私が現代ラノベを嫌いな理由

タイトルまんまである。
 私は最近のラノベが嫌いだ。おそらく偏見の目で見ていると言っても過言ではない。悪いテンプレのフィルターを通して見ている、その自覚はある。

 自覚があるだけに、克服したかった。
 SAO(アリシゼーションまでは読んだ)やB.A.D. 、“文学少女” は大好きなのに、何故自分は最近のラノベ系が嫌いなのか。実は食わず嫌いなのではないか。
 それを知る為、本屋で適当に手に取ったラノベを購入し、読了した。なんとか。

 なんとか。そう、読破するのに努力を要した。
 それは読書が苦手とか時間が取れなかったとかそういう理由ではない。
 読み進めるのがつらかった。途中で何回も「もう読まなくていいかこれ」と本を置いてしまったのだ。

 タイトルは全方面へ失礼に当たる可能性を考え記述しないが、今回私はその本を読んで感じた事をもとに・苦手な理由を列挙する為、勘のいい方は察しがつくかもしれない。
 その場合は、コメントなどに残さず、どうか心の奥底にしまっておいて欲しい。

ラノベが好きな人からして、私の述べる意見には賛否両論あるだろう。

本当、どうか、頼むから気にしないで欲しい。

 この記事はクソオタクが積年吐き出す場所を持たなかった為に語気が強くなった愚痴の塊だ。
 同じような思考を持つ者がいれば、否、いなくても良いから吐露したいだけの不愉快な日記だ。

 私はただ自分が苦手なジャンルについて思った事を語るだけで、あなたの好きな作品自体を貶しこき下ろす気はない。
 私が挙げる項目や展開に、あなたの好きな作品が該当していたからといって、あなたの嗜好を否定する意図は断じてない。
 あなたはあなたの好きなものを全力で楽しんで欲しい。別々の場所で暮らそう。勝手に顔出したくせに文句まで言って本当にごめん。

本題。

【納得できない疑問が多い】

選んだ本が悪かったのかもしれない。

 該当作品の主人公は、ゲームが好きな男性の青年だ。ゲーム内での “成長” は現実世界と違い、数値という形で目に見える、そこが好きらしい。
 この意見を聞いて分かる通り、主人公は現実世界のような『成長を実感しにくい努力』が嫌いだ。

 ひょんなことから主人公は異世界に赤子として転生した。その世界では人の敵わないドラゴンやモンスターがはびこり、生活圏はひとまず安全ではあるが、自由は利きにくい。主人公の人格はそのまま保たれている。現実世界で言う小学生ほどの年齢に達した頃、将来のために鍛錬を積んで置かねばと木剣での素振りを始めた。
 ある日彼は、その素振りが功を奏し、転生した異世界にも『数値的な目に見える成長』の概念があると知った。それ以降、大喜びで邁進するようになる。

お分かりいただけただろうか。

現実世界のような『成長を実感しにくい努力』が嫌いでゲームに逃避する青年が、
まだ『数値的な目に見える成長』の概念があると知らないのに、
将来を思って木剣を振り始めるのである。

いい歳こいて「数値的に成長がわからないから現実世界の努力は嫌だ」とか言ってるやつが異世界に転生したくらいで将来の為を思って行動できるわけないだろ。

 これで主人公の異世界での生まれが貧民街の孤児だとか、明日をも知れぬ戦乱の世だったら納得できる。命の危機に瀕すれば流石に筋金入りの不精も変わるだろう。
 だがそんな注釈はない。国全体の文化レベルは低くないし、食い扶持に困っている家庭でもない。(と言うより家庭環境周辺に関しては記述が無いので、特筆されていないという事実や主人公の言動からかろうじてこじつけレベルで推察するしかないのだが)
 『成長を実感しにくい努力』が大嫌いな人間が、どうして将来の為を思って剣を取れるだろうか。

 重箱の隅をつつくような話に聞こえるかもしれないが、何も『納得できない疑問』はこれに限った話ではない。これが1番わかりやすかった事例なだけで、同じようなモヤモヤは全編にわたって散見された。
 少し読み進めるたびに新たな疑問が浮上する。そして疑問が解消される事はない。都合の悪い部分は全て “そういうもん” で終わる。

 読了後、没頭した満足感ではなくストレスと疲労に満たされたのは、これが大きいかもしれない。

【登場人物ほとんど不快】

選んだ本が悪かったのかもしれない。

 大抵の小説は、読み進めると登場人物のことがなんとなく掴めてくるだろう。こう言ったらこう返して来そう、という推測がある程度立つ。
 それがあるからこそ、「えっ、この人にそんな事言っちゃって大丈夫?!」というハラハラが物語を面白くさせたりするし、嫌な予感がページを繰る手を震わせたりするわけだ。

