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帝統と女の子の日 - ぴよるの小説 - pixiv
帝統と女の子の日 - ぴよるの小説 - pixiv
8,190文字
帝統と女の子の日
生理ネタです。なんでも許せる方向けなので頭空っぽにして読んでください。
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2021年6月17日 17:03

今日はツイてる。すっげぇツイてる!
ビビるくらいにありとあらゆるギャンブルで勝ちまくった俺は今めちゃくちゃ金持ちだ。こんなの今まであったっけ、ってくらい。
どうすっかな、この金を更に増やすかな。減るかもしれねぇけど今日の俺は大丈夫だろ。あぁでもいつも世話になってるし、あいつんとこ行って良いモン一緒に食いに行くか。

彼女の喜ぶ顔を想像して悪くねぇな、と休憩していた公園のベンチから立ち上がる。時刻は18時になる少し前であいつが家に帰ってくる時間。飯屋は夕飯時で混み合う時間帯だ。
そういえばギャンブルに一日夢中になっていて今日は何も食べていなかった。腹の虫をぐぎゅるる、と豪快に鳴らしながら俺はあいつの家へ向かった。



***

今日はツイてない。とことんツイてない。
まさか今日突然生理が来るなんて。
来るなら仕事が休みだった昨日が良かった。あぁでも結局しんどい二日目三日目は仕事だ。もう本当に嫌だ。
私の生理は毎月重く、頭痛腹痛は当たり前。腰が重かったりイライラしたり情緒不安定になったりもプラスで付いてくる。女ってなんでこんなにしんどいの。

いつも通り仕事をこなして定時退勤をキメる。会社を出て電車に乗ってヨタヨタ歩いて、なんとか私の住むアパートの部屋の前まで辿り着く。そこにはドアに凭れ掛かってしゃがみ込む紺色がいた。

「帝統」
「おっ!おかえり〜!」

帝統のニカッとした眩しい笑顔に私のぐるぐるモヤモヤした沈んだ気持ちが晴れていく。ほんと良い顔してるなぁ。

「また一文無しなの?」
「違ぇよ!むしろ逆!今日は大勝ちだぜ!」

鍵を開けて上機嫌に笑う帝統を部屋に入れる。今日のツキ具合を楽しそうに報告する姿に癒されながら夕飯の準備をしようと冷蔵庫に手をかけると、「待った!」と右手が伸びてきてそのままドン!と冷蔵庫を叩く。
突然のことにびっくりして振り返ると、真後ろに帝統がいた。壁ドンならぬ冷蔵庫ドン。何だそれ。色んな意味でドキドキしたわ。

「なんか美味いモン食いに行こうぜ!今日は俺の奢り!」
「珍しい〜!気持ちはすごくありがたいけど一旦帰って来ちゃうと外出るのしんどいなぁ」
「じゃあ出前でも取るか!」
「うん!」

出前を取って少し贅沢になった夕飯を二人で食べて、お風呂の準備をした。
私一人なら面倒臭くてシャワーで済ませてしまいがちだけど、帝統が来たらだいたいちゃんと湯船を張るので今日もお湯を溜めるのだ。

「お湯張れたよ〜。帝統お先どうぞ」
「おっ、サンキュー!一緒に入る?」
「一緒……は今日はちょっと……」
「ふーん?じゃあ先貰うな!」

本当は入りたい。入りたいけど股からドバドバ出る血や血の塊に引かれたくないから我慢する。ていうか面と向かって生理だから無理!って恥ずかしくて言えない。
脱衣場に消えた帝統を見送って、帝統用のスウェットとパンツを用意する。シャワーの音が聞こえてからそっと脱衣場に入って着替えを置く。
帝統がお風呂から上がるまでの間は明日の仕事の準備だったりスマホでSNSのチェックなどをして時間を潰した。

「風呂上がったぞ〜」
「は〜い」
湯船で温まってほかほかした帝統が出てきたので私も入れ違いにお風呂へ行く。
サッとシャワーを浴びて部屋へ戻ると、帝統は私のベッドの上でゴロゴロしていた。

