村上信五くんと経済クン「前代未聞の新しい働き方改革を実践！話題のエビ加工工場」

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【“パプアニューギニア海産”とはどういう会社？】
パプアニューギニアの天然エビだけを扱っている会社。剥きエビやエビフライを作って販売している。ものすごく品質がよいので、パプアニューギニアの天然エビにこだわって、薬品や添加物を一切使用せず加工している。
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【パプアニューギニア海産 代表取締役工場長　武藤北斗さん】
1975年福岡県生まれ。芝浦工業大学金属工学科を卒業後、築地市場の荷受に就職し、セリ人を目指す。２年半後、父親の武藤優さんが経営する「パプアニューギニア海産」に就職。しかし2011年、東日本大震災で石巻にあった会社が津波により流され、大阪移住を決意。震災による二重債務を抱えて再出発。大阪では茨木市の大阪府中央卸売市場内で再建。2019年、加工食品棟老朽化等の芦有から工場移転、現在は隣町の摂津市に本社兼工場を備え、事業継承を行い、代表兼工場長となった。
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【パプアニューギニア海産の働き方】
⓵無断欠勤OK
→連絡は“したらダメ”ということにしている。休みを気持ちよく休んでほしいから。心も体もキツイから休むのに、連絡しないといけないのは酷。パートさんに関しての働き方だが、来ないといけない日数も決まっていない。しかしある程度のお給料が必要なため、みんなちゃんと来る。そのため工場全体の売り上げが減ったりすることはない。この働き方を実践して分かったことは、「自由に来ていい」となると、来なくなるのではない。ちゃんと来るようになる、ということ。出勤時間も自由で、帰る時間も自由。自由だからこそ、自分で考えて責任を持って働くようになる。

⓶嫌いな仕事はしてはいけない
→毎月アンケートをとって、主要な項目の“これはやりたくない”というものにチェックする。その作業は“してはいけない”ということにしている。実際やってみると、したくない作業は人によってばらけた。武藤さんは掃除が嫌い。だからこそみんなに平等に割り振っていたが、話を聞いてみると“掃除が好き”という人もいることを知り、それならやりたい人がやりたい仕事をやれば良い、ということで始めた。ただ、“嫌いなことに立ち向かって克服してこそ仕事だ”という批判的な意見もあった。しかし、やらされているうちはダメ。このアンケートは“やりたくない理由”を一切聞かない。だからこそ、やっぱりやってみたいと思ったら次からチェックを外せば良いだけ。いっぱいチェックしすぎると、一部の作業しかできないのでしんどくなる。自分でやる作業を決めることによって意欲が湧いてくる。このアンケートを取り始めてからエビの品質は向上した。食べ物には魂が宿るやめ、やりたい人がやるほうが美味しい商品が出来上がる。

⓷従業員は助け合ってはいけない
→パート同士は教え合ってはいけないし、質問もしてはいけない。社員にはしてOK。そうしないとヒエラルキーが生まれてしまう。“仲良くしないで”と言っている。安定した収入で、争いなく、心穏やかに働けることをみんなが求めている。それなら“仲良くしない”という方向に舵を切った。人間関係のストレスが出勤率にも関わってくる。まさに“思いやらない思いやり”。思いやっているからこそ適度な距離を取る。

⓸シールを貼ってエビがもらえるサービスを開始
→従業員じゃない人に「袋にシールを400枚貼るとエビ１パックサービス」というものを実施している。理由があって働けない人たちが一歩踏み出せるきっかけになればと始めた。中には、１度も働いたことのなかったがシール貼りをして「パプアニューギニア海産だったら働けるかも」とつぶやいた男性も。その後面接に来てパプアニューギニア海産で働いている。人を排除しない雰囲気は自分たちを強くする。
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【このような働き方改革に取り組もうと思ったきっかけ】
東日本大震災を経験し、「どうして自分は生き残ったのか」を考えるようになった。そんな中で武藤さんの土台は仕事だと思い、従業員の人たちがせめてこの会社を好きでいてほしいと考えるようになった。そして従業員の方にも話を聞いて、みんなが幸せになれるようにと考えて行き着いたのがこの働き方だった。
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自由だからこそ人は考えて動くのだな、と改めて感じました。村上さんがおっしゃっていたように、まさに「心に問いかける働き方」だと思います。興味深いお話、ありがとうございました！
坂口愛美