よう実×呪術廻戦   作:青春 零

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33話 生物としての格差

 術式を持つ者と持たない者とでは、脳の構造そのものが異なる。

 

 現代において呪力と脳の関係は未だにブラックボックスに包まれているが、術式の存在が脳に与える影響が少なからずあることを、護は自覚していた。

 

 身近な例としては護の兄、五条悟。

 正確には術式ではなく彼の体質に関するものだが、五条悟は先天的に『六眼』という特殊な眼を持っている。

 『六眼』は通常の人間には視認できないあらゆる情報を捉える力を持つが、仮にこれが普通の人間に与えられたとして、使いこなせるかと言われれば否である。

 

 彼の視界は目隠しをした状態ですら高性能のサーモグラフィー程によく見える。それだけの情報量に常に晒されてしまえば、常人では日常生活すらままならなくなるだろう。

 

 最初からそれに耐えられる下地が有ったから『六眼』が発現したのか、もしくは幼少時からの成長過程で自然と最適化されたのか。因果関係は不明であるが、五条悟の脳が通常の人間よりも優れた処理能力を有していることは一つの事実である。

 

 そしてこれは、他の術師に関しても同様のことが言える。

 鳥が生まれながら飛び方を知っているように、術師は生来持った術式を当たり前のように扱える。

 

 勿論全ての術師が、最初から十全に扱えるだけの素養を兼ね備えているわけではない。

 しかし、それはあくまで練度の問題。例え未熟でも術式を使用することが出来るのならば、それは使用に耐えられるだけの最低限の下地が備わっているということ。

 

 それはつまり、他の人間では持ちえないポテンシャルを秘めているとも言える。

 

 結局何が言いたいのかというと――

 

 

 ――護の術式と、ボードゲームは相性が良すぎた。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 食事を終えて片づけを済ませるなり、有栖は早速とばかりにテーブルの上にチェス盤を広げ、ケースから駒を取り出した。

 

(先番)はお譲りしましょうか?」

 

 白のキングを差し出すように掲げる有栖に対し、護はケースから黒のキングを取り出しながら答える。

 

「俺が選んでいいなら黒を貰うよ。白を使うのって、なんとなく気乗りしないんだ」

 

「そうですか。では遠慮なく白を持たせていただきます」

 

 基本的にチェスは先手有利のゲーム。将棋や囲碁といった他のゲームと比較しても、先手後手の違いで勝率には結構なブレ幅が生じてしまう。

 黒を得意とするプレイヤーもいなくはないが、護の場合はそういった戦略とは関係なしに、単純に白色を持つのが気乗りしないだけだった。

 

 互いに自陣の駒を手早く並べた二人は、向かい有った状態で軽く礼をする。

 

「では、お願いします」

 

「お願いします」

 

 そして二人の対局が始まった。 

 

 初手、有栖はポーンをe4に、対する護はポーンをc5に進める。

 しばらくの間、コツコツと室内に駒を動かす音だけが響く。

 

 チェスではそれが上級者同士の対局だからといって、必ずしも長期戦になる訳ではない。

 極端な例ではあるが、歴史上の偉人達の対局では、序盤の十数手で決着がついてしまうような対局も時には見られた。

 

 それらの対局では明確な失着が有ったわけではない。たった一つの駒の動きに含まれる様々な意図。それらが絡み合った複雑な攻防の末に生じた僅かな隙。その隙を見逃さない読みの深さが有ったからこそ、起こりえた結果である。

 

 現代でこそ定跡の研究が進み序盤での早期決着こそ減りはしたが、上級者同士の対局というのは得てして綱渡りのごとき危うさを秘めている。

 

 この二人もまた、そんな緊張感を感じ取っていた。

 勝負はまだ序盤。手数は未だに10手も進んでいない。それでも、僅かでも緩い手を打とうものなら一気に形勢が傾きかねないと。

 

「フフッ、素晴らしいですね。侮っていた訳ではありませんが、まさかここまで指せるとは思いませんでした」

 

「そりゃどうも」

 

 思わずといった様子で喜悦の滲んだ笑みを浮かべる有栖。

 上から目線に見える称賛だが、護は特にそれを不快だとは思わなかった。

 

(流石に、自信有り気だっただけはある)

 

 まだ実力を完全に測りきれていないので一応の所感になるが、過去の対戦経験と比較しても上位に位置する腕前であると感じた。

 実際、同年代で相手になる者などいなかったのだろうと考えると、その自信も当然のものだ。

 

(本人も楽しんでるみたいだし、パンダも少しは大人しくなった。まぁ、悪い展開じゃないか)

 

 チェスに対する関心が薄いのか、パンダは先程までのテンションを潜めて退屈そうに寝そべっている。

 当初は面倒臭いと思っていたが、盤面に集中さえしていればいいこの状況は、護としても割と気が楽だった。 

 

 しかし、そこに有栖から一石が投じられる。

 

「どうでしょう、折角拮抗した勝負になりそうなことですし、より緊張感を増やすために賭けでもしませんか?

