2022年10月6日(木)
豊見城市長選
“発達障害は親のせい”「親学」推進した自公候補
議会で説明
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沖縄県豊見城(とみぐすく)市長選(9日投票)で、「オール沖縄」の山川ひとし市政の打倒を狙う徳元次人候補=前市議、自民・公明推薦=には、“発達障害は親のせい”との特異な考えに基づく「親学」を推進してきた過去があります。
親学とは、改憲右翼団体「日本会議」の元政策委員、高橋史朗元明星大学教授が提唱する教育理論です。子どもが幼いうちは、母親が家にいて愛情を注いで子育てをしないと、脳の発達に影響を及ぼすとの主張が理論の根幹にあります。赤ちゃんは子守歌を聞かせ、母乳で育てることなどを提言しています。
同市議会会議録によると徳元氏は、2011年9月15日の市議会一般質問で「教育の原点は家庭にあり、教育の一義的責任は親にある」と親学の理論を説明しました。
親学の普及によって親の教育が変われば、発達障害や児童虐待が後を絶たない状況に歯止めがかけられると主張。親の教育に問題があるため子どもが発達障害になるかのように述べました。その上で、1歳6カ月健診の際、親学に関する冊子などを配布するよう求めました。
市側が配布の予定はないと答弁すると、徳元氏は「(親学を)推進していきたい。前向きな検討をしていただきたい」と迫りました。
親学普及の活動をしてきた「沖縄の教育を考える会」(20年に特定NPO法人の認証取り消し)のブログは、11年6月の沖縄県親学推進議員連盟の発足にあたり徳元氏が事務局長代理に選出されたと報告しています。
また、徳元氏を市長選で推す宜保安孝市議も、11年8月に開かれた親学アドバイザー認定講座に、徳元氏と一緒に参加したとブログで紹介しています。
本紙は、現在も徳元氏が親学を積極的に推進していくべきとする立場かどうかなどについて同氏の事務所に質問しましたが、回答はありませんでした。
家父長制的なジェンダー観
政策に女性への言及なし
“子どもが発達障害になるのは親の責任”とする親学。その特異性に注目しがちですが、同時に問題なのは戦前の家父長制的なジェンダー観です。かつて親学を積極的に進めていた徳元次人氏の政治姿勢にもその影響が表れています。
「子育ての責任は家庭にある」と説く親学。特に母親である女性に子育ての過大な負担を押し付け、家にしばりつけた戦前の家族観、ジェンダー観によって成り立っています。
市長選の政策から見えてくる徳元氏の女性への視点は―。37項目の政策を掲げながら、その中に女性への言及は一切ありません。
大規模な公園整備など子育て環境を前に進めるとしていますが、女性が子育てしやすく、働きやすい環境をつくることなどには全く触れていません。「男女共同参画」「ジェンダー平等」についても一言も語っていません。
また徳元氏は市議時代、インターネット番組で、山川ひとし市長が積極的に女性の管理職登用を進めていることを批判したこともあります。「男性の役割、女性の役割というのは、やっぱりあると思う」などと、家父長制的な男女の役割分業観を持ち出し、数値目標を掲げた女性の積極登用に疑問を呈しました。