香港の学生が、趣味で開発したメモ帳アプリ、1900万人が使う。
アジア経済ニュースNNA ASIAは2022年11月15日に、香港生まれの青年が趣味で開発を始めたメモ帳アプリ「グッドノート(Good Notes)」がいま、世界で1,900万人に利用されていると報告した。
大学で数学を専攻していた創業者の陳浩銓(Steven Chan/スティーブン・チャン)氏は2010年、米アップルがタブレット端末「iPad(アイパッド)」を発売したことに触発されて開発を開始した。大量の紙を使って行う自身の研究を効率化する目的で始めたが、ユーザーが増えたためビジネスを本格化した。成功の秘訣(ひけつ)は「豊富な開発人材」と語る陳に、創業の経緯や今後の展望を聞いたという。
オーストラリアの大学で数学と物理を学んでいた当時、数式の修正の繰り返しで大量の紙を浪費し、それらを保管しなければならないことがストレスだったと話す。
卒業まであと1年というときに、アップルがタブレット端末「iPad」を発売し、ノートをデジタル化して紙を減らしたいと触発され、大量の紙を使って行う自身の研究を効率化する目的で開発を始めたと話している。
プログラミングが趣味だったのと、当時リリースされていたほかのメモ帳アプリに満足できなかった、もっと優れたアプリを使いたかったことが動機になりアプリ開発を始めた。一学生として、もっと優れたアプリを使いたかった。当初は本格的な事業にしようとは思っておらず、5~6年は1人だけで開発に取り組んだ。
当初はUS$0.99(現在のレートで約140円)、現在は香港ならHK$(香港ドル)68(約1,210円)を1回支払えば使い放題としている。
サブスクリプション(定期課金制)にしなかったのは、より多くの人に全ての機能を使ってほしいから。その延長線で、学生に広めるために一定量を無料で使えるトライアルも用意している。
「グッドノート」は手書き入力のアプリ。手書きの感覚をそのままデジタルに落とし込むため、ペンの種類や、正確な書き心地といったクオリティーを重視している。もちろんテキストを打ち込むことも可能。PDFやワード、パワーポイントなどのドキュメントを読み込んで手書きで注釈を付けたり、ユーザー間でノートを共有して共同編集したり、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」でノートを表示して板書をしながらオンライン授業をできたり、便利で優れた機能を多く搭載している。
2008年に会社「グッドノート」を設立し、2011年にアップルのアプリストア「アップストア」でメモ帳アプリ「グッドノート」の販売を開始した。ロンドンと香港に拠点を置き、従業員数は約120人。
2023年にはウィンドウズ版とアンドロイド版の販売を開始する予定。
2021年の市場規模が約US$57億6,000万のメモ帳アプリ市場で、「グッドノート」は20社前後とされる主要プレーヤーの一つに数えられる。
「エバーノート」「グーグル・キープ」、マイクロソフトの「ワンノート」など競合がひしめく中で学生を中心に一定の地位を確立し、1,900万人に利用されている。充実した機能は特にITや数学、デザイン、医薬、科学を学ぶ学生に定評があるという。
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