 例えば、負けた方が勝った方の言うことを一つだけ聞くと言うのは」

 

 その言葉に、ダレてたパンダの耳がピクリと動く。

 

(ええい、息を吹き返すな)

 

 パンダの反応を無視するように、できるだけ素っ気なく有栖の提案に答える。

 

「遠慮しておく。メリットを感じない」

 

「おや、私の身体では不満ですか?」

 

「言い方を考えてくんないかなぁ!」

 

 後ろで大爆笑とばかりに手を叩くパンダが何とも憎らしい。

 パンダのせいで少々リアクションが過剰になってしまった。その反応が面白かったのか、有栖は愉快気に笑いながら言葉を続ける。

 

「フフ、半分ほどは冗談ですよ。護君があまり楽しそうではなかったので、こうすれば少しはやる気が出るかと思いまして」

 

「半分は本気ってことだろそれ。仮に100%冗談だったとしても、男の一人部屋でそういう話はするもんじゃない」

 

「おや、心配して下さるのですね。しかしご安心を。

 私としても、よく知りもしない殿方の部屋にお邪魔するほど無警戒ではありませんので」

 

「知りもしないって、その理屈で言うなら俺だって知り合ってたかだか2か月ちょっとだろ。

 有栖さんは人を見る目に自信があるのかもしれないけど、あまりそれを過信しすぎない方がいい」

 

 護自身以前から感じていたことであるが、どうも有栖は危機感が欠けているというか、自分の判断力を過信しすぎるきらいがある。

 テスト前に龍園と会話をした時の強気な態度に関してもそう。

 おそらく有栖には有栖なりの判断基準があって安全と判断しているのだろうが、護にはそれが少々危うく見えた。

 世の中、理性とか合理性だとか、そんな当たり前の常識基準が働かない状況など幾らでもあるのだから。

 

 カタリと、少し強めに駒を動かしながら有栖へと視線を向ける。

 

「…………」

 

 沈黙する有栖。それは護の言葉に対して考えているのか、それとも盤上の今打たれた一手に対して思考を巡らせているのか。

 程なくして、駒を動かしながら有栖は口を開く。

 

「なるほど、言われてみれば否定できない点はありますね。私はまだ、護君のことを理解できているとは言い難いですから」

 

 意外にも素直な返答。

 しかしそこで反省しますとか、以後気を付けますで終わる有栖ではない。

 

「なので、お互いもう少し遠慮は無しでお話ししませんか? こうして遊びながら他愛もない話に興じると言うのも、お友達らしくていいでしょう?」

 

「君、今まで遠慮してたこと有ったか?」

 

「フフ、心外ですね。これでも気を遣っていたんですよ。気になることを根掘り葉掘り聞いていては、護君としても答えにくいかと思いましたので。

 例えばそう――中間テストの解答をどうしてDクラスにお渡ししたのか、とか」

 

 瞬間、僅かに空気が張り詰めた。

 有栖は微笑みを浮かべながらもその瞳は笑っておらず、そこには注意深く観察するような意思が感じられた。

 

(ただ遊びに来たわけじゃないとは思ってたけど、狙いはこれか)

 

 チェスは心理戦の要素も多分に含まれるゲームである。

 僅かな精神の揺らぎから、思いもよらないミスをすることもある繊細な競技。故に公式戦の場では対局中の会話は御法度とされているわけだが、今は私的な場での対局。そんな厳正なルールはない。

 

 ここで僅かでも手筋に乱れが出れば、それは有栖の言葉を肯定することにも繋がる。

 しかしこの程度のこと、いずれ追及される可能性が有ったのは想定済み。

 護は自然な動作で駒を動かしながら、冷静に返事を返した。

 

「何の話?」

 

「中間テストでのDクラス1位、普通に考えるならば彼らにその結果が出せるだけの学力があるとは思えません。しかし事実としてその結果がある以上、考えられる可能性は一つ――彼らは事前にテスト内容を知っていた。

 そう考えれば辻褄が合います」

 

「まぁ確かに、そうかもしれないね」

 

 多少勘の良い人間であれば、そこまでは簡単に察しがつく。

 護としてもそこは惚けたところで意味が無いと、否定することなくすんなりと肯定した。

 

「そうなると、問題はどのようにしてそれを知りえたかです。

 先生方からポイントでテスト問題を購入した可能性も考えましたが、真嶋先生に確認したところそれは不可能でした。

 つまり残る可能性は一つ、昨年以前も中間テストで同じ問題が出題されていた可能性しか残りません。

 そして、護君が鬼龍院先輩と関係を持ち始めたのもテスト期間になってから。これは偶然でしょうか?」

 

「偶然だね。仮に俺が楓花さんから過去のテスト問題を貰ったとして、Aクラスで共有せずDクラスに渡す理由は無いと思うけど?」

 

