うおっ乳デカいね♡ 違法建築だろ 作:珍鎮
メジロ家の屋敷で無事に復活を果たした俺だったが、結局あの後はすぐに病院と警察のお世話になった。
俺を秋川葉月だと認識するよりも前に、男性に抱き着かれているタマモクロスを発見したメジロマックイーンが通報してくれやがったおかげである。すごい迅速な対応で美人ですよ♡ 遺憾のイだぜ。
その後、この数日間は完全に行方不明者として扱われていたため怪我や体調はもちろん、何より失踪の理由を細かく聞かれた──のだが、とりあえずは全部
つまり『何も覚えてないです』の一点張りをした、という事だ。
記憶喪失だったこと自体は嘘ではないが、なにより怪異だのショタ化だのとワケの分からない事情を話したところで信じてくれる大人なんて樫本先輩以外にはいないので、こうして誤魔化した方が早く済むと思ってそう振る舞ったわけだ。そして実際それで事件は終わった。
もちろんトントン拍子でスムーズに事が片付いたわけではなく、正確に症状を調べようとしてくれる医者や、明らかに事件性がある今回の騒動について諸々を知りたい警察を相手に嘘八百で立ち向かうのは苦労したし時間もかかったが、とにかく俺に関してはストレス性の一時的な記憶障害という事で一旦は解放されたのであった。
──で、現在。
「お世話になりました、タマ先輩」
「……う、うん」
俺は音楽フェスもかくやと言った人混みで溢れている駅構内で、この怒涛の数日間をずっとそばで支えて続けてくれていた愛するお姉ちゃんママが改めて大阪へ帰省するのを見送りに来ていた。良かったら家戻る前にお茶して行かないかい。
「本当に……マジで心の底からありがとうございました。先輩がいなかったら誇張抜きに死んでたと思います」
「も、もう……ええよ、気にせんといて。ウチはウチでやりたい事やっただけやし──」
俺が感謝を示すべく社会人生活で役に立ちそうなレベルの深いお辞儀をすると、先輩は優しくポンポンと頭を撫でてくれた。今日も鷹揚でセクシーだね。バストサイズ増えた?
「まっ、でもハヅキ君はどうしてもお礼したいって言うとるし、ウチがこっちに戻ってきた際はコキ使わせて貰うわ。覚悟しといてな」
「はい、任せてください。なんでもします」
「ふふっ……ええんか? そんな簡単に『なんでも』なんて言うて」
「します」
「えっ」
「絶対になんでもします。
「…………ぅ、か、考えときます」
めっちゃ真剣な表情で見つめたらタマちゃんが照れてそっぽ向いちゃった♡ いつも視姦してましたよイライラさせやがって。こっちもちょっと蒸れてて申し訳ない。
「んじゃ、そろそろ行くわ。次に会うときは年明けかな」
「いつでも連絡してください。たぶん暇してるんで」
「……きみ、結構忙しいタイプの人やと思うけど」
そうかな。そうかも。そういえばクリスマス以降失踪してたから現国の課題とかやってねえや。
「まぁ溜まってるものは気合いで消化しますよ」
「ん、いや交友関係のことな。あの屋敷におって分かったけど、きみウチにばっか構ってられへんやろ?」
そうかな。そうかも……。
「で、でも、先輩の為なら全然時間なんて作れますから。ほんといつでも何でも言ってください」
「……ふーん? ……じゃ、急にウチが『学校サボってデートしよう』って言うても?」
「もちろんです。サボってしましょう、デート」
「っ!?」
あっ、からかいにカウンターしちゃった。デート以上の事もウェルカムですよ。一生愛し抜きますからね。
「……も、もう! 体が戻ってからのハヅキ君なんか生意気っ」
「あたっ」
タマちゃんが小突いてきた。恋人のつもりか?
