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ひも男の気ままな異世界生活〜社畜の俺は異世界の女王に召喚された。後宮で食っちゃねしてていいらしい。暇つぶしに魔法で現代の物作ってたら世界最高の魔道具職人として世界中の人間が俺を必要としてきた

作者:茨木野

連載候補の短編です。


 俺の名前は松本孝司まつもと こーじ。どこにでもいる30歳。

 職業は公務員。といっても、一番きちい、社会福祉課に所属してる。


 福祉課はかなりキツい。

 ちょっと性格にアレな人たちが多く、その相談にかなり時間が割かれる。窓口にいきなり怒鳴り込んでくることもあるし。

 

 そういうクレーマーの対応が終わったとしても、その間に通常の業務が滞り、結果残業がなんてことは毎日だ。

 毎日毎日キツいクレーマー対応に加えて、コロナの影響で保健師の手伝いとかさせられて、もう完全に業務過多。


 だというのに、オカミは福祉課に人員を割いてくれない……。

 せめてモンスタークレーマーの対応部署を作ってほしいくらいだ。


 公務員になったのは、安定した仕事に就きたかったから。

 両親が早くに死んでしまい、俺は天涯孤独の身。頼れるような身内は周りにはいない。

 だから安定した生活のため、公務員を志望した……のだけど。


「はぁ……つら……」


 その日、家に帰ってきたら〇時を回っていた。

 コロナのせいで(コロナだけのせいではないが)、業務は増える一方。改善されない職場環境。山積していく業務。


 忙しい割りに給料はよくないし、待遇も変わらない。

 俺は今年で30。周りはもう普通に結婚している。


 この年になるともうみんな、結構プライベートが充実していく。

 結婚、出産、家を建てる等など……。


 みんな、人生に大いなる変化が訪れている。そんな中で……俺だけはなにも変わっていない。

 多忙な業務に振り回されて、気づけばもう三十路。


 働けど働けど我が暮らし楽にならず……。

 歳ばっかりを取っていき……


「俺このまま……死んじゃうのかな……」


    ☆


「すまない、マツモトコージ殿。私と結婚してほしいのだ」


 ……はい?

 気づけば俺は、白い何もない空間にいた。

 え、なにこれ?


「マツモトコージ殿……?」

「あ……はい。ご指名のマツモトですが……あ、あなたは……?」


 目の前にいるのは、どえろい……いやいや、どえらい美人だ。

 年齢は20代前半くらいだろうか。


 グラマラスな体型。

 美しく、きらびやかな金髪。


 腰がきゅっと引き締まり、しかし反比例するように、胸と腰はバインと出てる。

 なんつーエロい美人だ。え、で、誰……?


「私はフォティアトゥヤァの女王、タチアナ・ディ・フォティアトゥヤァと申す」

「は、はあ……タチアナ……さん? ふぉ、え……? どこの女王だって?」

「フォティアトゥヤァ。聞き覚えないのは当然だ。こことは異なる世界の国だからな」

「は、はあ……。は!? い、い、異世界ってこと!?」


 俺はちょっとピンって来たぞ。

 白い、何もない空間。


 異世界。つまりこの人は……。


「女神……?」


 転生ものでよくある。

 ブラック企業で働くサラリーマンが、神様の手違いで死んでしまい、チートを授けて異世界転生! あれでしょ!?


「ちがう」

「違うの……?」

「だが、異世界に来というのはそのとおりなのだ。話を聞いてはくれないだろうか?」


 まあ話を聞くだけならただだからな……。

 聞いてみる。すると、こんな事情であることがわかった。


・異世界の国フォティアトゥヤァは、現在未曾有の危機を迎えてる

・王族がタチアナさん以外、災害に巻き込まれて死んでしまった

・早急に王族の子を生む必要がある

・そこで俺に白羽の矢が立った……。


「王家以外の血を入れるのはよろしくないのだ。血が薄まってしまう」

「なら、異世界人なんてもっと駄目じゃあないっすか?」

「ところで、あなたには王家の血が流れているのだ」

「なんですと!?」


 どうやら、元々異世界にいたフォティアトゥヤァ王族が、俺たちのいる地球に流れ着いてきているらしい。

 その子孫が、俺とのこと。


「いやなんでそんなことわかるんです?」

「王族か否かを判別する、特別な、魔道具があるのだ」

「ま、魔道具……? え、魔法の道具? 魔法があるんすか!?」

「あ、ああ……」


 マジか!