「はい、私もそこが分かりませんでした。仮に対価としてポイントを得ようとするなら、資金の少ないDクラスと交渉するよりも良い手段は有ったはずですから。

 今申し上げたことは全て私の想像に過ぎません」

 

 どれだけ推論を並べたところで、有栖の言葉に根拠はない。

 確証が得られるとすれば楓花か、Dクラスの誰かが漏らすかだがその可能性は低い。

 

「なのでこれはひとまず置いておき、別の話に移りましょう。

 護君、あなたはどうしてこの学校に入学しましたか?」

 

「……どうしてそんなことが気になるのか知らないけど、特に深い理由は無いよ。

 有名校だからなんとなく受けて、合格したから通おうと思っただけ」

 

「本当にそれだけでしょうか?」

 

 こちらを見透かすような有栖の瞳。護はあえて目を合わせない様に、盤上へと視線を固定する。

 

「護君は、以前からクラスの順位に拘りは無いと仰っていましたね。おそらくそれは事実なのでしょう。あなたからはクラスの立場に対する執着が見えない。

 しかし普段の生活を見ていると、何かしらの目的意識が有って動いているように感じます」

 

 盤上で、護のキングにチェックがかけられる。

 とはいえ別段劣勢という訳ではない。攻めを躱すのは容易く、形勢に関しては五分と言える。

 

「…………」

 

 しかし護は、盤上の形勢とは関係なしに嫌な予感を感じていた。

 続く有栖の言葉。

 

「入学式の日、護君は私の名前を聞いて理事長を思い浮かべましたが、思えばそれも少々おかしな話です。

 普通入学したばかりで、理事長の名前を記憶している学生などそうはいません。

 まして偶然出会った私と関係を結びつけたということは、それだけ護君にとって父の存在が記憶に新しかったということ」

 

 現状、有栖の推理はあくまで自身の勘に頼る所の多い推論でしかない。

 確かに入学早々理事長の名を記憶している学生は少数派だろうが、パンフレットなどで偶然目にして記憶に留めていた可能性もゼロではないのだから。

 

 反論しようと思えば幾らでもできる。しかしまずは全てを聞いてからでも遅くはないと、盤面に集中する振りをしながら黙って続きを聞いていた。

 

「護君、あなたは何かしらの責務を帯びて、この学校に入学したのではありませんか?

 そしてそれには私の父も関わっている」

 

 一般人としての立場で聞くならば、何とも突拍子もない推測だ。

 ただの十代半ばの子どもが、学生の立場を超えて理事長と繋がりを持っていると言うのだから。

 言っている有栖自身もそれが理解できているのか、半分冗談でも言っているかのようにクスリと笑みを浮かべた。

 

「ここで先程の話に戻ります。確かDクラスには、高円寺コンツェルンの御曹司が在籍していましたね。

 Dクラスに中間テストの解答を渡した理由、それが彼との顔つなぎと考えるならどうでしょう?」

 

 高円寺なる人物に関しては護も噂を耳にしてはいた。はっきり言って今回の件には関係のない人物であるが、単純にポイント目的とは考えず、Dクラスとの顔つなぎと考えた辺りは鋭い。

 

「以上を踏まえた上で考えられる可能性、例えばそう――学生の立場から要人を護衛している、とか」

 

(マジか……)

 

「突拍子もない推測ですが、ひとまず思いつくのはこれですね。

 将来の為に社会的立場の高い人物との人脈を作るのが目的ではとも考えましたが、それにしては普段の護君は対人関係に関して消極的ですから、これは排除しました。

 どうでしょうか。見当外れなようでしたら笑って頂いて構いませんよ?」

 

 あくまで、今述べた推理はジョークの域であると笑いかける有栖に対し、しかし護は笑い返す気にはなれなかった。

 

(本当に、マジかこいつ……)

 

 当たらずとも遠からず。

 たったこれだけの情報からそこまで迫った有栖に対し、護は静かに戦慄していた。

 

 これまで有栖の能力に関しては十分に評価していたつもりだった。しかしそれでも、まだ彼女のことを甘く見ていたと自覚する。

 呪術について知らぬ身であるならば、放置したところで問題ない。そう思っていた相手が正解とはいかないまでも、それに近い部分に迫ろうとしている。

 

(この娘、危険だな)

 

 それは、護にとっての脅威という意味ではなく、有栖自身の安全という意味で抱いた感想。

 半ば推理とも呼べないような憶測で真実に迫る勘の良さ。

 加えてこちらが普通ではないと理解しながら、無遠慮に踏み込んでくる好奇心。

 

 好奇心は猫を殺すと言うが、彼女はその典型に見えた。

 

 先程まで楽しそうに事の経緯を見守っていたパンダも、有栖に対して「何この子、こわっ」とでも言うような、ドン引きした視線を向けている。

 