「ごめんなさい」
「はぁ。……まぁ、きみの気持ちも分かるけど、今はウチのことは一旦忘れてちゃんと周囲を見たってな。ハヅキ君を心配してた人は両手じゃ数えきれんほどおるんやから」
それは確かにそうだ。命の恩人であるママクロスに恩を返したい気持ちは溢れんばかりだが、それはそれとして府中にいる友人や大人たちを疎かにしてはいけない。結果はどうあれ行方不明になって心配かけたのは事実なのだから。しっかりね。むんっ。
「はい、ちゃんと気をつけます」
「なら良し。……それじゃあ、今度こそ行くわ! よいお年をっ!」
「ええ、タマ先輩も良いお年を。……本当にありがとうございました」
俺の返事に対してニカッと太陽のような笑みで返してくれたタマモクロスは踵を返し、年末の大混雑な駅構内の中へと消えていった。最後に好きです愛してますって付け足しとけばよかったかな。
「……いくか」
偉大なる夜空に輝く天上の星にしてママ先輩お姉ちゃん様を無事に見送り、とりあえず目の前のやるべき事が無くなった俺は、ようやっと自分の意志で次の行動を選択して足を動かすのであった。
◆
「…………やよい?」
「却下」
「いや……却下も何も」
「却下」
やよいが正面からくっ付いている。
──何があったかと問われると、答え自体は至ってシンプルだ。
自分の家に帰った。
それだけだ。
で、そこには愛し懐かしの従妹の姿があり、帰って居間に入った瞬間に彼女が抱き着いてきて──現在に至るというわけだ。
「諦めなさい葉月。これでも理事長……やよいさんは我慢している方よ」
俺のお腹に顔をうずめたまま何も言わなくなったやよいの肩に手を置くと、逆に後ろから樫本先輩に肩をつかまれた。何もするな、という事なのだろう。
あのメジロ屋敷で通報されて以降、病院や駅を移動していた俺のそばには
で、つい先ほど彼女の運転する車で自宅へ帰ってきたのだが、結果はこの通りやよいちゃんアーマー装備という流れになったわけだ。ご心配おかけしました。結婚しよう。
「うえええぇぇぇえええん」
あ、やよいダムが決壊した。
「ごめんて。本当に悪かった」
「うっさいバカぁ……しんじゃえぇ……」
「……葉月? 一応聞いておくけれど、大きな怪我はないのよね?」
「あ、はい。デバフくらったステータスも時間経過で戻りましたし、日常生活に支障はないかと」
泣き泣きやよいちゃんの背中をさすって宥めつつ一旦座り、樫本先輩にクリスマスから今日までの数日間の出来事を事細かに説明していく。
「……そう。あのタマモクロスさんが助けてくれたのね」
「あの、って……タマ先輩のこと知ってるんですか?」
「もちろんよ。白い稲妻……彼女はサイレンススズカたちが台頭する以前の、いわゆる前シーズンのトゥインクル・シリーズで活躍していた一線級のウマ娘。有馬にも出走している本物のアスリートよ」
自宅にトロフィーや賞状があったのは確認していたが、本当にマジで激ヤバ最強ウマ娘だったんだなあの先輩……。お嫁に欲しいかも。
「──っ? やよい?」
「ぐすっ、ううぅー……葉月ぃ」
「どした」
「さっきのウソ……しなないでぇ……」
「死ぬわけないだろ。大丈夫だから」
「あうぅぅぅ」
頭をグリグリ押し付けてくるやよいを宥めつつふと時計を確認すると、時刻は間もなくお昼を迎えようとしていた。
──さて、これからどうしようか。
こうして身体と記憶は無事に戻ってきたわけだが、だからといって全部が元通りになったわけではない。
ドーベルやサイレンスは俺が戻ったことをある程度は知っているものの、流れでメジロ屋敷を後にしたため身体が戻った後はまともに話していないし、あの屋敷で休ませていたマンハッタンとは府中に戻って以降終ぞ一言も会話していない。
まずは連絡と情報交換から、だろうか。
有馬の日に一緒に戦ってくれたゴールドシップたちや山田の事も心配だ。
そちらに顔を出しつつ、最終的には先生と協力してあいつを迎えに行く算段をつける──これだな。
とりあえずはバチクソ心配かけさせまくった友人各位に謝り倒さねば。話はそれからだ。
「葉月っ! お風呂ッ!!」
しかし俺の戦いはこれからだ。
「一緒に入るのか……?」
「え? うん」
もう数年以上は一緒に入ってない、というかそういう年頃ではなくなったのに、やよいは構わず俺の手を引いてくる。おいやめろエッチ! 何でもないよ。よくできた同居人だね。女としてシゴデキでしかも美しくて言うことないよ。魔女め。
「せ、先輩……」
「あなたも大変だったのは知っているわ。その上でやよいさんの心労も理解してあげて欲しい、というのが私の意見です」
「それは、そうなんですけど……」
樫本先輩の言うことは尤もであり、どちらかと言えば有馬の日に相談なしで戦った俺の方に非がある。
なので基本的にはやよいに従いたいのだが、これはいいんだろうか。
そうしてまごついていると、ずんずんと近づいてきたやよいが俺の腕にくっ付いてきた。なに? 多少のふくよかな感触はスケベですが……。
「ほら、いこ。
タマモクロスに魂魄を分け与えた方法がキスだった事以外はマジで詳細にほぼすべてを語ったのであらゆる事象を把握されてる。そして言い返せない。大ピンチ。
「いや、でもなやよい。あいつらと入ったのは事故みたいなものだし、なにより事情を知っている相手はしっかりタオルやら水着やら身に着けてたんだ。お前それは?」
「だってお風呂だよ? 付けるわけないでしょ」
「俺たちもう子供じゃないし……」
「……それ以上ウダウダ言うなら理子ちゃんも一緒に入ってもらいます」
おい禁止カード使うな。レギュレーション守って。
「先輩っ! こいつヤバいこと言ってますよ!」
「やよいさんが望むなら致し方ないわね……」
あ、もしかして味方がいない?
