3月27日の記者会見で、市長は、「認定子ども園基本構想策定委託料」が削減されたことと、「吉田町老人福祉センター条例を廃止する条例」が否決されたことについて、会派代表及び議員個人に文書を出したことを説明しました。



ただ、二つの案件が削減及び否決された理由は、「保護者、市民、事業者及び利用者等への説明に欠け、誠実な対応に欠けている」ことですが、市長はこのことに対する理解は全くないようです。

むしろ、「議会の対応や抽象的な反対理由」が問題であると主張しています。



市長が出した文書を見ると、次のような問題があります。


① 会派代表と議員個人に対して文書を送付しています。

② 会派代表と議員個人に、「議会基本条例に従い、論点を整理したうえで、課題の具体的な解決策を示してください」と要請しています。

③ また、会派代表と議員個人に、「議員は説明責任を負うため、予算の削減に賛成した、もしくは条例案に反対した全ての議員の見解を纏め、公表するよう求めます」としています。




それぞれの項目について検討していきます。


① 議会の議決は、市民の代表である議員が決めたことであり、市長がその議決について、特定の会派や議員に公文書をもってとやかく言ったり要求すべきことではありません。



市長は、「議決が不当である」と判断するのであれば、再議にかければ済むことです。

市長は、再議にかけない以上、議会の決定にしたがって、事務や事業を処理するのが、地方自治法のルールです。市長は何か大きな勘違いをしているようです。


② 議会基本条例のどこを読んでも、「予算の削減、もしくは否決した議案について、議員が具体的な解決策を市長に示す」ようには書いてありません。

どこをどう拡大解釈すれば、市長が主張する見解になるのか教えて欲しいものです。



議員は、市民の代表として議案に対する判断を下したのです。

市長は、その判断を受けて、「具体的な解決策」を検討し、実行すればよいのです。

市長は特定の議員に執行権の下請けでもさせるつもりなのでしょうか。



③ 市長が勝手に文書を送りつけた特定の議員に、どうして「予算の削減に賛成した、もしくは条例案に反対した全ての議員の見解を纏め、公表する」ことを要求することができるのでしょうか。

市長がこんなことを議員に要求する権限が、どの法律もしくは条例に規定されているのでしょうか。

そんなことはどこにも定められていません。

市長は、「二元代表制の何たるか」も理解していないようです。



個々の議員が議会で取った行動については、議員の責任で有権者に説明するのが筋です。

市長がとやかく言うことではありません。
 


市長は、インターンシップで安芸高田市に来た学生を記者会見場に並べて、この説明をしていました。

大学で地方自治法の講義を受けた学生は、市長の小理屈をどのように聞いたのでしょうか。

聞いてみたいものです。



市長の議員への対応は、「子どものけんか」の類(たぐい)です。



お前らが反対して、わしの計画が潰れたんじゃケー、今度は、お前が「どがにーするか」考えを出せ。

お前に付いて反対した者の考えもまとめて出せ、ええか。




子どもの小理屈ではなしに、地方自治法の原則や規定、安芸高田市の条例によって、行政をやって欲しいものです。見苦しいにもほどがあります。



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