「ベッド占拠しないでくださ〜い」
「いいだろ〜、どうせ一緒に寝んだから」

ベッドに腰掛けて帝統に背中を向けながらドライヤーで髪を乾かしていると、脇から帝統の頭が入り込んでくる。私は帝統を床に座らせて、脚の間に入ってもらってドライヤーを帝統の髪にあてて軽く乾かしていると、彼は何かを言った。

「ごめん、何〜!?ドライヤーで聞こえない!」

少し声を張って聞くと、振り向いた帝統が私の手からドライヤーを奪った。
スイッチが切られて静かになったドライヤーがベッドに放られる。帝統の顔が近づいて、唇が重なる。
それは段々深くなって、いつの間にか私はベッドに押し倒されていた。

「なぁ、シてぇんだけど」

熱を帯びた紫色の瞳が真っ直ぐ私を見つめる。
キスで溶かされた頭は彼のことしか考えられなくなって、返事をしようと口を開きかけた。

「っ!」

ドロッ、とした流れる血の感触。そうだった、私今生理だったんだ。さっきお風呂で血を見たのに帝統のことで頭がいっぱいになって受け入れようとしてしまった。
突然固まる私に「……?聞いてんのか?」と問いかける声。断らなきゃ。

「ごめん帝統、私今生理なの」

本当は私だってしたい。拒みたくない。けど仕方ないじゃん。いつも受け入れてるし、帝統ならわかってくれるよね。
そんな想いを込めてそっと窺うと、帝統はきょとんとした表情でとんでもない事を言った。

「せーり……ってアレだろ?血が出るだけだろ?」

「……えっ?」

今なんて言った?血が出るだけ?だけだろ?
どこまで分かっているんだろう。学校で性教育なかった?生理中のえっちが良くないことも生理痛のことも知ってる?
混乱している私をよそに、そのまま私の部屋着のTシャツの下に手を滑らせてすす、と腹から胸へごつごつした指がなぞられる。
気づいた時には、その大きな手は私の胸を包んで揉みしだいていた。

「乳首いつもより硬くなんの早くね?お前も期待してたの?」
「っ!ちょっと、痛い……っ」

生理で胸が張っていてただでさえ痛いのに触られるともっと痛い。ビクッと反応してしまったのを「気持ちいいから」と思われたのであろう、胸の中心をグッと押されたり爪で弾いたりしている。
どうしよう、これわかってないよね!?やんわり傷つけないように断らなきゃ。でもわかってない相手にどうやって言えばいいの。
じわっと涙が滲む。「泣くなよ」と愛おしげに涙を拭う帝統。違うよ。気持ちいいからじゃないよ。どうしよう。どうしよう。

「……脱がすな」
「っ、え、っ」

待って、と言おうとした時にはもう私の部屋着の下として履いていたジャージも脱がされて、パンツからはナプキンの羽が丸見えだ。
やだ。恥ずかしい。見ないで。
帝統がパンツのゴムに手をかけてゆっくり下げる。

「っっ!やだって言ってるでしょ!!」
「ブッ」

私は羞恥と悲しさで頭がぐちゃぐちゃになって、帝統の頬を引っ叩いていた。
お互い何が起きたかわからず呆然としていたが、先に我に返った帝統が「何するんだよ!」と叫ぶ。

「ごめん、もう今日は帰って」
「は?なんでだよ」

帝統が今日着ていた服を集めて小脇に抱える。私はTシャツとパンツという格好のまま帝統を玄関まで押しやって、抱えていた服を突きつけた。

「おい、どうしたんだよ」

普段なら絶対しない私の行動に帝統は困惑しているようだった。

「ごめんね」

下を向いたままもう一度ぽつりと謝ると、今日は駄目だと悟った帝統は「じゃーな」とぶっきらぼうに言って、部屋着のスウェットのままアパートから出て行った。
遠ざかって行く足音を聞いていると、また涙が溢れてきた。
傷つけたくなかったのに傷つけた。
私だって本当はしたかった。
帝統が来てくれて嬉しかった。
なんで今日生理になっちゃうんだろう。
なんで今日帝統が来ちゃうんだろう。
パンツの中の血も見られちゃったかも。
もっと上手く断れなかったかな。私が教えてあげればよかったのかな。