 というか、なんだかんだと学校のシステムに関わる話をパンダも聞いてしまったことに、今思い至った。

 まぁそれに関しては今気にしている場合でもないと、棚に上げて思考を切り替える。

 

(どうするべきか……)

 

 盤上の駒を動かしながら、まずは落ち着いて状況を整理する。

 

 いっそ、その推測を肯定することで納得させてしまおうかという考えが頭をよぎるが、それは相手の思うツボだと即座に却下する。

 

 現状有栖が抱いている疑惑としては三つ。

 

 1、護がこの学校で何か目的をもって動いていること。

 2、理事長と個人的な繋がりがある可能性。

 3、中間テストでDクラスと関係を持ったこと。

 

 1に関してはほぼ間違いなく確信を抱かれてるだろう。

 しかし2、3に関してはあくまで勘によるところが大きく、もしかしたらという程度の考えの筈だ。

 

 おそらく先程の推理は半ばカマかけのようなもの。

 本人も現実味が無いと理解しながら、こちらの反応を窺うために披露したに過ぎない。

 

 ここでそれを肯定するのは、自然と2、3に関しても確信を与えてしまうことになる。

 

「中々面白い話だったけど、有栖さんは本気でそんなことを思ってるの?」

 

「半分……いえ、2割程でしょうか。物証となる物など何一つとしてありませんし、妄想と言われても仕方がないと思っていますよ」

 

「だろうね。実際、そんな事実はないもの」

 

 下手な言い訳はかえって矛盾点を指摘されかねない。余計な情報は渡さず、端的に否定だけしておくのがベストだと判断した。

 

「そうですか。どうやら、恥ずかしくも見当違いの推理を披露してしまったようですね」

 

 護の返答に対し、特に残念がることもなく素直に受け入れる有栖。

 しかし、護にしてみればそのあっさりとした態度がかえって白々しく見える。その胸中では納得していないことが透けて見えた。

 

(ホント、どうすっかな……)

 

 護は額に手を当てて、一見すると考え込むかのような仕草で有栖には見えないようにしてから静かに目を閉じた。

 現状において、有栖の疑問を全て解消するのはまず不可能である。証拠がない以上、強引に知らぬ存ぜぬで押し通すこともできなくはないが、結局は問題の先延ばしに過ぎない。

 

(……仕方がない。諦めるか)

 

 しばらくしてから結論を出した護は、ゆっくりと目を開くと額に当てていた手を降ろし、有栖に対して真っすぐ視線を合わせた。

 

「……さっきの話だけどさ、やっぱりやろうか」

 

「先ほどの話ですか?」

 

 有栖は一瞬何のことだかわからない様子で、キョトンとした顔を浮かべる。

 

「賭けの話だよ。負けた方が勝った方の言うことを聞く」

 

 ここでこの提案は、明らかに自身に隠し事があると肯定しているようなもの。しかしそれで構わない。

 自身の行動に対して疑問を持たれている、この一点に関して、護は諦めることにした。

 何を言ったところで、有栖を納得させることはできない。ならばそれを割り切った上で、これ以上の詮索ができないように釘を刺す。

 

 有栖にとっても護の提案は予想外であったのか、一瞬目を見開いたかと思うと、しかしすぐに歓迎するかのように微笑んだ。

 

「よろしいのですか? 勝負をするからには、口約束だからと反故にさせる気はありませんよ」

 

「構わないよ。ケータイで録音するなり、契約書を書くなりしてもいい」

 

「……いいでしょう。どうして気が変わったのかは知りませんが、どうやら本気になっていただけたようですね。

 録音や契約書の必要はありませんよ。そこは信用させていただきますし、私もチェスで嘘を吐くつもりはありませんから」

 

 先程まで観察するようだった有栖の瞳が、獲物を見る獣の如く鋭さを増した。

 そして指される、有栖の一手。

 先程までの有栖はヒットアンドアウェイと言うべきか、適度に護の駒に圧力をかけつつ自分自身も決して無理はしない打ち筋であった。

 

 しかし今の一手は、自身の駒を犠牲にしてでも護の守りをこじ開けようとするかのような、強引な一手。

 まるでここからが本気だと言っているかのような、力強い意思がその一手からは感じられた。

 

(久しぶりに、本気でやるか)

 

 有栖の鋭い瞳に対し、護の瞳は無機質なまでに暗く沈んでいく。

 

 形勢に関しては、まだどちらが優勢とも言えない状況。

 

 中盤戦に至り、ようやく二人の勝負は本当の意味で幕を開けた。

 

 

 

◆◇◆ 

 

 

 

 チェスのみならず他のボードゲームにおいても言えることだが、対局者の実力差というのは必ずしも勝敗に直結しない。

 初心者と上級者程の開きがあるならばともかく、上級者と中級者のような一段か二段程度の差であれば、10回やれば2、3回は勝利を取りこぼすこともあり得る。

 