「……わ、わかった。一緒に入ろうやよい。先輩は居間でゆっくりしてもらって──」
「あ、理子ちゃん。いいって」
「分かったわ。荷物から着替えを出すから先に入っていて」
今の俺の言葉がどう曲解されたら三人で風呂に入ることになるんだよオイ待てごめんなさい待ってください♡ すけべな女たちだなぁムカつくなぁいっぺんイッて気絶しとけ。
タマモクロスの時と言いどうしてこういう流れになるのだろうか。もしかして原因は逆に俺の方にあるのか? サポートカード秋川葉月の効果:入浴イベントの頻発。
「……疑問。葉月はどうして目を閉じているの?」
「自分の胸に手を当てて考えてみてくれ」
「とりあえず前からお胸を洗うね。よいしょ」
「ひゃんっ♡ おい!!!!」
とりあえず風呂場まで移動した俺たちであったが、やはりこのままでは倫理的にマズいという事でタマモクロスの時と同様に腰にタオルを巻き瞼を閉じ切っている。
なんなら服を脱ぐ段階で既に目を閉じていた。俺は何も見ていない。
「あら、やっぱり三人だと狭いわね」
そして乱入する樫本理子。多勢に無勢にも限度があるだろ。
「結託ッ。樫本トレーナーは背中を頼む」
「はい。承知いたしました、理事長」
「もしかして俺が自分で洗うっていう選択肢は無い?」
どうやら彼女たちは年齢や性格が異なっていても俺という相手に対しては無類の強さを発揮できるベストコンビであったらしい。最強の二人。
「ね、ね、葉月」
「どうしたやよい」
「理子ちゃんは今、タオルを付けてると思う?」
うひょ~何だそれイケズな女。目を閉じてんだから分かるわけねぇだろ。俺の心臓で耐久テストを実施するのはやめてもらって……♡
「先輩、大人として普通にやよいを叱ってください」
「ここに入った時点で私も誰かを叱責できる大人ではないわ」
「……あの、それなら状況だけでも教えてください。流石に付けてますよね」
「さて、どうかしら。目を開ければ分かるのではなくて?」
シュレディンガーの理子。
「マジで泣きたくなってきた……」
「理子ちゃん、葉月が女二人に挟まれながら身体を洗われて感動しそうだって」
「ふふ、無理もないわね。……お客様、お痒いところはございませんか?」
あるに決まってるだろ全身が疼きまくりだよエロ女どもめ。そうやって後ろから胸を押し付けてハングリーなイキ精神見事ですが……。ていうかこの感触的にタオル付けてるね理子ちゃん。初心でかわいい~♡
「ちょ、なんか二人とも今日は様子が変じゃないですか。ヤリすぎですよ。そろそろひっくり返りますよ俺」
「……そう」
ついに三つある堪忍袋の尾が切れかかった俺がよくわからん脅しを零すと、反応したのは後ろから柔らかいボディスポンジでいかがわしいお店のロールプレイにしか思えない行動をとっている現職トレーナー女性のほうであった。
「──この府中に戻ってきて途中から参加した私には、多くを語る資格はないけれど」
そこで聞こえてきたのは心臓に鋭く届くようなハッキリとした声音だった。え、マジ? この状況でシリアスな雰囲気を醸し出せると考えている?
