本会が市長のABEMA TV出演に支出された旅費の返還を求めた住民監査請求は、却下されました。



議会選任の監査委員がバリバリの市長支持議員ですので、期待はしていませんでしたが、却下理由には唖然としました。

その要旨を紹介します。



1.監査委員は、市の弁明を次のようにまとめています。


ABEMA TVから市宛の文章で、安芸高田市長石丸伸二への出演依頼がなされ、これに応じる形で、市長自らが出演を決定した。

よって、市としては、本件出張を公務として整理し、(中略) 当然に旅費を支出したに過ぎない。

《公務性も検討せず、市長の命令により淡々と事務が進められていることが分かります》



2.これを受け、監査委員は、次のように事実を確認したとしています。


① 出演依頼は市宛になされたものであるから、公人たる安芸高田市長石丸伸二の立場での出演である。

② 番組での市長の発言は、依頼者が設定したテーマ等に基づき、市長の責任においてなされた。



《依頼者が市宛に依頼し、市長が決定すれば、公務になるのですか?》

《市宛にトライアスロン参加の依頼が来れば、公務になるということですか?》

《市長の発言は、市長の責任で、市としては関知しない》





3.さらに、「公務性」について、次のように認定しています。


① 市長は、「市の特産品」、「プレミアム商品券」、「市長の議会での行動(議場で礼をしない)」について触れており、「公務とは全く関係ない」とはいえない。

② 他の3自治体の首長も「市長」として紹介されており、(中略)一般の視聴者も「公人たる市長」として出演していると客観的に判断している。



《本題の合間に触れた「市の特産品」と、自分の主張を補完するために触れた「議場で礼をしない」こと、よその自治体の「プレミアム商品券」の話をすれば公務になるのですか?》

《招待を受けたトライアスロンの合間に、安芸高田市の話をすれば、公務になるのでしょうか?》

《市長と紹介されたら、全て公務になるのですか? 市長と紹介されているので、視聴者も市長として見るのは当たり前、市長として見てもらったら公務になるのですか?》




4.また、地方自治法から次のように解釈しています。


① 同法第149条の首長の役割「住民の福祉の増進を図ることを基本として、 (中略) 行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」の趣旨を体現したものと解する。

② 相手方との有効、信頼関係の維持増進を図ることを目的にすると客観的に見ることができる。

③ 市長は他の自治体の長と忌憚なく話せる関係を構築することが、いずれ本市の困難な状況を解決するための一筋の光明になる可能性も十分考えられる。
 


《市長の役割を、広げた典型的な理屈です。「他の自治体の長と忌憚なく話せる関係を構築することが、いずれ本市の困難な状況を解決するための一筋の光明になる可能性も十分考えられる」そうです。このために市長は、ABEMA TVに出演したのか!! やっと分かりました。》



なお、何の根拠もなしに、市の弁明書だけで、ABEMAからは、金銭の受理はしていないと断定しています。



以上、住民監査請求の却下理由を紹介しましたが、全く論理性が欠落していることに、市民の皆さんも驚かれたことと思います。



なお、ABEMAから市宛に来た文章を添付します。



「企画の概要」、「NewsBAR橋下とは(番組紹介)」は、なぜか黒塗りにされています。

なぜ、黒塗りにする必要があるのでしょうか。

何か不都合なことが書いてあったのでしょうか。

不可解で疑惑が深まります。



なお、本会としては、本件について広く市民の皆さんに知っていただいたことから、住民監査請求の目的は達したと判断し、住民訴訟を提起しないこととしました。