石丸政治とポピュリズム

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前回の「通信」の後段で少し触れましたが、石丸政治は、自分の意に添わない議員集団に対してツイッターで攻撃を繰り返し、改革姿勢を前面に出したパフォーマンスに走る政治手法から、以前から非常にポピュリズム的傾向が強いと感じていました。



そこで、Wikipediaで「ポピュリズム」を調べると、参考になることがありました。



ポピュリズムの定義については、曖昧さがあり、論争にもなっているようですが、政治学者吉田徹氏は次のように言っています。



古今のポピュリズムの事例に共通するものとして一般的に指摘されるのは、

②  政治・経済・文化エリートに対する異議申し立てであること。

② 主権者として代表されていない「人々」を顕揚(けんよう)すること。

③ カリスマ的な指導者が扇動すること。

とされ、誰が「エリート」と「人々」に数えられるかは、その時代や国の文脈に応じて変化する。




この指摘された項目を、石丸政治に引き寄せてみると、


① 市長は、自分の意に添わない議員を、「政治再建に障害となる者」と見立てて攻撃しています。
議員は決してエリートではありませんが、「阻害要因」として、異議を申し立てる存在に仕立て上げています。

② 市長は、明確には「顕揚する集団」を設定してはいませんが、若い年齢層を「人々」に見立てていることは、間違いないでしょう。
特に、この間の言動からして、ネット市民を意識していることが見て取れます。

③ 市民は、とても市長を「カリスマ的な指導者」と見ているとは思いませんが、中には、高学歴、大手金融機関勤務の経歴から、「優秀な出来る市長」という幻想を持っている市民が存在することは否定できません。
また、市長本人も、「自分は優秀である」という強い自意識を持っているものと推察されます。



こうして、各項目を検討してみると、石丸政治は、驚くほどポピュリズム的傾向を持っていることがわかります。


また、「日本での特徴」として、Wikipediaでは次のように記述されています。



日本では、「複雑な政治的争点を単純化して、いたずらに民衆の人気取りに終始し、真の政治的解決を回避するもの」として、・・・(中略)・・・(行政学者)村上弘によれば、「個人的な人気を備えた政治家が政党組織などを経ずに直接大衆に訴えかけることや、単純化しすぎるスローガンを掲げることを指す」とする。



ここまで読み進むと、石丸政治は、「日本のポピュリズムの特徴」を完璧に表現したものであることがわかります。



[注]  顕揚とは 世間に威光や評判などを広め高めること。
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