沢山の後悔でいっぱいになって、私は泣きながらベッドへ戻って脱がされたジャージを履いてその晩は眠った。



***



あいつに追い出された。
せっかく今日はツイてたのに台無しにされた気分だ。女って訳わかんねぇ。
今日の宿のアテもなくなって公園で野宿すっかな、とフラフラ歩いていると、前方に見覚えのあるピンク頭が見えた。

「お、乱数じゃん。ラッキー」

近づいていくと、乱数は綺麗な女と別れる所だったらしく、「またご飯行こーねっ、オネーサン☆」と女に手を振っていた。
終わった頃を見計らって「乱数〜〜!今日泊めてくれよ〜!」と泣きつくと、「帝統はしょうがないなぁ」と乱数の家に泊まらせて貰えることになった。



「ちょっとさっき思ってたんだけど帝統さぁ、なんでいつもの服抱えてスウェット着てるの?持ってるのジャマじゃない?ていうかそのスウェットどうしたの?」
「あ、これ?」

乱数んちでくつろいでいると、思い出したかのように乱数が質問攻めしてくる。
これあいつんちに置いてる俺用の部屋着、と返すとフーン、と返事が返ってきた。なんだよ、乱数から聞いたのにその返事はなんだよ。

「ちょっと幻太郎呼ぶね!面白そうだから!」
「は?」

今の会話のどこが面白そうだったのか。なんとなく乱数が幻太郎に電話をかけている姿をボーッと見守る。
その後数分後には「こんばんは、乱数。それと振られそうな帝統」と随分な挨拶をした幻太郎が来た。

「おい、なんだよ振られそうな帝統って」
「おや、彼女の家のスウェットを着たままここにいるとお聞きしましたので。てっきり喧嘩をして追い出されたのかと」
「だからって振られそうとか言うな!」
「アハハ〜!幻太郎面白ーい!それで?何があったの、帝統?」
「乱数お前面白がるな!」

二人してやいのやいの揶揄うものだから、俺は今日あった出来事を全て話した。
最初は「帝統が勝つなんて!」「明日は槍が降りますね」「これで臓器売らなくて済むね!」「借金返して貰いましょう」なんて茶化していた二人だったが、追い出された辺りの話をしているとだんだん眉が寄って「嘘だろコイツ」というような表情になっていった。

「えっ?帝統それホントに言ってる?」
「義務教育は受けましたよね?」
「まさかここまでとはね……。彼女ちゃん可哀想……」
「これは本当に振られるのでは……」
「帝統サイッテー!」
「女性の敵ですね」
「えっ……おい、お前らなんだよ……」

尋常ではない雰囲気に、俺何かしたか!?と冷や汗が止まらない。
そんな俺を見て更に溜息を吐く二人。嘘だろ。

「帝統〜、生理ってなぁに?」
「あ?そんなん股から血が出るやつだろ?」
「うんうん、半分あってるけどもっとあるよ?」
「もっと?」

乱数がこてんと首を傾げながら俺に聞く。それに対して答えてやればまだあると言う。血が出るだけじゃないのか?
助けを求めて幻太郎を見ると、「帝統はん、あんなに月経中のわっちに優しくしてくれはったのに!忘れてしまうなんてひどいでありんす!」と泣き真似を始めた。コイツには頼まん。

「……ん?優しく……?優しくするもんなのか?」

幻太郎の言葉にふと気づき、乱数に目線を戻すと当たり前だよ!と舐めていた飴を突き出した。

「オネーサンに優しくするのは当たり前!でも生理中のオネーサンは普段よりもっと繊細なんだからいっぱい気を遣ってあげなきゃダメなの!」
「そ、そういうもんなのか……」
「やれやれ。帝統にはまず性教育から始めるべきですね」
「わーい!幻太郎先生〜!」
「今夜は寝かせませんよ、帝統。しっかり聞いて彼女に謝って来なさい」
「そうだぞ〜!挽回するチャンスだぞ〜!」
「お前ら楽しんでるだろ……!」

どう見てもこの状況を楽しんでいるが、俺の為にしてくれている事だ。それにあいつとこのままなんて嫌だからな。
俺はしゃんと背筋を伸ばして胡座から正座に座り直した。二人の特別授業は夜が明けるまで続いたのだった。