 有栖の実力は、間違いなく上級者の中でも更に上位の位置づけ。本来ならプロの上位層でも絶対に勝てるなどと言えない程の実力者。それを理解してなお賭けを申し込んだのは、護にそれほどの自信が有ったからである。

 

 

 五条護が初めてチェスに触れたのは7歳の頃。

 当時兄に目を掛けられ直々に呪術の教えを乞うにあたり、まず渡されたのがチェスや将棋といったボードゲームの教本であった。

 

 曰く――

 

『護の術式って頭を使うからね。思考能力がそのまま術式の発動速度や精度に直結してる。

 要は頭が良くなればその分強くもなれるって訳』

 

 護の術式において求められる能力は、空間把握能力と視野の広さ。加えて複数の結界を運用し、自らに呪力強化を施しながら動き回るとなると並列的、多角的な思考能力も求められる。

 

 そしてこの視野の広さと多角的な思考能力、これらは大凡あらゆるボードゲームにおいても必要とされる能力である。

 

 術式行使に必要となる脳の処理能力を底上げしつつ、限られたリソースを効率的に運用する判断力を養う上で、ボードゲームはうってつけだった。

 

 そこからはひたすらにボードゲーム漬けの日々。

 元々所持している術式の影響か護の成長は早く、始めて僅か半年で、将棋、囲碁、チェスそれら全てでネットの上位ランカーと渡り合えるレベルへと成った。

 しかし、そこで終わらせないのが五条悟という無茶振り教師である。

 

 上位ランカー相手に勝ち越せるようになってきた後にやらされたのは、パソコンのディスプレイを増やして異なる二競技の二面打ち。そしてそれにも慣れてくると、最後には三面打ちをやらされた。

 

『三面打ちで十勝するまで終われまテン!』

 

 そんなことを言われてひたすらに没頭する日々。時には鼻血を出し、時には知恵熱でぶっ倒れることもあったが、その結果護は強くなった。

 

 こと盤上での戦いであるならば兄にすら勝てる程に。

 

 実際のところ、ボードゲームで兄に勝てたからと言って、それが強者たる理由にはならないのだが。 

 五条悟は天才肌故、大抵のことは何でもこなすが、流石に本職の棋士などに勝てる程の技量はない。

 

 それでも、護にとってはプロに勝てる事よりも、兄に勝てるという事実の方が重い。だからこそ自信を持って言えるのだ。

 チェスにおいては、誰にも負ける気がしないと。 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

(本気でないことはわかっていましたが、予想以上ですね。

 あのような稚拙な推理を披露した甲斐もあったということでしょうか)

 

 有栖自身、正直言ってここまで踏み込んだ話をするつもりは無かった。

 先程述べた推測はあくまで暫定的に導き出した物。確たる根拠があるわけでもないし、仮にそれが事実であったとしても現時点で護に突き付けるメリットはない。

 

 そう理解しながらも口に出してしまったのは、チェスを指す護の様子があまりにつまらなそうに見えたから。

 その瞳に自分が映っていないことが、有栖にとっては我慢ならなかった。

 

 自分が突き付けたロジックが不完全なものであるという自覚はある。しかし同時に、護にとって少なからず琴線に触れる内容も含まれていると自信もあった。

 

 そしてそれは、正しく狙い通りの効果を発揮した。

 

 

 有栖の一手に対し、すかさず的確な応手を放つ護。

 両者が一手にかける時間は、ほんの数秒から多くても20秒程。早指しでもしているのかという程の勢いで目まぐるしく動く盤上。

 しかし、そこに一切の雑さはない。

 攻防の一つ一つが、遥か先を見通して繰り出される洗練された一手。

 

(あぁ、本当に……素晴らしい)

 

 盤面に集中する一方で、有栖は静かにこの対局に感動を覚えていた。

 

 元々有栖は護がチェスを指せることなど知らなかったし、この日チェスを持ってきたのもあくまで余興、コミュニケーションツールとして用いようとしたに過ぎない。

 護のことを侮っていた訳ではないが、同年代で自分に比肩する相手がいるなど、ただ一人を除いて想像だにしていなかった。

 

 そんな有栖にとって、この対局はまさしく望外の幸運。奇跡の如き一瞬に思えた。

 が、いつまでもその感動に打ち震えている余裕はない。

 

 賭けの成立から5分と経ってはいない。この僅かな時間で、形勢は黒――護側へと傾き始めていた。

 

 

 

 坂柳有栖は、確かにチェスに関して類まれな才覚を持っている。

 その腕前はプロと比較しても遜色は無く、年齢も加味するならば才能に関してはトップクラスと言っても過言ではないのだろう。

 しかし、それはあくまで人間の規格としての話。

 

 あくまで常人のレベルでの処理能力しか持たない有栖に対し、護は術式を使うに適した脳を生まれながらに備え、更に時間をかけてより能力を先鋭化させている。

 

 知識や記憶力、考察力といった総合的な頭の良さという意味では、有栖も決して劣ってはいない。むしろ勝っている部分の方が多いとすら言える。

 しかしこと盤上遊戯において、護と有栖には明確な差が存在していた。

 