該当作品については、これが全く無かった。

「何故その立場の人間がこの人にそんな態度を……?」「君は一体何様?」「あなたが何を考えてるのか全然わからない」のオンパレード。(ちなみに「何様?」は主人公に対して両手の指で数えきれないほど感じた)

分かりやすく色々な言葉を変えると、例えばこんな具合だ。
 A子という女学生がいた。その子は家柄も育ちも申し分なく、生徒会を務めている。A子は幼い頃B男に助けられ、以来ずっと憧れており再会を夢見ている。
 ある日、B男の弟子という立場の主人公が現れるが、その主人公というのが失礼千万な奴で(これについては否定のしようもない)そんな輩はB男に相応しくないと怒り猛り、A子は私刑なまでに攻撃を仕掛け、あまつさえ窃盗にすら及ぼうとする。

びっくりしちゃうだろこんなの。

 家柄も育ちも良くて、生徒会まで務めているマドンナ的な存在が、後先を何も考えず短絡的に激情に身を任せてしまうのだ。A子にとってB男の存在はそれだけ大きいのは分かるが、主人公に危害を加えた事実が主人公からB男に伝わったらとか考えなかったのだろうか。そもそも、この程度の妬み嫉みで爆発する子がよくもまぁこれまでマドンナの位置を守って来られたなと思う。それだけ地位を脅かされた経験が無かったという事だろうか。
 っていうか窃盗って。彼女の中では論理的に成立している行動なんだろうが、彼女の外にある法治国家はそうは思わないだろう。生徒会の名が泣くぞ。

 これ以上は語ると長いので省くが、B男もB男で、憧れる要素など微塵もない最低な大人だった。この作品にまともな思考回路の持ち主はいないのか。(後半にひとりだけ良心がいた)

 そんな具合で、登場人物たちへの理解を深める事が全く出来ずに話が進み、読者の自分だけがその世界についていけず、先を知りたい高揚感というものを1ミリも感じられずに終わった。

【共感できない】

そもそも、おそらく当方のようなタイプはこの手の現代ラノベのターゲット層として想定されていないんだろうとは思った。

 当方は二十代前半、ジャンプ系や重い話・作り込まれた世界観・鬱展開が好き、オタクとしての楽しみ方はいわゆる女性向けに括られる分野を嗜む方が多い。
 対してこの手の最近のラノベは、大別すると男性向けである事が多いし、主人公にさほどの苦難は降りかからず、世界観は読者の共通認識に頼る所が大きい。むしろそれが売りなのだろう。

 そうなってくると、必然的に作品を好きになる機会は少なくなる。その上で、どうしても飲み込みきれない要素が畳み掛けてくる。

 現実世界では才が振るわなかった男が、大得意なゲームの知識を活用し、労せずして異世界で無双する。社会性の無さを開き直り協調性のかけらも無い人間を、主要人物たちは大した時間も理由もなく好ましく思い、何故か側にいたがる。
 他人を尊重する意思がまるで無い主人公を特別視し「お前の良さを俺は分かっている」感じで贔屓する偉人、世界観はわやわやな反面・容姿の事になると途端に饒舌になる描写、自己中心的な言動がコミュニティから排斥されるレベルなのに周囲に対し異様に高圧的になれるその自信は一体どこから来ているのかと頭を抱えるレベルの人格(主人公)

こうであったらいいな、ということなのだろうか。これが。本当に? 

 それでもこの作品は人気らしい。出版されてるくらいだし。
 つまり火を見るより明らかに、私とジャンルで需要と供給が一致していない。

 もうこれは苦手とかの部類ではないのだと気付いた。アレルギーか何かだ。世間一般には美味しいとされているが、私の体にはどうしても合わなかった料理。
 当然、食材や料理人に罪など何もない。苦手だと分かっていた食材を自分で選び、自分の責任で食べ、嗜好に合わなかっただけ。

 これはただの愚痴だ。主観的で偏見に塗れた愚痴。ヤマもオチもない、文脈も稚拙な、私が現代ラノベを嫌いな理由。言葉選びで不愉快や思いをさせていたら申し訳ない。

 もしあなたにとってオススメのラノベがあれば教えてほしい。合う合わないはあれど、是非読んでみたい。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。
私が現代ラノベを嫌いな理由|文