「それでも……あなたの心配くらいはしてもいいでしょう?」
「い、いえその、心配していただけるのはもちろん嬉しいんですが……」
「……本当に心配だった。仮にも大人である私がこんな事を言ってしまうのは良くないかもしれないけれど……怖かったのよ」
ぬるぬるグッチョグチョの泡で文字通りのソーププレイをする手が前も後ろも止まり、二人して完全に独白タイムに入っている。
それは別に構わないのだがこの状況で喋ることでもない気がします。
「……普段の状況で話してもあなたは自分を卑下してはぐらかすでしょう。こうして逃げ場のない状態を作れば、ちゃんと聞いてくれると思ったの。……少し強引だったわよね、ごめんなさい」
そういうことか……そうだったのか……点と点が繋がったわ。許さんぞ……! 巧妙なマゾ雌ガール♡ 頭脳明晰でタイプだよ。
「あの日、抜け殻になった葉月の服を見たときに後悔したの。あなたがこうして戻ってきてからも、今だってずっと不安で心がいっぱい」
耳に張り付くような湿度を帯びた声で呟く樫本先輩は、その手からボディスポンジを離し──そっと俺の背中に抱き着いてきた。そこはかとなくイク。こんなデカパイぶら下げてこれまで威力を発揮したことが無かったのか。我が国の逸失利益は計り知れないよ。
「今はこんなにも近くにいて、背中から優しい体温を感じられるのに──明日には手の届かない場所へ消えてしまっているかもしれない。それが怖いの。私があなたを守ろうとしても、その何十倍もの人々を守ろうとしてあなたは幾度も傷つき続ける」
混乱する頭の中で必死に先輩の言葉を咀嚼してはいるのだが、それはそれとして状況がセンシティブすぎるため集中できず、結局どっちつかずになってしまっているのが現状だ。
美人な女二人にサンドイッチされてなお冷静にシリアス顔してシリアスな話に集中するにはあと98パーセントくらい主人公適性が足りていない。エロゲ等の主人公さんたちを心の底から尊敬した瞬間であった。人間じゃない。
──本当に僅かだけ理解できたことは、彼女たち二人が心の底から秋川葉月という人間を案じてくれているという事実のみだ。
「正直に言えばもう危険な事はしないでほしいし、私たちのそばから離れないでほしい」
「それは……」
「わかっているわ。世界が葉月に何を求めているかなんて。……それでも、幼い頃からやよいさんとあなたを見てきた私にも、言えることはあると思うの」
一拍置いて、彼女は続けた。
「
「先輩……」
「お願い、葉月」
──そんなことを言われてしまったら、俺のダサいカッコつけなど無意味になってしまうではないか。
「わかりました」
「っ!」
元からスーパーヒーローのような自己犠牲精神は持ち合わせていないのだ。現にタマモクロスという本来は無関係な少女にまで協力を仰いでここまで戻ってきた。
だから、巻き込まれてもいいと覚悟してくれた相手なら、それはもうお嫁さんになってもらうレベルの勢いで巻き込ませてもらうつもりだ。
「口で言うのは簡単なので……行動で示します。マジでバチクソ頼りまくります。……俺にも先輩が必要です」
「……そう」
とはいえ半端な気持ちのスケベは許容しかねますよエッチなお姉さん。そろそろ背中から離れてくれないと真剣に俺の真剣が御物相当の宝剣にレベルアップしてしまう。抜刀まで秒読み。
「……ふふ。まぁ、そうね。行動で示してくれたら、それが一番嬉しいわ。……ありがとう葉月。私を必要と言ってくれて」
それなんか俺の方が立場が上みたいな物言いになってませんか。それとも俺に貰われる覚悟がいよいよできたのかな。寝間着はレオタードですよね?