 例えるならば、陸上選手とチーターが徒競走で競っているようなものだ。比較としては大げさすぎるかもしれないが、生まれ持ったポテンシャルの格差は、まさしく生物としての規格が違うと思える程のもの。

 

 

 

 

(まさか、これ程の差があるとは……)

 

 手番を重ねるごとに、有栖の方ばかりが一方的に思考に要する時間が増えていく。

 しかも自分はそれだけの時間をかけているのに、護の方はわずか数秒で的確な一手を打ち返してくる有様だ。

 有栖は生まれて初めてと言えるほどに、明確な力の差を実感していた。

 

(ここで挽回を図らねば、敗北は濃厚)

 

 現状においてこそ僅かな偏りに見えるが、遥か先の手順を見通せる有栖には、今が勝敗を分ける分水嶺であることが理解できた。

 

 しかしそれでも戦意は衰えることはなく、むしろ高揚すらしていた。

 複雑に入り組んだ局面において、例え劣勢であったとしても逆転の一手を閃くことは決して珍しいことではない。

 残された選択肢を一手一手洗い出し、脳内でひたすらにシミュレートしていく。

 

 手を止めてから一体どれだけの時間が流れたのかを有栖は意識していなかった。

 持ち時間を設定していない対局だからこそ許される極限の集中力。有栖は余計な情報を全てカットし、ただ盤面だけに意識を集中させた。

 

 一分か、はたまた十分か。一体どれだけの時間が過ぎたのか。

 

 そして指された一手は、まさしく会心の一手。

 自陣の守りを固めるのではなく、むしろ相手に対して切り込んでいかんとする力強い踏み込みであった。

 

(仮にこの攻めをしのがれても、その間に形勢は持ち直せる。まだ、終わらせません)

 

 これ程までに心躍る対局、早々に終わらせてたまるものかという一念。

 

 そうして振り絞った一撃を――しかし護は容易く踏み越えた。

 

 有栖の一手に対し、ほぼノータイムで放たれる応手。

 それを見た瞬間、有栖の脳内に電流の如き衝撃が走る。

 

 まるで、有栖がそこに打つことを読んでいたかのような素早い応手。

 自陣に犠牲が出るのを承知の上で、しかしそれでもこちらが詰ますのが早いという、合理的な判断の上に成り立つ一手。

 

(……ッ、この複雑な局面で、揺らぐことなく駒落ちを選びますか!)

 

 チェスは将棋と違って、取った駒の使い回しができない。

 故に、仮に交換した駒の価値で総合的に利があるとしても、サクリファイスのような選択には慎重になるのが普通である。

 

 例え有栖の一手を読んでいたとしても、打ち返す前に少しでも考える時間を設けてもよかった筈だ。

 それが無かったということは、それだけ自分の一手に自信が有ったということ。

 

 そこまで考え、しかし有栖は首を振った。

 

(……いえ、これは自信というよりも)

  

 有栖はふと、盤面から顔を上げて対面する護へと視線を移す。

 そして向かい合う護の表情を見て、有栖の背筋に寒気が走った。

 

 まず真っ先に連想したのは“闇”。

 護の瞳からは、感情と呼べるものが感じられなかった。

 余計な思考をそぎ落とし、ただ目の前の情報を淡々と受け止めているかのような、無機質で機械的な瞳。

 

 周りが見えなくなるほどに集中している人間の表情ならば、有栖は知っている。

 しかし護のそれは、ただ集中しているだけとかそのような比ではない。

 深淵としか言いようがない。まるで、ただ見ているだけの自分すらも飲み込まれるのではないかと錯覚してしまう程に、深く沈んだ暗い瞳。

 

 有栖の中に、形容しがたい不安が生まれる。

 

 今、自分が向かい合っている相手は一体誰――いや、一体()()()と。

 

「……ま、けました」

 

 気付けば、有栖はそんな言葉を口にしていた。

 不利ではあるが、勝敗を決定づけるにはまだ早い局面。

 しかし有栖は、これ以上まともに打ち続けられる自信が無かった。

 

 先程まで勝負に対する高揚で熱を持っていた体は、今ではむしろ寒気を感じている。

 

「ありがとうございました」

 

 有栖のリザインに対し、礼を言ってから頭を上げる護。

 その顔つきがいつも通りに戻っているのを見て、有栖は敗北したというのに、どこか安心したようにホッと息を吐いた。

 

「……見事なお手並みでした。今まで対戦した中で、一番と言える程に」

 

 今しがたの動揺を誤魔化すように、なんと無しにそう言う有栖。

 

「そりゃどうも。俺の方もかなり危なかったよ」

 

「フフ、ご冗談を。随分と余裕そうに見えましたよ?」

 

 対局中の護の心境は流石の有栖にも分からないが、終始ペースを崩すことなく打ち続ける様を見ていれば、余裕が有ったことだけは分かる。

 

