アレが来た彼女とスパダリ彼氏の千切豹馬。

朝、下腹部の違和感で起きた。
この感覚は、、、あ、来てますねこれ。
意外と冷静に理解することが出来た。

...隣で寝ていたはずの彼はもう居ない。きっと先に起きてリビングでゆったりしているのだろう。

起き上がるのにこんなに時間必要だっけ....下腹部の痛みに襲われ、起き上がろうとすれば頭から血が引くような感覚になり立ちくらみがする。
痛みとふらつきに耐えながらなんとか身体を起こし、ゆっくり時間をかけてリビングへと歩きを進めた。
ドアを開けると、そこにはソファに座り小説を読む綺麗な紅髪が見えた。

｢....おはよ、ひょーま、｣

｢おー、はよ。大丈夫か？顔色悪ぃけど....あ、まさか、来ちまったか？｣

｢ん、、来た...｣

｢すぐ着替えてこい、ベッドは俺がやっとくから。｣

なんともスパダリ。お言葉に甘えて着替えとナプキンを持ち洗面所へ行った。

やはり時間がかかったが、何とか暖かい格好に着替えることが出来た。そして部屋へ戻ると、そこには暖かいココアとコーヒーを持った豹馬が居た。

｢着替えれたみたいだな。ほら、ココア淹れといた。....ん、ここ座れよ。｣

｢ぁ、ありがとう....｣

そう言って豹馬は自分の膝の上を指差した。冷たいところに座らせたくないという彼なりの配慮だろう....少し恥ずかしいが。
普段はワガママばかり言って少々困る時もあるが、こうやって私が体調を崩したりするといつもと打って変わってスパダリになる。

遠慮なく膝の上に座り、ココアを少しずつ口に含む。ほどよく甘くて温かくて美味しい。

｢美味しい.....♪｣

｢良かった、でも生理中に甘いものを沢山摂るとあんま良くないらしいから、今日のはいつもより少し甘さ控えめな。｣

｢ん、これくらいが丁度いい、あんまくどい味は今受け付けないし｣

｢そうか、まぁ無理すんなよ｣

｢うん｣

ぶっきらぼうな言い方だが、いつもより声色は優しいし、喋りながらサラッとお腹に手を回して暖めてくれようとしてる。
そんな優しさに甘えながら、豹馬に体を預けた。

豹馬side

朝はいつも俺の方が先に起きるけど、今日はさすがに起きるのが遅すぎないか？と心配していた。
アレが来たんだろうかと予想が大体着くが、ただ単に疲れていたのかもしれない。
ゆっくり休ませようと静かに小説を読み漁っていた。

起きてきたかと思えば、いつもより動きがノロいし、顔も血の気が引いてるみたいに真っ青。これは来たな。そう思い聞いてみたら、案の定ソレだった。

まず俺には姉が居たから、アレが来たとしても対処は何かしらできる。いつもより甘さを控えたココアと、自分が飲む用のコーヒーをお揃いのマグカップにいれて、机に置き、ソファに座って待っていた。

戻ってきたアイツは、いつもより厚着をして暖まろうとしてる。んな服だけで暖まれるわけねーのにな。
冷たい所に座らせるのもなんだし、俺の膝の上に座らせる方が幾分かマシだろ。

膝への負担などは特にないからと思い、座らせたは良いものの、やっぱコイツちょっと冷たい。
服越しでも分かる、相当体温と血の量足りてねぇな。

今日の晩飯はレバーかほうれん草だな。
生姜は体温上がるらしいけど、俺が嫌いだからぜってぇ使わねぇ。

｢豹馬...ありがとね｣

｢別に。お前が元気ないとこ見るのは俺が嫌だからな。さっさと身体あっためて血の量増やして元に戻れよ。｣

｢えぇ....でも何気甘やかしてくれるじゃん、豹馬｣

｢........甘えてくるお前が可愛いから、仕方ねぇだろ｣

｢あ、でれひょーまだぁ♪｣

｢デレとか言うな。てか眠いか？｣

｢んぅ、ひょーまが暖かいから眠くなってきた....｣

｢あー、そーか。じゃ、ちょっと我慢しろよ｣

｢？うん｣

｢よっ....と。うわ、軽っ｣

｢！？ちょ、ひょーま降ろして、、！重いでしょ、、！｣

｢今言ったろ、軽いって。サッカーやってたらお前のことなんて誰でも軽々担げるわバカ、てか暴れんな｣

｢うぅ....｣

ちゃんとしがみついて落ちないようにしてる...可愛い、まじで

｢ん、良い子。｣

そしてちゃんと介抱して甘やかした豹馬であった。

END