***



「もしも〜し?帝統はん?」
「俺……すっげぇ最低じゃん……」

朝になる頃にはどよん、と背後に禍々しいオーラを背負いながらテーブルに突っ伏す帝統とそれをつんつん指でつつく幻太郎がいた。ウンウン、事の重大さがようやくわかったみたいだね!
とりあえず朝ご飯でも食べよ〜よ、ボクんち何もないから朝マックでも行かない?なんて提案をしてボク達は早朝のシブヤへ出て来た。
三人で適当に頼んで朝ご飯を食べながらこれからの事について作戦会議を開く。

「まぁ過ぎた事は仕方ありません。ここからの貴方の行動次第ですよ」
「そ〜そ〜!ここで帝統が巻き返せば逆に彼女ちゃんを惚れ直させることだってできちゃうんだから!チャンスだと思えばいいんだよ!帝統の彼女ちゃんって生理痛重いカンジ?」
「あ?重い……?わかんね、あいつ体調悪いの隠そうとするとこあるし」
「気づかれないように振舞ってるんだね〜!ウワ〜!健気〜!」

そりゃ気づかれたくないよね〜。引かれたり幻滅されたり面倒だなって思われたくないもんね。ほんと健気で帝統には勿体ないんじゃない?
もそもそとチキンナゲットを食べながら視線を宙に向ける帝統。昨日の様子を思い出しているみたい。

「あ、そういえばなんか顔色悪かったな……。あといつも短かくて触り心地いいズボン履いてんのに昨日はジャージだったな」
「触り心地」
「んだよ」

幻太郎がボソっと呟く。ボクもそれちょっと気になった。普段から触ってるんだね。仲良いなぁ。……触り心地良いってどんな生地だろう。タオル地かな。それともシルク?……む、職業病が発病しかけてしまった。
思い返してみれば普段と違う点がぽつぽつ出て来たみたい。

「なんか薬飲んでたかも」
「帝統と会ってる時点で頭痛か腹痛に耐えてたんだね」
「やっぱそうなのか」

乱数はすげぇな〜、と感心したように呟く帝統。まぁねん☆
ふと視線を窓の外に向ければ、通勤するサラリーマンやOLのオネーサンがせかせかと歩いている。道行く人をなんとなく眺めながらアイスティーを啜っていると、見覚えのある人影が見えた。あれ、あそこにいるのって今話題に上がってるあの子じゃない!?

「ちょっとちょっと帝統!外!彼女ちゃんいる!」
「は!?ちょっ、どこ!?」
「おや、顔色が悪いですね」

向かいに座ってチキンナゲットに伸ばされた帝統の手をぺちぺち叩いて窓の外を指差すと、ガバッと勢いよく帝統が顔を上げる。つられて幻太郎も身を乗り出して窓の外を見た。
そこにはお腹の辺りに手を当てながらフラフラと歩く、スーツ姿の帝統の彼女がいた。

「絶対無理してるじゃん! 多分1番しんどい時なのに!」
「っ、俺、ちょっと行ってくる!」

帝統は弾かれるように立ち上がってそのまま店内を走って外へ出た。彼女の元へ行くのだろう。
その背中を見送りながら、残された幻太郎と「上手くいくといいねぇ」「そうですね」なんて言葉を交わした。



***



生理2日目。気分も体調も最悪だけど普通に平日なので出勤。
私の会社にも生理休暇は一応あるけどあれって申請しにくくない?上司が男だと特に恥ずかしくて無理だよね。使ったことない。
そんなわけで私は今日もいつも通り出勤準備をして重い足を引き摺って玄関のドアを開けた。

電車に揺られている間、昨日の事を思い出す。
あんなことがあったししばらく家来てくれないよね。もっと上手い断り方もあったよね。
とても気が重い。仕事なんか行ってる場合じゃないのにな、なんて心の中で悪態をつきながら電車を降りてトボトボ歩く。……あ、ちょっとお腹痛くなってきたかも。
無意識に手をお腹に当てて小さく撫でながら歩いていると、後ろからバタバタとした足音が聞こえてきた。遅刻しそうなサラリーマンかな、大変だな、と思った瞬間、「おい!」と大好きだけど今はちょっと気まずい声と伸びてきた腕が私を呼び止める。