 魔法……ロマンがあるな! 魔法なんて……ゲームやアニメの中の存在かと思ってたけど……!


「マツモトコージ殿……どうかこちらの世界に来てはくれないだろうか。あなたはただ、私と結婚し、子供だけ作ってくれればそれでいい」

「それでいいって……マジなんです? 戦いとか?」


 異世界召喚ファンタジーもの導入に、よくあるのだ。

 魔王がいてやばいから、異世界から勇者を召喚するってやつ。


「必要ない。魔王が生きていたいにしえの時代ならいざしらず、今は魔王が倒され長く太平の世が続いてる」

「平和ってことっすか……」

「ああ。本当にあなたはこちらに来てくれるだけでいい。ソウすれば、あなたにはそれ以上のことを何も望まない。そして何不自由ない暮らしを保障しよう。面倒な外交にも参加しなくていい」


 ふーむ……そうか。

 女王の夫となれば、政治に否応なく巻き込まれる可能性があるわけか。

 でも、しなくていいって言うし……。


 え、それって……。


「ニートしてていいってことですか?」

「に……? すまない、上手く言葉が通訳されていないようだ」


 あ、そうだ。

 そういえばなんでこの人と会話できてるんだろうか。


 異世界人なのに……?

 まあそれはおいおいか。


「何もしなくていいんですね? 引きこもってだらだらしてても?」

「全く問題ない」

「あなたと結婚して子供さえ作っていれば、あとは食っちゃ寝してていいと?」

「その通り」


 ううん……うううううん……うーーーーーーーーーーーーーーーん……。

 正直、Yes! と即答したい……けどなぁ。


 気になることが、ちょいちょいある。


「それって、期間はどれくらいっすか?」

「……申し訳ないが、一生」

「一生……?」

「ああ。異世界召喚は秘技なのだ。一度そのものをこちらに呼び出せば、もう二度とそのものは帰ることができない」


 う。マジか……それは、辛いかも。

 異世界召喚もののテンプレとして、こういう場合、中世ファンタジーくらいの世界だよな。


 となると、文明は令和日本よりも遙かに劣るわけだ。

 そんなところに、一生住む……?


 ……正直、ちょっとためらってしまう。

 食べ物、環境、そのほか諸々。


 令和の便利な世の中に慣れ親しんでいる俺が、果たして文明衰退した異世界で、暮らしていけるか気になる。

 そもそもそのフォティアトゥヤァってとこが、どんなとこなのかすら知らんわけだし……。


「ちょっと、決めるのに時間もらってもいいですか?」

「かまわない。ただ、一ヶ月以内に答えをもらいたい」

「一ヶ月……っすか」

「ああ。それを過ぎると、もう呼び出すことができなくなる。今はこちらの世界と、そちらの世界が近づいてるから、精神世界で会話可能なのだ。でも、それを過ぎるともう交信ができなくなる」


 ううん、マジか……。

 まあでも、決断に1ヶ月の猶予があるのは、良心的だな。


 この手のファンタジーものだと、突然召喚されるのがデフォだしな。


「じゃあ、お言葉に甘えて、少し時間ください。その間に、いくつか聞いてきたいのですが……」


    ☆


 翌日。


「さてどうするかな……」


 タチアナさんから聞き取った内容をまとめると……。


・異世界の文明レベルは中世ファンタジーくらい

・暮らすことになるフォティアトゥヤァは、南国で常に暑く湿気がやばい


 とのこと。


「南国……ねえ……」


 行ったことねえ……。

 サウナの中……みたいな感じなのかな。行ったことない場所へ、一度行ったら戻ってこれない。ううん、不安……。


「正直、悩む余地はない……よなぁ……」


 あっちに行けば、美人の嫁さん、一生遊んで暮らせるだけの富が手に入る。

 剣と魔法の世界が、待っている。


 こっちの世界には両親も恋人もいない。

 今の生活が劇的に改善されることは、ない。


 なら向こうに行ってもええやんってなるけど……でも、文明レベルが衰退してる世界に、パンピーが行ったところでなぁ。


「こういうとき、小説の主人公なら、チート能力の一つでも付与されるもんだろうけどな」


 でも今回、神とあって神に力を付与される、みたいな形ではない。

 あくまでタチアナさん……異世界人に召喚されるパターンだ。

 力の付与はない。チート能力が無い状態で転移して、果たして異世界で暮らしてける?


