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PMSが酷くて恵くんに八つ当たりして泣いちゃう話 - 柊ユウの小説 - pixiv
PMSが酷くて恵くんに八つ当たりして泣いちゃう話 - 柊ユウの小説 - pixiv
2,718文字
伏黒恵夢
PMSが酷くて恵くんに八つ当たりして泣いちゃう話
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2022年3月18日 14:20

月に一回必ず来るもの。ソレ特有の痛みとか出血量とか、そういうのはいつも大丈夫で、その期間は普通に過ごせる。私がいつも苦しめられてるのは、その前に来るPMSと呼ばれてるやつだ。なにが酷いってイライラして人に当たったり、集中力が続かなくて任務にならなかったりする。だから酷過ぎる時はお休みを貰ったり、あまりこの期間は人と関わらないように過ごしてきた。彼氏の恵くんとのデートも、なるべくその週だけは避けるようにしてる。大分前の話だが…普段だったら面白おかしく笑い話にするところを、なぜかカチンと来てしまいブチ切れて友達にドン引きされた事があるからだ。

「うう、いったい…もうさいあく」

今日は特に酷かった。朝から身体の怠さや、腹痛に頭痛まで襲ってきた。身体を引きづるようにして学校まで来たが、クラスメイトや先生の話し声にもイライラする。授業を受けていると、理由はないのに突然泣きそうになったりして今日は特に情緒不安定だ。午後は体術だが、これ以上ここにいるのは無理だ。昼休みに五条先生に早退しますとメッセージを送ると、無言で教室を出た。
歩き始めて気付いたが、頭がふらふらする。頭ってこんなに重たいんだというくらいぐわんぐわんしている。ひとまず壁に手をついて、その場にしゃがみこんだ。廊下の床を眺めるが一向に良くなる気配はなく、吐き気までしてきた。

「しんどい…」
「おい」
「めぐみくん…?」

彼が前に回ってきて見慣れた靴が視界に映る。すると前にしゃがみこんでくれて彼と視線があった。

「具合悪いのか?」
「あー…うん。ちょっとPMSが酷いから…今日はもう帰ろうと、思って」

ふわりと身体が浮いた。恵くんが歩き出してからお姫様抱っこされてると気付いた。恥ずかしさもあったが、今は身体がしんどいのでありがたい。「辛かったら寝ていいぞ」なんて言われたら、あっという間に意識が遠のいた。

目が覚めると自室の天井が見えた。ふと横を見ると見慣れたツンツン頭が視界に入った。そうだ、恵くんに抱えられてそのまま寝ちゃったんだ…。

「恵くん、午後の授業サボったの?」

必死に携帯の画面を見ていた肩がビクッと動いた。視線をこちらに向けられる。

「🌸が心配だった。その、症状とか色々調べて…大変なんだな」
「ありがとう。ちょっと私酷い方だと思うから…」
「体調大丈夫か?」
「うーん。でも今日は横になって過ごすから大丈夫」
「何か欲しいモンあったら買ってくるし、作る。何がいい?粥とか…」
「もう!うるさい!!恵くんにこの辛さはわからないよ!」

普段クールな顔をしている恵くんの、こんなに驚いてる顔は初めて見た。違う、こんな顔させてかったわけじゃ…!涙が出てきて感情がめちゃくちゃだ。情緒不安定すぎてやっぱりこの時期、人と話しちゃダメなんだ…。

「っ…ちがうの、ごめんなさいっ!っく」

怒られるかと思って布団で顔を隠した。すると落ち着かせるようにポンポンと頭を布団の上から撫でてくるから涙が止まらない。


ごめんなさいと謝り続けて暫く泣き続けた。涙も止まって落ち着いた頃、とんでもない事をしてしまったのでは?と思い手が震える。恵くんにだけは八つ当たりしないように今まで気をつけてたし、面倒臭い女だと嫌われたくない。

「大丈夫か?」
「ごめんなさい。これからは気を付けるから嫌いにならないでっ」
「別に怒ってねえし、嫌いにもならねえよ。だから顔見せてくれねえか」

無理矢理引き剥がしてたって見れる筈なのに、そういう所に恵くんの優しさを感じて布団を捲った。すると涙の跡をなぞるように優しく撫でられて、少し擽ったい。

「今絶対ブサイクな顔してるからあんま見ないで」
「🌸はかわいいよ」
「っ?!」
「さっきは悪かった。しんどいのに立て続けに聞いて。」
「恵くんは悪くないの。わたしが」
「普段優しい🌸がそんなになるくらいしんどいんだろ。俺も気をつけるけど彼氏なんだから当たってもいいしなんでも言え。🌸のそういうとこ見れるのも、看病出来るのも俺の特権だろ?」
「うう、すき」
「俺も。とりあえず痛み止めとか色々買ってくる」

恵くんが立ち上がって私に背を向けた。それがなぜか寂しくなって、必死に手を伸ばして袖を掴んだ。

「っ?!どうした」
「やだ」
「ん?」
「行っちゃやだ」

すると唇にキスを落とされて、子どもをあやすみたいに頭をポンポンと撫でられる。

「すぐ戻ってくるから。良い子で待ってられるか?」
「…わかった。でも後で抱きしめてくれないと嫌いになる」
「何でもしてやるから。な?」
「うん。行ってらっしゃい」



また寝ていたらしい。生理前は何でこんなに眠くなるんだろう。いつの間に帰ってきたのか恵くんがマグカップとお皿と薬を持ってきた。中には温かそうなココアと、お皿にはお粥が入っていた。そういえば朝ご飯もお腹痛くて食べれてなかった…。昼休みは帰るのに必死だったし、今日何も食べて無いということに気付いた。

「お腹空いてるか?」
「うん。今日朝から何も食べてなかった」
「そうか」

恵くんが当たり前のようにフーフーとするから少し恥ずかしくなる。

「恵くん、もういいよ。ありがとう。貰うね」

スプーンを取ろうとしたら、ひょいと遠ざけられた。

「何でもしてやるから、ほら」

スプーンを口元に持ってこられたので、仕方なくぱくりと口に含んだ。なにこれ…おいしい…

「腹痛かったら、無理して食わなくていい」
「ううん。今は大丈夫。それに美味しい」
「そうか。」

恵くんが嬉しそうな顔をするから、あっという間に食べきってしまった。よくできましたと言わんばかりに頭を撫でてきたので恥ずかしい。マグカップを手に取り、ココアと一緒に痛み止めを流し込んだ。


痛み止めのおかげか、頭痛や腹痛は引いてくれた。だけどやっぱり何もする気になれなくて布団の上でボーッとしていた。するとお皿を片付けた恵くんが布団の中に入ってきた。
抱きしめてきたので、距離を取ろうとしたが背中が壁に付いただけだった。

「ほら。抱きしめないと嫌いになるんだろ?」
「うう…好きだし嫌いにならないから。ちょっと顔近いよ…」
「俺も。あと多分だけど…🌸いつもこの期間、俺に会うの避けてただろ。」
「う、バレた」
「絶対嫌いにならねえから。頼れ。知らねえ所で苦しんでる方が嫌だ」
「ありがとう」

大好きな彼氏に拒絶されるどころか、こんなに甘やかされるならPMSも悪くないかも…なんて。いつの間にか布団の中に入れてくれてた湯たんぽに心が暖かくなった。

シリーズ
PMSが酷くて恵くんに八つ当たりして泣いちゃう話
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2022年3月18日 14:20
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