「っ、帝統」
「は、…っ、お前、調子悪いだろ」

振り向けなくて腕を掴まれたまま立ち止まる私に、息を切らしながら帝統が言葉を綴る。

「なんで……。ていうか、なんでここにいるの」
「たまたまだよ、帰んぞ」
「え、ちょっと!」

後ろにぐんっと引っ張られて、私はされるがままに来た道を戻される。
状況についていけなくて帝統の背を見つめるけど、帝統が今考えていることは全然わからなかった。なんでここにいるの。なんで調子悪いってわかるの。

電車に乗って私のアパートのある方向へ逆戻りして、帰路に着く。その間もお互い無言で、ひたすら足を動かしていた。
アパートの部屋の前に着くと、帝統が目で「開けろ」と訴えかけてくるので、私は鞄から鍵を出して部屋の鍵を開けて自室へ帰って来た。

部屋に入って早々にスーツのジャケットに手をかけられる。待って、何をするつもり……!?
いよいよ帝統の意図がわからなくて抵抗するも、「いいから早く脱げよ」とジャケットやらシャツやらスカートを脱がされて、私は下着姿になる。
何が始まるのかと構えていると、帝統はふらっと洗面所へ消えて、私が昨日着ていたTシャツとジャージを持って来た。
ん、とそれらを渡されてポカンと間抜け面をする私をベッドに座らせると、私のスマホを鞄から出して今度は「上司ってどいつ」と電話帳をスイスイ弄るので、上司の名前を告げる。
スマホを耳に当てる帝統をぼうっと見ていると、「着替えねぇと冷えんぞ」と言った後通話が繋がったようで、「あ、もしもし」と通話を始めた。

「あー、ちょっとこいつ今日体調悪いんで休ませます」
「えっ」

あろう事か帝統は私の代わりに上司に休みの連絡を入れて、着替え終えて固まっている私に構わず話が進んでいく。
誰か問われたのだろう、帝統の「俺?あー……。彼氏、っす……」と少し照れた声を聞いて心臓が大きく跳ねる。
いつの間にか通話は終わっていて、「お前今日1日休みだからな」とスマホを返される。それをそっと受け取りながら、もう一度「なんで……」と呟く。
帝統は床に座って、そのまま「悪かった!」と頭を下げた。

「俺、昨日お前にひでぇこと言ったししたよな、体調悪ぃのに」
「……」
「気づけなくてごめん!あれから乱数と幻太郎に聞いて、俺、すげぇ反省して」
「!?え、ちょっと待って待って」

今なんて言った!?乱数と幻太郎に聞いて!?

「2人に言ったの!?」
「ウ、すまん……」
「嘘……」

恥ずかしくて穴があったら入りたい。次2人に会う時どんな顔したらいいの。
恥ずかしさに思わず顔を覆うと、マジで悪ぃ……と帝統が小さくなる。

「2人に色々聞いて昨日すげぇしんどかったんだろうなってわかったんだよ。だから今朝フラフラしたお前が仕事行こうとしてたから」

行かせたくなかった、と話す帝統に、彼に対して感じていた「気まずさ」「申し訳なさ」が消えていく。考えてくれたんだ、私のこと。すごく嬉しい。

「とりあえず冷やさずあったかくすりゃいいんだよな!?布団入れよ」
「帝統……」

ありがとう、とごそごそ布団に入った私のお腹を「腹痛てぇんだよな、こうか?」と布団の上から優しく撫でられる。紫色の瞳が心配そうに私を見つめる。

「帝統、ありがとう。私の方こそごめんね。ちゃんと言えばよかったよね」
「お前は悪くねぇよ。そういうの知られたくなかったんだろ?」

乱数が言ってた、と聞けば忘れかけていた羞恥心が襲ってきた。でも流石乱数くんだなぁ。女心がわかってる。
んじゃ仲直りな、と私の頬に手を添えられる。帝統の手から伝わる温もりが心地良くて、私は思わず目を細めた。

「それ終わるまで俺なんもしねぇから!」
「ふふ、何もじゃ寂しいからぎゅってしてよ」

体を起こして帝統に向き直ると、帝統はぎこちなく私を抱き締める。
壊れ物を扱うような優しいハグに幸せな気持ちでいっぱいになった私は、昨日の夜から今朝までのことを帝統に聞いてまた赤面するのであった。

帝統と女の子の日
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