「いやいや、無理でしょ。知識チートできるほどすごい頭いいわけじゃあないし……」


 かといって特殊技能があるわけでもない。

 ……なにも特別な力があるわけない、一般人が転移したところで、埋もれるだけ……。


 まあ、向こうで何もしなくていいって言われてはいるから、都合がいいっちゃいいけど。


「ん? 待てよ……異世界召喚の場合って、本人が気づいていないだけで、能力を秘めてるパターンもあるじゃん……?」


 それに、俺は異世界人の血を継いでるって聞いた。

 なら、俺の中にも、気づいてないけどチート能力がある……かも?


「確かタチアナさん……こんなこと言ってたな」


『てゆーか今この精神世界で会話してるのって、どうやってんすか?』

『私の空間魔法を使ってる』

『空間魔法?』

 

 曰く、空間と空間をつなげたり、空間をいじったりする魔法のこと。

 すごい高度な魔法であり、フォティアトゥヤァで使えるのは王家の人間のみだそうだ。


『我らフォティアトゥヤァの王家は、みな空間魔法の使い手なのだ』


 ってことは……俺にも空間魔法の才能が、あったりして?


「空間魔法……空間魔法……ううん、どういうの?」


 ウェブ小説で、空間魔法っていうと、あれだ。

 アイテムボックス的な。


 もし使えるなら、相当便利だけどな。

 よし、やってみるか。


「アイテムボックス……オープン! なーんちゃって」


 そのときだった。

 ぶぶん! という音と共に……。


「どわ! な、なんだぁこの箱!?」


 目の前に、■←こんな感じの黒い箱が出現したのだ!


「え、え、なに? これ……四角い箱?」


 つ、つーか……これ魔法?

 魔法! やっぱり俺も魔法使えるのか! す、すげえ……。


「で、でもこの箱なに……? まじで、アイテムボックスなの……?」


 ぶぶん! という音とともに、また■が出現した。


「…………まじか」


 マジでアイテムボックスなのだろう……。

 ってことは!


 俺は好奇心から、近くに置いてあった、スマホを■の中に入れる。

 スマホは箱の中に入ると、消えた……。


「消えた……で、と、取り出すのには……?」


 どうやって取り出せばいいだろうか。

 普通に、箱のなかに手を突っ込んでみるか。


「こんな小さな箱に手が入るのか……?」


 と思って俺は箱に手を突っ込む。

 ず、ずずずずう……と手が、腕が、奥まで進んでいく!


 結構中は広いかも……。

 手に何かコツンと当たった。それを掴んで、引き抜いてみる。


「あ、す、スマホ! やっぱり……これはアイテムボックスなんだ!」


 ぶぶうん! とまた■が出現する。

 目の前には三つの黒い箱。アイテムボックス……。


 これがあれば……異世界での生活も、いい感じにできるのでは……?


    ☆


 その後、アイテムボックスについて色々検証したところ、以下のことがわかった。


(ボックス)、とつぶやくと、目の前に黒い箱が出現する

(ボックス)には、大きさを無視して何でもいれられる

(ボックス)に入れられる数に上限はない



「現実の品物をこの箱に入れるだけ入れて、で、転移する……とか……!」


 現代アイテムでチート!

 これなら異世界で快適に……って、待て待て。


 たしかにこっちで飲み物とか、食い物を、アイテムボックスに入れてけば、向こうで楽な暮らしができる。

 だがその数は有限だ。備蓄がキレればそれで終了。


 それにこの箱に、現代のものを入れてもっていたところで(家電とか)、電源が無きゃ動かない。


「うーん……アイテムボックスは、チート能力っちゃチート能力なんだけどなぁ……」


 たとえば向こうで冒険者や商人やるなら、アイテムボックスはとても役に立つだろう。

 でも俺は向こうに、子供を作るためだけに招かれる。


 多分だけど、俺は外に出れないだろう(死なれたら困るだろうし)。

 となると、アイテムボックスの使い方は限られてくる……。


「あーあ、せめて向こうとこっちを、行き来できればなぁ……」


 そうすれば、例えばアイテムボックスに入れたアイテムがキレても、また地球に戻ってアイテムを補給して……ってできるのにね。


「できないか……ん?」


 目の前には、2つの(ボックス)

 ……おかしい。


「なんで、アイテムボックスが二つあるんだ……?」


 よくあるファンタジー小説で、転生者にアイテムボックスはデフォルトで組み込まれてる。

 たいてい箱は透明だったり、空間に穴が開いて、そこにアイテムを入れる。これはまあお約束と言える。


 しかし……そういうのって、箱(ないし穴)は一つだけだった。


「なんで(ボックス)は二つあるんだ……?」


 ふと、俺は思いついた。

 目の前の、右側の(ボックス)に、スマホを入れる。


「んで、左の(ボックス)に手を突っ込む……」


 すると、左の(ボックス)から、スマホを取り出すことができた……!


