「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治

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1と2があるが、1は興味深く読んだ。2は精神論的で中身が薄く同じ話の繰り返しが多くてつまらない。コミカライズされているようだが、わたしは読んでいない。同じ著者の「境界知能の子どもたち」という本があるが、これは読みやすい。ともかくこれらを読んでみて、いろいろ考えさせられた。境界知能(IQ71~85)の少年少女、表面上は知的障害者に見えないし、行政的にも知的障害者としては扱われないが、よくよく接してみるとオツムが足りてない人たちがいる。境界知能(IQ71~85)は人口の14%に該当するようである。そして彼らの問題として、認知機能の弱さが問題だという。視覚認知や聴覚認知が弱いというのである。ここを改善すれば、少しはマシになるらしい。噛み砕いて言えば、点数が低い理由として、そもそも問題文が見えてないことがあり、視覚認知の訓練で問題文が見えるようになれば、少しは点数が上がる、ということだと思う。あるいは他人から口頭で説明を受けて、それが理解できないとして、発達障害的には「空気が読めない」、つまり文脈の理解が出来てないから話の意図が伝わらないとなるが、この本の認知機能という話では、耳の力が弱いというのがメインテーマになる。どちらのアプローチが正しいというのではなく、境界知能の人への教育を前提に、まずは見たり聴いたりすることを、きちんとやるという話のようである。では、これで薔薇色になるのかというとならないだろうし、「境界知能の子どもたち」で紹介されているドリルの内容からして、ワーキングメモリーを鍛えようということのようだ。鍛えて上昇するものではないはずで、焼け石に水という感じもする。それに、ワーキングメモリー云々は、発達障害の根幹でもあり、結論は同じところに帰着する。視力が2.0でも見えているとは限らないとか、聴力に問題がなくても聞き取れてないとか、結局は発達障害の話に戻ってしまう。なんにせよ、恐ろしく思考が短絡的なのが非行少年の強い特徴というのが著者の主張であるようだ。少しでも思考してもらえば改善するということだろうか。
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