「集中してると表情が出にくくなるんだよ。内心じゃ冷や冷やしてたさ」

 

 内心どうだったかはさておき、表情が消えていたことに関しては事実である。

 

「そうですか。ともあれ、これで賭けは私の負けですね。

 どうぞ護君のお好きなようになさって下さい。ただ、できれば初めてなので優しく……」

 

 そう言って、いかにも恥ずかしそうな素振りで顔を背ける有栖。

 護が本気でそんなことをしないと分かっているからこその冗談である。

 

「とりあえず、その小芝居やめろ」

 

「それがお願いということでいいですか?」

 

「あのなぁ……」

 

 疲れたようにため息を吐く護を見て、有栖はクスリと笑みを浮かべる。

 ただ、その内心ではそれほど余裕があるわけではなかった。油断していると、先ほど見た護の瞳を思い出しそうになる。  

 こうして軽口を叩くのも、意識して気を紛らわすためというのが一つの理由だった。

 

 しかしそこで、護が据わった目を有栖へと向ける。

 

「……君、やっぱ一回くらい痛い目見といたほうがいいな」

 

「……え?」

 

 どことなく、いつもと違った低いトーンの声。

 護は立ち上がると、有栖の隣へと移動してしゃがんでその肩を掴んだ。

 

「え、あの……」

 

 突然の行動に、有栖は戸惑ったような声を上げた。

 護のことだからありえないと思いながら、先程の対局中に見せた知らない一面を思い返すと、普段の姿の方が嘘なのでないかとも思えてくる。

 

 再び先程の悪寒がぶり返しそうになり、ギュッと目を閉じる有栖。

 

 実際の時間としてはほんの数秒だったのだろうが、有栖には目を閉じている間がとてつもなく長いものに感じた。

 そうして何をされるのかと待っていると――

 

 

 ――バチンッ、と額に衝撃が走った。

 

 

「ヒャンッ!」

 

 突然走った痛みに、普段であれば絶対に上げない声を上げて驚く有栖。

 

「ッ~~!」

 

 額を押えながら、声にならない声を上げて身悶えしつつ、目尻に涙を溜めながら護に非難がましい視線を向ける。

 ()()()()した姿勢のまま悪びれることなく有栖を見ながら、護は淡々と口を開く。

 

「今、一瞬でも怖いと思ったんなら、男に対してそうやって揶揄うのは止めときな。その痛みは授業料とでも思うんだね」

 

 そう言うと、テーブルに向き直ってチェス盤を片付け始める護。

 その間も有栖はジンジンと痛む額を押えているが、護は構わず話を続ける。

 

「それと賭けの報酬だけど、今後俺に関する詮索はしないこと。

 少しぶっちゃけた話をすると、確かに俺は他の生徒とは少し違った目的で動いているけど、それに関して教えるつもりは無い。

 しいて言うならクラスに敵対しないことだけは約束するから、それでとりあえず納得してくれ」

 

「……もし、できないと……言ったら?」

 

「別にどうも。元々この賭けだって口約束だからな。破った場合のペナルティなんて設けてもないし、そこは有栖さんの自由意思に任せるよ。

 この勝負が有栖さんにとってどうでもいいものだったって言うなら、無視でも何でもすればいい」

 

 賭けの約束を反故にする。それは今の勝負そのものを侮辱する行為に他ならない。

 

「それと、今日はもう帰んなよ。実は昨日から徹夜でゲームしてたんでね。その上久しぶりに頭使ったから流石に疲れた。少し一人で休ませてくれ」

 

 そんなことを言う護だが、言う程疲労が溜まっているようには見えない。

 すぐに嘘だと察したが、その上で有栖は素直に頷いた。

 

「……仕方ありませんね。では、今日のところはこれでお暇します」

 

 有栖にしても、色々と情報を整理する時間が欲しかったところである。

 詮索はするなと言われたが、あくまでそれは行動の話。自分の中の考察の自由まで縛られるつもりは有栖には無かった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

「あー、今朝の任務よか、よっぽど疲れたわ……」

 

 有栖が帰った後の寮室にて、護はベッドに腰掛けながら呟いた。

 そんな護に対し、結界を解かれたパンダが床に座りながら声を掛ける。

 

「あーあ、あの子護がマジになるからちょっと怖がってたぞ」

 

「いいんだよ。これで少しは危機感も芽生えるだろ」

 

 護にとって、チェスは娯楽というより戦闘訓練という意識の方が強い。

 そのせいか、どうも護が本気でチェスをする時は戦闘時のような雰囲気になってしまうのだ。

 殺気を飛ばしているわけでも、呪力を纏っているわけでもなく、単に滅茶苦茶集中しているだけなのだが、相手からすれば得体の知れない凄みを感じるらしい。

 

 小学校の頃クラスメイトに誘われ将棋をした結果、相手を訳も分からず泣かせてしまったのは護にとって苦い思い出である。

 

「ていうか、いっそのこと呪術師のことバラしたらいいんじゃないのか?