「いや、待て。待て待て待て。となると……」


 俺は今度は、左のボックスに手を突っ込む。

 そして、頭の中で、右の箱から手を出すイメージを思い浮かべて……。


 ひょこっ!


「で、出た……! 出たぞ!」


 不思議なことに、左の(ボックス)に突っ込んだはずの腕が、右の(ボックス)から出てる!

 つまりこれがどいうことかとうと!


「よ、よし……(ボックス)に入るものの、大きさに上限はなかった。つまり……でりゃ!」


 俺は左の(ボックス)に、腕を思い切り突っ込む。


「うわぁあああああああああああ!」


 箱の中に俺は取り込まれ……。

 すぽーーーーーーーーーーーーーん!


「うぉおおおああああああ! 出たぁああああああああ!」


 右の箱から、俺が出てきた!


「やっぱりだ……この箱! ただのアイテムボックスじゃあないぞ!」



 その後さらに検証した結果、以下のことがわかった。

(ボックス)は、無限に出すことができる

(ボックス)(ボックス)は、空間でつながっている

(ボックス)のなかに人間を入れることも可能

(ボックス)二つ目を用意しておけば、(ボックス)間を行き来可能


「すげえ……これは、ただのアイテムボックスじゃなかった。空間魔法……すげえ……」


 つまり(ボックス)を現実に一つ残しておけば、好きなタイミングで、異世界と現実とを行き来できるってことだ。


「考えてもみれば、俺のご先祖も、異世界からこっちの世界に来てたし、異世界人を召喚することができるんだ。なら、行き来できてもおかしくない……か」


 思ったより、空間魔法は、いろんな使い方ができるかもしれない……。

 それに何より、これがあれば異世界での不便を、かなり緩和できる。


「ならもう、こっちに未練とかないじゃん!」


 よしよし、よーーーーーーーーーーーーーーーーし!

 決めたぞ……


「俺は、異世界で暮らすぞ……!」


    ☆


 その後、俺は(ボックス)について色々検証を行った。

 異世界での優雅な生活のプランを練り、それが実行できるかの検証を行う。


 結果、可能であることが判明!

 電力の問題も、金の問題も、オールクリアできた! 空間魔法すげえ!


 ってことで、俺は色々準備を行い……一ヶ月後。

 再び、俺は白い空間の中にいた。


「久しいな、マツモトコージ殿。返事を聞かせて……」

「行きます!」

「! 良いのか……?」

「はい! 是非! 厄介になります!」

「そ、そうか……ありがとう。こちらとしてもたすかるよ。でも……いいのか? こちらの世界活を捨てることになるが……?」

「問題ないっす」


 ばっちりと、準備してきたからな。


「そうか……ありがとう。マツモトコージ殿……」

「コージでいいよ」

「では、コージ殿。参ろうか、我が国へ」


 白い空間に光が満たされる。

 そして……次目覚めた瞬間には……別の場所にいた。


 むわり……ととんでもない湿気と暑さを感じた。

 目を開けると、そこには金髪のとても麗しい美女が立ってる。


「ようこそ、コージ殿。我が国、フォティアトゥヤァへ」

「ああ、っとその前にちょっといい?」

「? どうしたのだ」

(ボックス)、オープン!」


 俺の目の前に、小さな(ボックス)が現れる。

 

「!? これは……空間魔法! まさかコージ殿も……いや、使えて当然か。王家の血をひくのだから……それにしても、一発で使えるとは、すごい……」

「一応練習してきたんすよ。んで、こっからが本番……」


 (ボックス)のなかに、手を突っ込む。

 よし、問題ない。行けるっていう、確信を持っていた。


「ちょっと行ってきますね」

「は? え、ど、どこに……あ! 待ってくれコージ殿!」


 俺は(ボックス)のなかに、入る!

 が、そのとき俺の腕を、タチアナさんが掴んでいた!


