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新幹線車両内で薬品漏れ…「硫酸」成分検出 もし硫酸に触れたら?そもそも列車に持ち込み可能?〈宮城〉
2023-10-10 18:33:01
9日JR仙台駅で、東北新幹線の乗客のかばんから薬品が漏れ、6人がけがや体調不良を訴えたトラブルについて、消防への取材で、薬品から「硫酸」の成分が検出されていたことが分かりました。
3連休最終日の仙台駅を騒然とさせたトラブル。9日正午ごろ、仙台駅に到着した東北新幹線の車両の中で、乗客のかばんから薬品が漏れ、薬品が付着した5歳の男の子を含む男女6人が、やけどや体調不良を訴えました。
かばんの持ち主は、地質調査会社に勤務する男性で、薬品は青森県内で業務用のために入手。ペットボトルのような容器に入れた状態で、座席の足元のかばんの中に置いていたということです。
そして、消防が、初期対応の際に現場で薬品を採取し、分析したところ、薬品からは、「硫酸」の成分が検出されたことが分かりました。消防は、硫酸の可能性を踏まえた装備で救助活動を行ったということです。
仮に薬品が「硫酸」であった場合の危険性について、東北医科薬科大学の吉村祐一教授は…
Q)そもそも硫酸とはどういった薬品?
東北医科薬科大学 吉村祐一教授
「非常に酸性が強くて酸化力もあって腐食性も大きい。皮膚に付くと非常に重大な化学やけどを引き起こすそういう薬品ですので、皮膚に付いたら直ちに洗うことが基本。非常に危険な薬品ということは間違いない。
Q)ペットボトルないし、似たような容器に入れて持ち運ぶことはありえる?
東北医科薬科大学 吉村祐一教授
「たとえ短期間の移動であってもペットボトルとかそういった材質のものは決して使わないです」
Q)今後もし、同じような状況に巻き込まれた場合は…
東北医科薬科大学吉村祐一教授
「得体の知れない液体には触らないに越したことはない。何が起こるか分からない」
Q)もし自分の体などに付いてしまった場合は?
東北医科薬科大学吉村祐一教授
「とにかくすぐ洗うこと。服の中に薬品が染みこんでいますので、とにかくそれを剥がしてあげてしっかりと体を洗う」
気になるのは、そもそも硫酸の成分が検出されたこの薬品を、新幹線の車内に持ち込むことが可能だったかというところです。
JR東日本の規定では、「硫酸、硝酸、塩酸などが含まれる『強酸類』については一定の規則を満たしていれば持ち込みは可能」としています。しかし条件があります。
1つ目は「密閉した容器に収納」、2つ目は「破損するおそれのないように荷造したもの」、3つ目は「0・5リットル以内」となっています。
そして、きょうJR東日本の深澤祐二社長は、会見で次のように述べました。
JR東日本深澤祐二社長
「少量500ミリリットルまでなら厳重に梱包すればというルールになっておりまして、これについて関係箇所と相談しながらどうするか考えていきたい」
男性が持ち込んでいた薬品の収納方法や量などについては、警察が捜査を進めています。
また、今回、地質調査会社に勤める男性が、業務のために薬品を持っていました。そもそも地質調査に硫酸を使うことがあるのか、仙台市内の地質調査会社に確認したところ、多くの会社は、「硫酸などの劇物は、一般の地質調査には使用しない」と回答しました。
一方、一部の会社は、「ごくまれに、非常に特殊な調査で、岩盤の性質などを調べる試薬として使う場合もあるが、通常は室内でのみ少量使用し、持ち歩くことはない」としています。
警察は、男性が故意に薬品をまいた事案ではないとみていますが、業務上過失致傷の疑いも視野に、当時の状況を調べるとともに、薬品の鑑定を進めています。