 依頼人の娘だって言うなら、むしろ立場的にはこっち側に近いだろ?」

 

 呪術師は呪術規定により、一般人への呪術の秘匿が義務付けられているが、それは不特定多数の人間が知ることで社会に混乱を招くのを危惧してのことである。

 特定の状況下において限られた人間に知られる分には、そこまで厳しく咎められることはない。

 

 その点に関して言うならば、パンダの発言はもっともである。

 関係者に近しい立場故、事情を話せば理解してもらえる可能性は十分にあり、本人もクラス内での発言力が高いため、協力者になってもらえればかなり動きやすくなる。

 

 しかし護は、それを踏まえた上で首を横に振った。

 

「まぁ、それは俺も考えたけどさ。あの娘、呪霊の気配を薄ら感じてるっぽいんだよね」

 

「ん、それって何か問題か?」

 

「見えない人間が呪霊の存在を知ったところで、見えなきゃ居ないのと同じだけどさ、見えないけど感じる人間がそれを知ったらどう思うよって話」

 

 実のところ、この辺り護は理事長に確認を取っていたりする。

 父親であり、有栖と同じ見えないけど感じる側の立場の人間として、有栖に呪霊の存在を教えるか否か。

 その時は結局、知ることでかえって余計な不安を抱く可能性があるということで意見が合致した。

 

「んー、そんなもんか。

 まぁ確かに勘は鋭そうだったな。お前がお茶取りに行ってる間、見えてない筈なのに俺の方をチラチラ見てたし」

 

「マジで?」

 

 その言葉に、護は内心で危なかったと冷汗をかいた。もしも戻るのが遅れていた場合、目線を送るだけでなく実際に近づいて結界に触れられた可能性もあり得る。

 呪霊の気配を感じているのは知っていたが、まさか結界の存在まで感知するとは予想外。もしくはパンダの視線を感じ取ったのか。

 

「すまんな。どうやらあの結界じゃ、俺のマスコットオーラは消せなかったみたいだ」

 

「本気で悪いと思ってんなら、今度から大人しく『部屋』に入ってろよ。

 今度なんて機会作る気もないけど」

 

「あそこ殺風景だからやだ。パンダは寂しいと死んじゃうんだぞ」

 

「勝手に、世のパンダに間違った習性をプラスすんな」

 

 面倒臭そうにツッコむ護。その態度が今朝までより辛辣に見えたのか、パンダが疑問気に口を開く。

 

「……なんか怒ってる?」

 

「自分の胸に聞いてみたら?」

 

 有栖が居る時に散々おちょくってきたことを、護は忘れていなかった。

 

 護の言葉に対し、本当に胸に手を当ててわざとらしく首を傾げるパンダ。

 その態度を見ているとなんだかツッコむのも億劫になって、ボスンとベッドに倒れこんだ。

 

「……もういいよ。俺少し寝るから、何か連絡が有ったら起こしてくれ」

 

「まぁ、少し待てよ。寝る前に一つ聞かせてくれ」

 

「……なに?」

 

 真面目なトーンのパンダの声に、気怠さを感じながらも起き上がる護。

 

「お前とあの子の関係に関して、俺がとやかく言うべきじゃないのはわかってる。

 けど、これだけは無視できない重要な問題だからな。真剣に答えてくれ」

 

 誰が聞いているわけでもないのに、内緒話でもするかのように口元に手を当てて顔を寄せてくるパンダ。

 一体どんな質問が飛び出すのかと、護も僅かに緊張を滲ませながら向き直る。

 そしてパンダは深刻そうな表情で、重々しく口を開いた。

 

「お前って微乳派なの?」

 

「…………」

 

 護は無言で拳骨を落とした。

 

 

 

 

 





 なお、描写していなかったけど、今回パンダ君のテンションがピークになった瞬間。
 
 護君が坂柳さんの肩に手を置いた時。

 音頭を取るかのように、頭の上で手を叩いていました。そのせいで護君のデコピンに少々力が籠ってしまったり。



 活動報告でできるだけ早く投稿すると言ったのに、結局2週間もかかってしまい、申し訳ありません。

 今後の展開を考えた上で、ここで一旦坂柳さんと距離を置いておきたかったというのが今回書きたかった要点。


 チェスをして、坂柳さんに明確な差を見せつけた上で、少しばかり距離を置かせる。


 ただそれだけの内容だったのですが、要所要所でどう話を持って行ったらいいのかに悩んだ結果、こんな遅くに。

 あとチェス描写。一応今回チェス描写を書く上で、少しばかり勉強はしたのですが、言うて始めて一か月そこらの初心者の身。

 もしも展開が不自然に感じたり、チェス描写で見当違いな事を言ってるようでしたら、やんわりご指摘頂けたら幸いです。

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