 いやこれ大丈夫なの!?

 と思った次の瞬間……。

 すぽーん!


「お、問題なく……転移できたようだな」


 そこは俺の暮らしていた、ボロアパートの中。

 問題なく、世界をまたぐことができたようだ。


「ええ!? こ、ここはどこなのだ!?」

「タチアナさんも……これるんだ」


 カノジョも空間魔法の使い手だから?

 それとも、誰でも(ボックス)を通れば、こっちこれるのか?

 これは要検証だな。


「こここ、コージ殿!? ここは!?」

「ここは俺の住んでいた世界」

「コージ殿の世界!? う、嘘だ……世界を行き来は、絶対にできないはずなのに……」

「それが俺にはできるようです」


 キラキラした目を、タチアナさんは俺に向けながら、俺の手を取る。


「コージ殿は、すごいな……!」


 まあこれで一つの懸念は解消されたわけだ。

 さて、もう一つの問題をクリアしておこうか。


「んじゃ、一度あっちに戻りましょうか」

「え、あ……ああ。戻れる……んだよな?」

「もち」


 ぶん……!

 すぽーん!


「ほら戻ってこれた」


 行きと同じ方法で、(ボックス)を通して、俺はタチアナさんの世界へと戻ってこれた。


「すごい……すごすぎる! 空間転移魔法だ……!」

「タチアナさんはできないの?」

「ああ。私ができるのは召喚だけだ。転移魔法は、王家でも英雄クラスの人間にしか使えなかった!」


 ん……?

 待てよ……ってことは……。


「転移魔法って、使えるの俺だけ?」

「ああ! すごいぞコージ殿! 転移魔法ですら超高度で、この世界で使える物はいない! ましてや、世界を行き来するなんて、歴史上であなたしか使えたことがない! すごい!」


 まじか。

 まあでも、俺の祖先も、こっちから向こうへ行けたんだから……戻ってこようと思えばこれたのかもしれないけどな。


「っと、最後に……」

「まだ何かするのか?」

「ああ、今度は、向こうの品物を、こっちで使えるかの検証だ。(ボックス)


 俺は(ボックス)を出現させる。

 俺は周りを見渡す。


 石造りの、こじんまりとした部屋だ。

 足下には顔料みたいなもので、みょうちきりんな文様が描かれてる。召喚の魔法陣とか?


 まあいいや。

 俺は(ボックス)を壁にひっつける。


(ボックス)解放リリース

「解放……?」


 すると黒い箱が、ぐんやりと変形する。


「箱だったものが、また別の白い大きな箱になったぞ!?」

「ああ、クーラーだ」

「クーラー……?」


 (ボックス)は、大きく3つの使い方がある。

 ひとつ、異空間に物を収納。

 ふたつ、空間転移。

 そして……三つ。


「空間操作」

「空間……そうさ……?」

「うん、箱の中の空間を、自由にいじることができるんだ」

「?????」

 

 まあ見た方が早いか。

 俺は(ボックス)から、リモコンを取り出す。


 壁に設置してあるのは、クーラー。

 もちろん、電力の供給がなければ、動くことはない。だがしかし……。


 ぴっ。

 ゴォオオオオオオオオオオオオオオ……!


「うお! う、動いた! しかもなんだ……す、涼しい! なんだコージ殿、涼しいぞこれは!」

「よし、できたな」


 空間操作が、問題なくできたようだ。


(ボックス)のなかの空間を、【電力が無くても家電が動く空間】としたんだ」


 あとは冷気を空間の外に出るように、空間操作すれば、エアコンは電力が無くても動き、冷気による恩恵をこうして、空間の外でも受けられるってわけ。


「なん……だこれは……」

「俺の世界の便利アイテムっすよ」


 ちなみに空間を操作すれば……。

 複数のクーラーが、壁に設置。そう、空間をコピーすることができるのだ。


 つまり、(ボックス)にいれたアイテムを、無限に、空間ごと複製可能。

 これなら異世界にいって何か買って、一つ入れておけば、何度でも複製可能(あくまでコピー品でしかない。今週号のジャンプを入れ、複製しても、来月号のジャンプは出てこない)


 どさ……とタチアナさんがその場にへたり込む。


「ど、どうしたの……?」

「コージ殿が……すごすぎて……腰を抜かしてしまった……」

「まじすか……なんかすんません」


 かくして、異世界に召喚された俺は、王家の美女と暮らすことになったのだった。


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