが町と町を結ぶ道路に検問所がある。この小さい土地に560か所の検問所があるんです。他にもアパルトヘイトって言ってますけどイスラエル人が使う道とパレスチナ人が通る道があったり…。入植者(イスラエル人)は24時間電気が使えるのに、パレスチナ人には120メガワットだけなんで1日4時間くらいしか使えない。水道も全然足りないから週に何回か家のタンクに水を買って来て入れる」

更に、入植者が入ってくるという表現からはなかなかイメージがわかないが、突然他人が入って来て、家を奪われることだと重信氏は言う。

ジャーナリスト 重信メイ氏
「入植者が増えるというのは、実際には人々の家が奪われるんです。毎日のように入植者が入って来て事実上のイスラエルを作ろうとしているんですよ。法律もパレスチナ人用の軍事法とイスラエル人用の普通の法律があって、イスラエル人は(パレスチナ人の家を)奪っても裁かれることはないんです。だからパレスチナ人は事実上家も土地も失っちゃう…」