「うーん……言いたいことはだいたい理子ちゃんが全部言ってくれたかな」
「やよい」
「ん、別にもうとやかく言ったりはしないよ。私も理子ちゃんと同じ気持ちだったから、頼ってくれれば……手の届く場所にいてくれたら、それでいいから」
「……悪い」
まぁ流石に守りたい人が多い自覚はあるので、それを許容してくれるこの二人には本当に頭が上がらない。
片や世界で最も愛している家族で、片や俺を人間にしてくれた人生の大恩人だ。
彼女たちがそばで支えてくれるだなんてチート級の支援があるのであれば、もうワガママを喚いていい理由なんてのは微塵もありはしないだろう。
真剣に、誠実に向き合っていこう。もう俺とあいつだけの身体ではないのだから。むんむんっ。
「そうだ、あと一つだけ」
「っ?」
必死に穏やかな雰囲気を演じて興奮をひた隠していると、両足の間に座り込んでいたやよいが思い出したように声を上げた。……あ、いつの間にか目ぇ開けちゃってた。やよいもタオル巻いてた。ていうか近くない? あ~このもち肌たまんねぇ良い匂いもするし生粋のいい女。
「これはトレセンの理事長としてだけど──あの日、有馬記念に臨むウマ娘たちを守ってくれてありがとう。……えと、だからってわけじゃないけど……私、やっぱり葉月のこと大好き。えへへっ」
柔らかい声音でそう告げたやよいは、まさに花が咲いたような笑顔であった。いつもの凛々しい理事長や、限界を迎えて幼児退行したあの時のようなフニャフニャな笑い顔でもなく、秋川やよいという一人の少女が見せる心からの笑顔こそがコレなんだなと、俺は勝手にそう感じた。
こうして膝の間に座っていなければ、きっとそんなエモい感じで解釈できた。美女美少女サンドイッチで俺はただただエロい気持ちでいっぱいであった。自分に正直になろうよ家族になろうよ。
「……さて、じゃあそろそろ湯船に入ろっか」
「いや流石に三人で入れる大きさじゃねえぞ。一人暮らしアパートの浴槽なめんな」
「ギリギリ入るって。じゃあ理子ちゃんが一番後ろで、間に葉月で前が私ね?」
「ええ、では先に入るわね」
「三人だとお湯がほとんどなくなっちゃいますって!」
「いいからいいから。ほら寒いから葉月も早く入って。で、私が葉月の膝上~♪」
そんなこんなで流れのままに三人で狭い浴槽にインしたお。前も後ろもフワフワで俺のキカン棒も収まりがつかないってもんだよ。トレーナーとしてね。こうなったら俺がなでなでして慰めてあげるからね。俺優しいから頼もしいから。ほらお茶の間に向けてピースしろ。
「ふふ、狭いわね」
「だから言ったじゃないですか……」
「いいじゃん、滅多にない機会なんだしさ」
おいあまり俺を舐めるなよ。甘ちゃん三葉虫。
「……葉月、お顔が赤すぎるよ」
「この状況を俯瞰して見てくれ」
「うーん……流石にコレはそういうお店っぽいかも?」
めちゃいい理解力です♡ この勢いでお店を開こうと思っています♡ 名前考えたんだよ。ちんちん亭とか。
「なぁやよい。そろそろお前の言うことが全てになるターンも一旦終わりだと思わないか」
「と、言いますと」
無邪気なケツが無意識に上へ上へと上がってきているぞ。丸みを帯びたケツだね♡ 近づけるな! 頭きたマジでキレた堪忍袋が破裂した。
「俺は自分の意志でこの浴槽から出たいと考えている。それを認めてくれたら別に何事も起きやしない」
「……認めなかったら?」
「暴れる」
「えっ」
やよいが素っ頓狂な声を上げた。なに不思議そうにしてんだ嫁に貰うぞ。ここはひとつ交尾で手を打たない?
「めちゃくちゃに暴れる。やよいをめちゃくちゃにするし先輩もめちゃくちゃにします」
「っ!?」
なに驚いてんだ後ろの美人な女。お前も例外じゃねえぞ可憐な女。
「マジでここをそういうお店にする。そういう覚悟が本気で完了する。どうするやよい」
「…………えと……」
「ゃ、やよいさん……っ」
振り返るといつの間にか真っ赤になっているりこぴん。
改めて前を向くとこれまた赤面しながら目がグルグルになって混乱しているやよちゃん。
そうか、この場で漆黒の覚悟を持っているのは俺だけか。ふ~むなかなか扇情的な誘い受け態度で……未来の旦那として、そして男として。ハピネス。
「そ、そのう……」
「五秒以内に答えろ」
「うぇっ、ぁ、は、はい。えっと……!」
従順になるとめっちゃ可愛いな……余情残心。
「け、決定ッ。残りの時間は私と樫本トレーナーで入浴するため、葉月は退浴していただいて……っ」
その判断力の高さ、アンナプルナ。
──というわけで、追い詰められきった俺は何とかめちゃくちゃ弱い立場をスゴ